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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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4話 会議は踊らずされど進む.4



 頼んでもいないのに、お茶のお代わりを、コトッ、コトッと、皆んなの前に置くドール。

 流石ロボ。

 顔が水晶だから、顔色も読めないし、何考えてるのかさっぱり分からん。


「なあルシィ。以前にドールを紹介した時、俺が何て説明したか、覚えてるか?」


「何じゃ急に。確か、新たに発見した大陸に、"落ちていた"と申してたな」


「そうそう。それ、嘘だから」


「……えっ?」


 ルシィだけで無く、レイズ国王とザマァス王妃までも、『えっ?』て顔して、面白いな。


「俺、ドゥシャさん、シャルネ、影さん、黒姫含めて、全員で口裏を、合わせていたんだ」


「待て流っ、では……っ、今ナブリルが話した情報も、嘘だと言うのか」


「そっちは本当だろ。影さんが黙ってたのは、ドールに関する事だけだぞ」


 実際、ナブリル君が話した内容には、俺の知らない事が、山程有ったからな。

 あの影さん、凄ぇ生活してたのね。


「シャルネっ、何故妾達に嘘を吐いたっ!」


「待ちなさいザマァス。娘にも何か、考えがあっての事だろう。そうであろう、シャルネや」


「? 流様に、色々と黙っておく様にと、お願いされたからですわ。それだけですの」


「……流殿っ。説明を……願えるだろうか?」


 レイズ国王の顔、泣きそうじゃん。

 愛娘に騙されてんの、気付かなかったの?


「小々波卿……そこのドール、嬢?に似た者が、もう一人居たであろう……」


「ドーツだな。そっちは村長の所の、迷宮で発見された、ドールの姉妹みたいなモノだ」


「待てい流っ!? ヘラクレスからっ、その様な報告は受けておらぬぞっ!!」


「発見者はミユンで、村長には黙ってたみたいだぞ。そりゃ、報告書にも載らんわ」


 そこはミユンの、ファインプレーだ。

 村長が知っていたら、ドーツの存在を隠さずに、ルシィに報告してただろうし。

 

「と言う事で、ドール。個体識別番号開示、対物理兵装起動を許可。皆んなに挨拶よろ」

 

「了。個体識別番号、T-OP壱号、名称ドール。対物理兵装起動……マテリアルシールド……展開致します」

 

 うんうん、久々に見たわ。

 影さんが持つ、雷刀の剣撃を、いとも容易く受け流していた、意味不明な盾。

 その盾が三つ?

 以前はもっと、多かったよな。


「なあドール。出し惜しみしてる?」


「戦闘時では無い為、これ以上は不要と判断」


「そりゃそうか。で、皆んなの感想は?」



 会議室が、静まり返り、誰も喋らない。



「反応薄っ。何で皆んな俯いてんの? ほらっ、南の連邦にも無い、面白ロボだぞ?」



 会議室が、静まり返り、誰も喋らない。

 


「ボソッ(なあドゥシャさん。皆んな、どうしちゃったの? さっきまで喋ってたのにさ)」


「ボソッ(恐らくは、呆れてモノも、言えないのでは無いかと、推測致します)」


「ボソッ(ふぅん。それなら、ドーツを呼んで、大砲装着させて、驚かせようか?)」


「ボソッ(止めた方が、懸命かと存じます)」


 却下されてしまいました。

 まぁ、あの大砲は、昨日見られちゃってるから、インパクトに欠けるか。


 そんな事を思っていたら、ルシィがゆっくりと、椅子から立ち上がり、それに合わせる様にして、シャルネ以外の皆んなが、ゆっくりと立ち上がった。


「ふぅ。それでは皆の者、決を採るのじゃ」


「左様に御座いますね、陛下」


「そうだのう。妾も暇では無いし、さっさと終わらせて、温泉にでも行くとしよう」


「それならば、儂と二人で行こうか。夫婦水入らず、ゆっくりしようぞ」


「ノイズと一緒に、祭りを回らねば」


「マズド卿、一緒に酒でも如何ですかな?」


「おぉ、それは良い。皆も行くであろう」


「「「良いですなぁ」」」


 コイツらは、何を言ってるんだろう。

 会議の決を採る?

 会議が始まってから、議題も何も"聞かされていない"のに、決を採るって言ったのか?


「それでは……ファンガーデン領主、小々波流辺境伯を、海洋国家アルカディアスの、外交特使として任命する事、異議のある者はおるか?」


「「「異議無しっ!!」」」


 んっ? 外交……特使?


「次に、セーフアースを、小々波流辺境伯固有の地とし、そこを拠点として、新大陸の調査に向かわせる事、異議のある者はおるか?」


「「「異議無しっ!!」」」


 セーフアースを……拠点?

 新大陸っ、ヴォイド大陸の調査っ!?


「ちょっ、待て待て待て待ていっ!?」


「その他の詳細は、外交官を通じて、取り決める事とする。会議はこれにて終了じゃ。レイズ国王よ、良いかの?」


「うむ。良き会議であったのぅ」


「シャルネ。妾達は温泉に行くので、貴女はそこの愚か者を、どうにかなさい」


「……仕方無いですわね」


 足速に、皆様部屋からご退室。

 じゃ無いわっ!?


「おいルシィっ! 待てお前らっ! 何無視して部屋から出てっ、ちょっと待てえええええええええええええええ────っ!?」


 全無視って、酷く無い?

 ルシィ、ナブリル、レイズ国王、ザマァス王妃、アズヴォルド卿、その他の貴族達。

 皆んな、目も合わせてくれないんだ。


「……ドゥシャさん。もしかしてコレ、予定調和とか、決まってた事なの?」


「本来で御座いましたら、流様の意思を確認した上で、決まるモノに御座いました」


「やられましたわね、流様。二ヶ国間での取り決めですので、流様が拒否をなさいますと、嫌がらせを受けますわ」


 シャルネが言う、嫌がらせとは?

 

「何されんの……」


「お母様からのお手紙が、一日に百通は来るかと思いますの。それも、長文ですのよ」


「地味な嫌がらせだなっ!?」


 皿くれお化けよりも、酷い量だぞ。


「それと、干物や魚醤の制限も、有りえますわね。流様の好物と、知られておりますもの」


「それはっ……やられると泣くぞっ!?」


「流様の弱点ですわね」


「魚醤や干物は、猫人の好物に御座います。これが入って来なければ、気分屋の猫人が、どの様な行動に出るか……」

 

 要は、会議が上手く進んでも、進まなかったとしても、そのカードを切られれば、俺は従うしか無かった訳だ。


「会議と言いながら……議論しないとかっ」


 ヴォイド大陸の調査、やるしか無いのかぁ。


「流。兵装を解除しても、宜しいですか」


「ああ。兵装解除して、業務に戻ってくれ」


「了」



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