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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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5話 ミユンと一緒にぐるぐると.5



 チッチッチッコーン。只今の時刻、午後、三時となりました。そんなお菓子のお時間に、ルシィは酷く憔悴し切っており、見ていて不思議と、笑える光景です。


「つんつん。女王が動かないの」


「だろうな。さっきの施設で、嫌って程、現実を味わったんだろ」


「ウザ子どこ行った?」


「また隠れたんだろうさ。一応アレで、ルシィの護衛なんだろうし」


 施設の慰問が終わり、ニコニコ笑顔のパナトーナに見送られ、現在は領主館の一室。それからルシィは、ずっと俯いたまま、テーブルの上のお茶菓子を、ジッと眺めている。


「なあルシィ。いつまでも下向いて無いで、シャキッとしろよ。もう少ししたら、王都に帰る時間なんだろ?」


「……うん」


「重症だな。もしかしてルシィ、女王だから、皆んなに好かれてるとでも、思ってたのか?」


「……思ってない」


 儂言葉が無くなってるな。随分前に見た、素のルシィになってんじゃん。

 

「パパ。女王は何で、しょんぼりしてる?」


「何でだろうな? 大方、施設の人達に、恨み辛みを吐かれまくって、女王としての今までが、否定されたんだろ」


「ボソッ(兄様なら)」


「んっ? 何て言った?」


「……兄様だったら、もっと上手く……出来たのかしら。私は……どうすれば良いの?」


 顔を上げたルシィの鼻から、鼻水全開。

 うん、ガチ泣きじゃん。

 気持ち悪い程に、ガチ泣きじゃん。

 目を開けたまま、ポロポロ泣いてるし、鼻水がドバッと、垂れて来てるって。


「ルシィの兄様は、墓の中だ。たられば何て言葉を、女王が吐くな」


「……ぅぅっ」


「仕方無い女王なの。鼻水汚いっ!」


 ズボッ────『ふがっ!?』


 ミユンさんや……ルシィの鼻に、指を突っ込むのは、汚く無いのかな? ルシィが豚鼻で、泣いているぞ?


「女王は、ブヒブヒ泣くオーク?」


「ひがぅっ、おーふひゃっ、ひゃいっ」


「それなら、鼻水を拭いて、紅茶を飲むの。次鼻水出したら、尻から肥料を引っこ抜いて、女王の肥溜めとして、皆んなに広めますっ」


「っ、そんなのは嫌じゃっ!?」


 うわぁ……ミユンの可愛い御手手が、ルシィの体液塗れになってるよ。


「秒で泣き止ませるとか。ミユンさんや。手がばっちいから、コレで拭きなさいな」


「滑っとしてるの。拭き拭きっ」


「儂はばっちく無いわっ! 乙女が涙を流しておるのにっ、何じゃその態度は!?」


「乙女? どこに乙女が?」


「そんなの、この部屋には居ないの」


 上を見ても居ない。

 下を見ても居ない。

 左右を確認しても、居るのはミユンとルシィだけで、乙女なんて、どこにも居ない。


 俺はそっと、ルシィの肩に手を置いて、優しく、優しく、答えてあげた。


「ルシィ。乙女なんて、どこにも居ない」


「目の前に居るじゃろうがっ!!」


「目の前に居るのは、ルシィだけじゃん。確かに、真っ赤な目は綺麗で、そこそこ御山も大きくて、脚もすらっと触り心地抜群だけど……」


 近付いて、太ももを撫で撫で。

 あれっ? なーんかルシィの奴、顔真っ赤にして、可笑しいな……色っぽく見えるぞ?


「パパ。浮気はドゥシャに、報告なの」


「はっ!? 俺はっ、一体何を……」


 すかさずルシィから離れて、息を整えます。


「っ、儂は帰るっ! こんな所に居てっ、襲われては堪らんのじゃっ!」


 ルシィにしては珍しく、大股では無く小走りで、部屋から飛び出して行った。

 危うく、事案発生だわぁ。


「ミユンが居てくれて、助かったな……」


「後少しで、パパの玉が危なかったの」


「何で、俺の玉?」


「あっちの壁の、覗き穴っ」


 この部屋に覗き穴?

 ミユンが指差す方の壁には、置き時計が設置されており、近付いて確認してみる。


「何個か穴っぽいのは有るけど、この穴が何だって言うんだ……うひっ!?」


『浮気したら、玉潰すのぉぉぉっ』


 爛々と、怪しい光を放つ、ミルンの金色の瞳が、壁の向こうから、コッチを凝視している。

 あっぶねええええええ────っ!?


「ねえミルンさん。今のは違うからね?」


『浮気したら、玉潰すのぉぉぉっ』

 

「リピート再生かな? 違うからね?」


『浮気する前に、玉潰すのぉぉぉっ』

 

 駄目だ、リピート再生だ。

 置き時計から、ゆっくりと離れ、ミルンのお目々と、さようならをします。

 だって、怖いんだよっ!?


「あっ……アズヴォルド卿の事、忘れてた」


「パパに挨拶来てないから、まだ帰ってないの」


「そりゃ良かったわ。ミルンにお願いして、斥候部隊を呼んで貰うか」


「それは良いけど……」


 分かってるよミユン。

 今のミルンに近付けば、真っ先に玉を潰しに来るだろう事は、分かってるんだ。


「そんな時は、コレだな」


 空間収納から取り出したるは、ぶよぶよとした、とある物体の丸焼き。俺の身代わりとなる、オークの睾丸焼きだ。


「良しっ! 隣の部屋に行くぞっ!」


「足がぷるぷるしてる」


「ははっ、当たり前だろ?」


 睾丸の丸焼きで、許してくれなきゃ、その次は俺の玉なんだから。防ステ高くても、怖いモノは怖いんだ。


 そんなこんなで、無事、何事も無く、楽しい楽しい祝日が、終わりを告げたのである。

 ミルンに追われて、館内を爆速?

 そんな事は、していない。

 していないったら、していない。



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