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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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7話 笑顔でニコニコご挨拶.2



 唐突だが、免許の話をしよう。

 日本では、バイク、車、船、飛行機と言った乗り物を操縦する際、免許と言うモノが、必要である事は、皆様ご存知だろう。

 例えば車の免許。

 特定の年齢に達した者が、教習所に通って、運転の基礎や知識を学び、試験場でテストを受けて合格すれば、"お前は運転しても大丈夫"と言う、"御墨付き"が貰える。

 これが、運転免許証だ。

 何故車の運転に、コレが必要なのか。

 簡単な話、技能の証明だ。

 車は鉄の塊であり、誰彼構わず運転出来るともなれば、阿呆が暴走して、とんでも無い事故を起こす為、"原則禁止"されている。

 それを一部解除できるのが、"免許証"。

 規制を緩める、不思議アイテム。

 高い講習費用とかには、納得出来ない面もあるが、良く考えられた仕組みだろう。

 もしも、この免許制度と言うモノが無く、誰彼構わず、好きに運転出来るのだとしたら、恐ろしい事になる。

 考えてもみてくれ。

 怖いモノ知らずの小さな子供が、ハンドルを握り締め、アクセルを踏むと、どうなるか。

 間違い無く、大惨事を引き起こす。

 だからこそ、年齢制限を行い、基本的な知識や技能を習得させ、それを確認した上で、証明となる免許証が交付される。

 免許証を持っていても、馬鹿をやらかす奴は少なく無いが、大半のドライバーは、道交法を守って、しっかりと運転している。

 なんで今、こんな話をするのか?


「もっと曲がるのおおおおおおっ!!」


 ゴガガガッと、迅号の翼を地面に擦りながら、ドリフトをかます、暴走ケモ耳ミルンが、降臨なさっているからさ。


「のぢゃあああっ!? 回るっ! 落ちるっ! あああああああああのぢゅっ!?」


 黒姫はずっと、ボールの様に、機内で転がり回り、飛び跳ね、ぶつかり、顔面鼻血塗れ。

 迅号の内装が、黒姫の顔面よりも、硬いと言う事が、証明されたな。


「ぐぎぎぎっ! 俺も遠心力でっ、座席から飛び出しそうだけどねえええっ!」


「魔物発見っ! 轢き◯すのおおおっ!」


「ミルンっ! 落ちつけっ、ぐっ!?」


 さて、問題です。

 俺が運転中には、全く感じなかった遠心力ですが、何故今、それを感じるのでしょうか。

 答え、ミルンがポチって、解除したから。


「懐かしいわぁっ、あの人間大砲っ」


 アレはただ、真っ直ぐ飛ばされるだけだったから、そこまで怖くは無かった。

 でもコレは……無理だっ!!


「ドールっ! 何とかしろおっ!」


「駄目ドールっ! ミルンは今……とても楽しいのおおおおおおっ! 曲がるのっ!」


「了。保護解除を継続します」


 ほんのちょっと、遊ばせるだけだった。

 朝御飯を食べて、ミルンが暇そうにしてたから、ドールの自動操縦をオンにして、操縦席に、座らせてあげたんだ。

 そしたら、ミルンがはしゃぎ始めて、色々なボタンをポチポチしたら、この有様。

 直ぐに後部座席に座り、ベルトを締めた瞬間、迅号の全能力が、解放された。


「まさかミルンがっ、スピード狂だったとはっ」


「流っ! 助けるのぢゅっ!?」


「黒姫っ! 何とかして座席に座れっ!」


「あああああああああのごぢゅっ!?」


 これは、無理だな。

 大人黒姫に成れば良いのに、その考えすら出来ない程に、テンパって転がっている。


「見敵必殺なのおおおっ!!」


 ドンッ、ゴガッ、ドンッと、嬉々として、ひたすら魔物を、ミンチ変えるミルンの目を、絶対に直視したくない。

 ケモ耳の動体視力と、迅号の機動性が合わされば、万の軍にすら、勝てるだろう。

 戦車の何倍の速さよ、コレ。


 そうして走る事、半日。


 ようやくミルンは、運転に慣れたのか、ゆっくりペースで、迅号を運転しています。

 

「……死ぬかと思った」


「お父さんは、大げさなの。あんな事ぐらいで、死ぬ訳ないの」


「ミルン……お野菜だらけのご飯が嫌なら、二度とあんな爆走は、するんじゃ無いぞ……」


「かしこまっ」


 死にはしなくとも、荷物置場で下呂下呂している、黒姫の様になるのは、嫌だ。


「ぎぼぢばどぅいのぢゃ……うぽっ!?」


 下呂バケツ、イン、黒姫。

 黒姫親衛隊の面々なら、喜んでそのバケツを、中身ごと買うだろう。


「良しミルン。運転の基本を言うから、その通りに操縦してみな」


「うんっ」


「先ずは、余所見をせず、視野を広く持ち、顔は真っ直ぐ前を向く」


「前方良しっ!」


 レバーから手を離しての、指差し確認。

 超危険だから、良い子のおっさんは、真似しないない様、気を付けてくれ。


「ミルン……指差し確認は不要だぞ」


「かしこまっ」


「……それで、急加速したり、急に操縦レバーを切ると、黒姫の下呂が飛び散るから、緊急時以外は、禁止な?」


「魔物に突撃は?」


「進路上の魔物にだけ、突撃しなさい」


 魔物を見つけても、進路上に立っていなければ、無視しても問題は無い。

 迅号には、追い付けないからね。


「緊急時って、どんなの?」


「緊急って言うぐらいだから、突然攻撃を受けたり、ヤバい魔物が来た場合だな」


 と言っても、このヴォイド大陸で、迅号に攻撃当てれる魔物が、居るかどうかだけど。


「にしても……何も無いねぇ……」


「お父さん、お目々悪い?」


「いんや、視力は良い方だぞ?」


「それなら、この先に岩があるの」


 この先に岩?

 目を凝らして、先を見てみる。


「んんーっ、確かに。岩の様な……壁の様な?」


 ここからじゃ、何とも言えんな。


「ミルン。あの岩?目指して、操縦よろ」


「かしこまっ! 全速前進よーそろーっ!」


「それ……船で言う台詞だからね?」



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