4話 会議は踊らずされど進む.3
公爵とは、貴族の最高位に位置し、その上には王しかおらず、その権力と、采配でもって、国の運営を担う、過労死貴族である。
「ボソッ(俺の勝手なイメージだけど)」
確か、王の血縁者……王の一族でなければ、公爵に叙される事なんて無いと、昔日本で読んだ本に、書いてあった筈だ。
「レイズ貴様っ……儂の前でその様な発言をっ、よう申しおったなっ!!」
「ジアストールの小娘風情が、妾の夫に牙を向くか? その口閉じぬと、どうなるか……」
「誰が小娘じゃっ! この年増がっ! 若作りをいくら頑張ってもっ、シワは消えぬぞっ!」
「誰が年増かっ!?」
ルシィとザマァスが言い合ってるのに、レイズ国王は、ニコニコ笑顔でこっちを向いて、俺の返答待ちですか?
「レイズ国王、質問良いか?」
「何かね流殿」
「何で俺が、公爵なのさ」
「勿論、儂の"一人娘"の為だ」
一人娘、シャルネ・アルカディアスの為。
「釣り合いが取れる様に……か」
このやり方は、ルシィと同じ。
以前ルシィは、相談役と言う、男爵位相当の立場を俺に与えて、ドゥシャさんに婿入りをさせ、飼い殺す気満々だった。
「娘のシャルネは、殺戮人形と言う、不名誉な二つ名を持つが、それでも儂の娘なのだ。その意味、流殿なら理解出来よう」
「次代の女王、又は王妃って事だな」
「左様。先先代は、側室も多く、子も沢山居たと言う話だが、儂には一人しかおらぬ」
「後継者は、シャルネだけと……」
流石王様、腹黒いねぇ。
シャルネの為と言うのは、嘘じゃ無い。
嘘じゃ無いけど、その先が有る。
「俺を、アルカディアスに組み込んで、セーフアースや他諸々、掻っ攫う気か?」
「流殿が、我が国の公爵となれば、必然的に、そうなるだろうの」
「んで、目出たくこの地も、ジアストールから離反して、アルカディアスの領地になると」
「この地は、流殿のモノであろう。であるなら、必然的にそうなるのう」
争わずして、国土を拡大。
確かに、このファンガーデンに住まう、大半のケモ耳達ならば、俺に従うだろう。
ジアストールから、アルカディアスになったけど、皆んなは大丈夫かな?
えっ、どっちでも良い?
ですよねーっ!
そんなノリで国が変わっても、問題無し。
「と言っても、問題だらけになるわな。恐らくだけど、俺が了承した瞬間に、暗部総出で、俺を拘束しに来るぞ。だよね、ドゥシャさん」
「私目が、実行致します。この命に代えましても、流様を逃さぬと、ここに誓いましょう」
「だってさ、レイズ国王」
「ふむぅ……流殿に、その気は無いと?」
「無いな。そもそもレイズ国王は、俺に対して、勘違いをしている」
「勘違いとな?」
そう、レイズ国王は、勘違いをしている。
と言うか、シャルネは知ってるだろ。
「ああ。そもそも俺は、貴族なんて立場、捨てれるなら捨てたいんだ」
ミルン達が気に入っているからこそ、この場所を管理しているだけ。
特権を貰った理由も、そこにある。
政争に、巻き込むな。
「権力が無ければ、出来ぬ事もあるぞ」
「そんな事は知ってる。でもさ……魔神に権力なんてモノ、通じるとでも、思ってるのか?」
「……で、あるな」
権力を振り翳して来るならば、こっちには武力があるぞーと、抑止力効果絶大です。
「お父様。あまり流様を困らせますと、私、二度と家には帰りませんわ」
「っ!? 冗談っ、今のはちょっとした冗談だからっ、その様な事を言うでないっ」
「流様。お父様が、失礼致しました。先の御言葉は、どうか何卒、お忘れ下さいまし」
……今のが冗談?
何、じゃあ今の話って、茶番?
それにしては、ルシィとザマァスが、口喧嘩を止めないんだけど……?
「ねぇドゥシャさん」
「何で御座いましょう」
「会議って、始まった?」
「……まだに御座います」
ナブリル君は何してっ、あぁ……目頭押さえて、眼精疲労の姿ですね。
「お茶飲んで、仕切り直すか?」
「その方が、宜しいかと存じます」
皆んなでまったりお茶タイム。
ドール特製、色々クソ甘いお茶を飲んで、胃もたれ全開で、再開しまーす。
「ゲフッ……毒かと思うたわ」
「妾、この様に、胃の調子が悪くなったの、半世紀ぶりだぞ。うぷっ……気持ち悪いっ」
「小々波卿っ、あの者はいっ、ぶふっ!?」
「はははっ。流殿、先程の仕返しですかな?」
「この甘さは、悪く無いですわね」
シャルネ以外、全滅しました。
貴族の嗜みとして、こう言う場で出された物には、口を付けないと駄目らしい。
俺は飲んだのかって?
渋めのお茶を、飲みましたとも。
「ゲフンっ! んんっ! それでは皆様っ、会議を再開致します。ゲフッ!」
ナブリル君は、根性あるねぇ。
腹を押さえながらも、会議進行する気だよ。
「先ずは、我々が把握している情報を、アルカディアス側へ、共有させて頂きます」
ナブリル君が、話をした情報。
それは、一人の影さんが調べ上げた、数ヶ月分にもなる情報を、纏めたモノだった。
「……ヴォイド大陸の魔物って、そんな見た目なのか。ドゥシャさんは、戦ったの?」
「いえ、戦えておりません。黒姫様に怯えて、寄って来なかったのです」
「戦いたかったですわ」
防御貫通持ちの、二足歩行型で、クチバシにギザギザの歯を持つ、鳥の様な魔物。
羽根は無いが、顔が鳥っぽいらしい。
「鳥っぽい顔のクチバシに、歯……」
何だろう、ジュラ期感が、半端ない。
恐竜? 恐竜なの?
ヴォイド大陸の生態系って、ヤバくね?
コンコンッ────『お茶のお代わりを、お待ち致しました。失礼致します』
丁度良い所に、ポンコツロボが来たな。皆んなにちゃんと、紹介しておくか。
「「「お茶はもう結構だっ!!」」」
声を揃えて、言うなよ……。




