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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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3話 祭りをのんびり楽しむデー.4



 ミルンと焼き串を頬張りながら、どんな屋台が出ているのかを、散策中。


「衣類、焼き串、宝飾、焼き串、調度品、焼き串、果物、焼き串……焼き串の屋台が多いな」


「ムゴムゴっ、お肉の種類が違うの。あそこの屋台はコカトリスで、あっちの屋台は、オークのお肉を使ってます」


「一目で分かるの、ミルンだけじゃね?」


「ゲフッ、お肉屋さんも、出来るよ? 髪の毛にくるくるプスっと、後で捨てるっ」


 ミルンさんや……自然な動きで、食べた後の串を、俺の頭に刺すの、止めて欲しいなぁ。

 

「にしても、娯楽が無い……」


「楽しくないの?」


「ミルンと一緒にお散歩だから、楽しいぞ」


「むふふっ、ミルンも楽しいの」


 楽しいのは嘘じゃ無い。

 けどね、俺の祭りのイメージと、かけ離れ過ぎていて、少し残念な気持ちだ。

 輪投げ、射的、籤引き、金魚掬い等々、子供が楽しめる屋台が、全く無い。

 そう言えば和土国に、駒はあったな。


「何か流行らせてみるか……」

 

「お父さんのお顔が、また変なお顔なの」


「変な顔はしてないぞーい」


 ミルンのお顔がひょっこりと、肩の上から、覗き込む様に、俺の顔を見て来るっ、マジ天使っ。


「ミルンは可わっ……口の中痛てぇ……」


「お口直しに、甘々食べる?」


「どこか良いお店でも、知ってるのか?」


「ミルンのお店なの」


 ふーん、ミルンのお店ねぇ。

 ミルンのお店?

 んんんっ? ミルンのお店?


「それって、飲食のお店なのか?」


「お茶屋さんっ! 今日はお団子の日っ!」


「へぇーっ……」


 俺の知っている、ミルンのお仕事一覧。

 居住区、消費者金融ミルン。

 商業区、ミルン工房。

 鉱山、犯罪者更生施設。

 そして今日、ここに新たに、お茶屋が追加。


「なあミルン」


「なあに?」


「税金、ちゃんと払ってるよね?」


「勿論なのっ。収支報告書を、ドゥシャに提出してるから、完璧っ!」


 十歳の犬耳天使が、収支報告書の提出を、嬉々として語っています。

 

「完璧ねぇ……暇が出来たら、その収支報告書、俺も見るからな」


「お父さんに、暇はないっ」


「暇は無くとも、見るからな」


「見なくて良いのっ」


 この焦り様、確実に、脱税してるだろ。

 しかも、ドゥシャさんと結託して。

 最強タッグですか?


「……程々にな?」


「お茶屋っ! お茶屋に向かうのっ!」


「はいよ。指差し案内よろ」


「あっちっ!」


 誤魔化すのに必死な、ミルンさん。

 ポタポタと俺の頭に、冷や汗を垂らしているけども、串刺さったままだからね?

 

「帰ったら、頭洗うか……」




 ミルンナビにて、お茶屋に御到着。

 遠目から見ても分かる、立派な木造建築で、店員達も、見事な着物。

 

「和土国のお茶屋、そのまんまじゃん」


「のんのん。ちゃんと、こっちの良い所も、取り入れてるのっ。コレとか!」


「あーっ、確かに。和土国だと、爪楊枝だったけど、フォークにしたのか」

 

 しかも、純銀製のフォークっぽい。

 確か、銀製の物は、ヒ素に含まれる何かが反応して、黒くなるんだったか。

 

「それだけじゃ無いの。お団子を作ったら、必ず一度は、決まった場所に置くの」


 この話の流から行くと、毒対策の銀製品は、あくまで保険だろうな。

 置くだけで、無毒化出来る物と言えば、今のところ、一つしか思い浮かばない。


「……勝手に屋敷の皿、持ち出したな」


「一枚だけっ、一枚だけだから、大丈夫っ」


「数は有るから良いけど、割っちゃ駄目だぞ」


「勿論なの。落とさない様に固定してるし、触って良いのは、お団子職人の、四人だけっ」


 パリィンッ────『てめえっ、何やってんだっ!? それっ、殺されるぞっ!』


 肩の上のミルンが、固まった。

 そうだよね、この店の奥で、今正に、何かが割れる音が、ハッキリと聞こえて来たから。

 噂をすれば、何とやらだ。


「ミルン。固まったままで、良いのか?」


「ハッ!? こうしちゃいられないのっ!」


 シュバっと肩から飛び降りて、『何割ったのおおお──っ!!』と、激怒ミルンが、お店に突っ込んで行った。

 

「ミルンのお店だし、座って待っておくか」


 縁台に、赤い布まで再現って、凄いな。


「どっこいせっ……和むわぁぁぁ……」


 座り心地がね、良い感じなの、この縁台。

 掛けられている布が、もうふわっふわっ。

 素材が何なのかは、分からないけど、手触りも抜群だし、ずっと座って居たくなる。


「いらっしゃいませ。御注文を、お伺い致しますうううっ!? 御領主様っ!?」


「お団子一つと、渋めのお茶で。幾ら?」


「えっ、ええっと、銅貨二十枚になりますっ!」


「二千ストール……米、高いからなぁ。ほい、銅貨二十枚。お茶を先に頼むわ」


「かっ、かか畏まりましたっ!」


 走って行ったなぁ。

 御領主様とか言われると、物凄くむず痒いと言うか、居心地悪くなるんだけど。


「なんちゃって領主だから、変に気を使わんでも、良いと思うんだ……」


 高圧的な態度で来られると、こっちも黙っちゃいないけど、タメ口程度なら、問題無いぞ。

 

『ミルンのお皿ああああああ────っ!?』


 店の奥から、時間を置いての、ミルンの叫びが木霊するって、結構間があったな。

 チラッと店の中を覗くと、さっきの店員さんが、お茶を持って来てるわ。

 うん、バッチリ目が合いました。


「お待たせ致しましたっ、お茶になりますっ! お団子の方はっ、今暫くお待ち下さいっ!」


「いやっ、催促してる訳じゃ無いから、そんな緊張しなくても良いって」


「しっししっ、失礼致しますっ!」


 領主って、こんなにも怖がられるのか。

 

「ズズッ……旨い茶だぁ。ドールとは雲泥の差」


 時間を確認すると、十一時半。

 もうそろそろ、館へ戻らないと、貴族会議に遅れてしまい、ドゥシャさんに怒られる。


「ミルン、戻って来ないな」


 あまりに遅かったら、見に行ってみるか。



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