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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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4話 会議は踊らずされど進む.3



 公爵とは、貴族の最高位に位置し、その上には王しかおらず、その権力と、采配でもって、国の運営を担う、過労死貴族である。


「ボソッ(俺の勝手なイメージだけど)」


 確か、王の血縁者……王の一族でなければ、公爵に叙される事なんて無いと、昔日本で読んだ本に、書いてあった筈だ。


「レイズ貴様っ……儂の前でその様な発言をっ、よう申しおったなっ!!」


「ジアストールの小娘風情が、妾の夫に牙を向くか? その口閉じぬと、どうなるか……」


「誰が小娘じゃっ! この年増がっ! 若作りをいくら頑張ってもっ、シワは消えぬぞっ!」


「誰が年増かっ!?」


 ルシィとザマァスが言い合ってるのに、レイズ国王は、ニコニコ笑顔でこっちを向いて、俺の返答待ちですか?


「レイズ国王、質問良いか?」


「何かね流殿」


「何で俺が、公爵なのさ」


「勿論、儂の"一人娘"の為だ」


 一人娘、シャルネ・アルカディアスの為。


「釣り合いが取れる様に……か」


 このやり方は、ルシィと同じ。

 以前ルシィは、相談役と言う、男爵位相当の立場を俺に与えて、ドゥシャさんに婿入りをさせ、飼い殺す気満々だった。


「娘のシャルネは、殺戮人形と言う、不名誉な二つ名を持つが、それでも儂の娘なのだ。その意味、流殿なら理解出来よう」


「次代の女王、又は王妃って事だな」


「左様。先先代は、側室も多く、子も沢山居たと言う話だが、儂には一人しかおらぬ」


「後継者は、シャルネだけと……」


 流石王様、腹黒いねぇ。

 シャルネの為と言うのは、嘘じゃ無い。

 嘘じゃ無いけど、その先が有る。


「俺を、アルカディアスに組み込んで、セーフアースや他諸々、掻っ攫う気か?」


「流殿が、我が国の公爵となれば、必然的に、そうなるだろうの」


「んで、目出たくこの地も、ジアストールから離反して、アルカディアスの領地になると」


「この地は、流殿のモノであろう。であるなら、必然的にそうなるのう」


 争わずして、国土を拡大。

 確かに、このファンガーデンに住まう、大半のケモ耳達ならば、俺に従うだろう。


 ジアストールから、アルカディアスになったけど、皆んなは大丈夫かな?

 えっ、どっちでも良い?

 ですよねーっ!

 そんなノリで国が変わっても、問題無し。


「と言っても、問題だらけになるわな。恐らくだけど、俺が了承した瞬間に、暗部総出で、俺を拘束しに来るぞ。だよね、ドゥシャさん」


「私目が、実行致します。この命に代えましても、流様を逃さぬと、ここに誓いましょう」


「だってさ、レイズ国王」


「ふむぅ……流殿に、その気は無いと?」


「無いな。そもそもレイズ国王は、俺に対して、勘違いをしている」


「勘違いとな?」


 そう、レイズ国王は、勘違いをしている。

 と言うか、シャルネは知ってるだろ。


「ああ。そもそも俺は、貴族なんて立場、捨てれるなら捨てたいんだ」


 ミルン達が気に入っているからこそ、この場所を管理しているだけ。

 特権を貰った理由も、そこにある。

 政争に、巻き込むな。


「権力が無ければ、出来ぬ事もあるぞ」


「そんな事は知ってる。でもさ……魔神に権力なんてモノ、通じるとでも、思ってるのか?」


「……で、あるな」


 権力を振り翳して来るならば、こっちには武力があるぞーと、抑止力効果絶大です。

 

「お父様。あまり流様を困らせますと、私、二度と家には帰りませんわ」


「っ!? 冗談っ、今のはちょっとした冗談だからっ、その様な事を言うでないっ」


「流様。お父様が、失礼致しました。先の御言葉は、どうか何卒、お忘れ下さいまし」


 ……今のが冗談?

 何、じゃあ今の話って、茶番?

 それにしては、ルシィとザマァスが、口喧嘩を止めないんだけど……?


「ねぇドゥシャさん」


「何で御座いましょう」


「会議って、始まった?」


「……まだに御座います」


 ナブリル君は何してっ、あぁ……目頭押さえて、眼精疲労の姿ですね。


「お茶飲んで、仕切り直すか?」


「その方が、宜しいかと存じます」


 皆んなでまったりお茶タイム。

 ドール特製、色々クソ甘いお茶を飲んで、胃もたれ全開で、再開しまーす。


「ゲフッ……毒かと思うたわ」


「妾、この様に、胃の調子が悪くなったの、半世紀ぶりだぞ。うぷっ……気持ち悪いっ」


「小々波卿っ、あの者はいっ、ぶふっ!?」


「はははっ。流殿、先程の仕返しですかな?」


「この甘さは、悪く無いですわね」


 シャルネ以外、全滅しました。

 貴族の嗜みとして、こう言う場で出された物には、口を付けないと駄目らしい。

 俺は飲んだのかって?

 渋めのお茶を、飲みましたとも。


「ゲフンっ! んんっ! それでは皆様っ、会議を再開致します。ゲフッ!」


 ナブリル君は、根性あるねぇ。

 腹を押さえながらも、会議進行する気だよ。


「先ずは、我々が把握している情報を、アルカディアス側へ、共有させて頂きます」


 ナブリル君が、話をした情報。

 それは、一人の影さんが調べ上げた、数ヶ月分にもなる情報を、纏めたモノだった。

 

「……ヴォイド大陸の魔物って、そんな見た目なのか。ドゥシャさんは、戦ったの?」


「いえ、戦えておりません。黒姫様に怯えて、寄って来なかったのです」


「戦いたかったですわ」


 防御貫通持ちの、二足歩行型で、クチバシにギザギザの歯を持つ、鳥の様な魔物。

 羽根は無いが、顔が鳥っぽいらしい。


「鳥っぽい顔のクチバシに、歯……」


 何だろう、ジュラ期感が、半端ない。

 恐竜? 恐竜なの?

 ヴォイド大陸の生態系って、ヤバくね?


 コンコンッ────『お茶のお代わりを、お待ち致しました。失礼致します』

 

 丁度良い所に、ポンコツロボが来たな。皆んなにちゃんと、紹介しておくか。


「「「お茶はもう結構だっ!!」」」


 声を揃えて、言うなよ……。



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