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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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5話 ミユンと一緒にぐるぐると.2



 畑作業もひと段落。

 抜きに抜いた雑草は、細かく擦りおろし、コカトリスの餌にする予定だ。

 雑草と言えども、ミユンの土から生えた物だから、そこそこ食べれる雑草なんです。


「無駄が無いねぇ。流石ミユン」


「褒められても、お芋しか出ないの」


「あんがとさん。施設の皆んなに配って、美味しく食べて貰うか」


 そもそも何故、畑作業をしているのか。

 農家の皆さんに、祝日だから働かないでと、俺が領主として、命令したから。

 三日放置しても、問題無いって?

 ミユンの土だぞ。

 三日もあれば、雑草地獄だわ。


「芋畑はこれで良し。時間は……十時前か。そろそろルシィ捕まえて、施設に行くぞ」


「女王捕獲?」


「そうそう。何処に居るのかって、分かるか?」


「んーとねーっ。あっちな気がするっ!」


 ミユンの指差す方向には、居住区の喫茶店。

 小腹が空いたって事だわな。


「うしっ。軽く食べてから、ルシィを捕獲だ」


「お腹空いて無いよ?」


「まあまあ。よいしょっ!」


 久々に、ミユンを抱っこだぜっ!?

 みっ、見た目以上に重いっ!!


「っ、ミユンも成長したなぁ」


「少しだけっ!」


「そりゃぁ……嬉しい事だ」


 この感じだと、もうミルンとミユン。二人同時には、抱える事が出来ないだろう。

 それをやれば……腰が逝く。

 

「肩車や抱っこも、あと数年か……」


「数年経っても、抱っこして貰うっ」


「俺の腰を、壊す気かな?」


「パパが鍛えれば良いの」


 村長みたいに? 

 俺を筋肉にするつもりなのか?

 そうしている間に、喫茶店に到着し、小綺麗なテラス席に、"相席"をかまして、一息吐く。


「ふぅ……ミユンは何か頼むか?」


「うーんとね、紅茶の甘いやつ!」


「蜂蜜入りだな。なら俺は、パンケーキと紅茶で良いか。すみませーんっ」


『はーい』


「パンケーキと、紅茶二つ。紅茶の一つには、たっぷりの蜂蜜を、お願いしまーす」


『少しお時間を頂きまーす』


 流石は居住区の喫茶店。

 店内から出て来ずに、注文を受け付けるなんて、商業区とは大違いだわ。

 

「のんびり待つと、しますかねぇ」


「そうなのぉ」


「……話しかけぬかっ!?」


「ルシィの突っ込みは、キレが無いな。こんな居住区の茶店で、一人で何してんの? 護衛とか、ナブリル君は?」


 ミユンの言った通り、ルシィが居ました。

 こいつ女王の癖して、一般人を装った服装をして、こっそりお茶飲んでやがんの。


「儂とて、一人の時間も、必要なのじゃ。ナブリルには今日一日、休暇をくれてやったわ」


「あの人、苦労してそうだもんな。にしても、護衛も無しなのは、女王としてどうよ?」


「影がそこかしこで、見張っておるのじゃ」


「ボソッ(確かに、店内に一人居るな)」


 知覚でバッチリ影サーチ。

 何で影さんって分かるのか?

 普通のお客様なら、壁に張り付く様にして、隠れる事なんてしないから。


「パパ、床下にも居るの。捕まえて良い?」


「影さんお仕事中だから、邪魔しちゃ駄目だぞ」


「床下にも居るとは……」


 ルシィは知らなかった様だ。

 因みに、半径十メートル圏内に居る、影さんの数は、十五名……って、多くね?


「結構な数の影さんを、連れて来たんだな」


「結構な数じゃと? 護衛として連れてきたのは、五名だけなのじゃが……彼奴らっ」


「あぁーっ、成程」


 十五名中、五名はルシィの護衛。

 では、残る十名は何なのか。

 そんなのは、決まっている。

 

「ミユン親衛隊の面々か」


「ミユンの?」


「そうそう。可愛いミユンを、遠くから見守りましょうって言う、ストーカーだな」


「犯罪者?」


 似たようなモノだろう。

 なにやら、ジアストールの暗部の中には、三つの派閥が存在し、色々と競ってるらしい。


 ミルン親衛隊。

 黒姫親衛隊。

 ミユン親衛隊。


 ミルン親衛隊は、御座るやウザ子と言った、比較的マシな部類の影達で、構成されている。


 黒姫親衛隊は、黒姫を触りたい、揉みたい、味わいたいと言う、ただの変態の集まりだ。

 雷刀を渡した影さんが、黒姫親衛隊だな。


 ミユン親衛隊は、暗がりなどから、ただひたすらに、ミユンを観察し続ける、実害の無い、ただの変態の集まりだ。

 ミユンに捕捉されたら、終わるからね。


「何か……暗部って、変態ばっかりじゃん。ちゃんとさ、教育しろよルシィ」


「あの者らをっ、教育出来るかっ!」


「出来無いの? 女王なのに?」


「当たり前じゃっ! っ、あの者らは、儂の護衛である前に、ジアストールの影なのじゃ。命令は出来ても、教育は出来ぬっ」


「何じゃそりゃ?」


 命令は出来るのに、教育は出来無い。

 良く分からん関係性なのね。


「すみません、お待たせしましたーっ。パンケーキと、紅茶二つ。一つは蜂蜜入りですね」


「待ってましたっ」


「良い香りなのぉ」


「それでは、ごゆっくりどうぞーっ」


 店員さんの動きが早いな。

 ササっと置いて、店内に戻ったぞ。


「あっ、ここルシィの奢りな」


「何でじゃっ!?」


「昨日の件……忘れてないよな?」


「アレは御主がっ、ええいっ! もう良いわっ!」


 一対一の口論では、勝てないと判断して、直ぐに諦めやがったな。

 折角、弄り倒そうかなって、思ったのに。



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