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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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3話 祭りをのんびり楽しむデー.3



 人気の屋台の正体は、甘辛ソースが癖になる事間違い無しの、焼きそばっぽいモノだった。

 ついでに、かき氷も売っていた。

 二つ合わせて、銅貨十枚。

 千ストールって、ぼったくりじゃん。


「副業許しちゃ駄目っ!」


「ミルン。部隊には、副業禁止なんて決まりは無いし、税が入るから、寧ろオーケーだぞ」


「えぇっと、なぜお二人が? 領主館で、パーティーをなさってる筈では……」


「それは昨日だっての」


 今日と明日は、ミルン達と遊ぶついでに、他の貴族との会合や、ルシィに施設を慰問して貰ったり、アズヴォルドの件をどうするのか、考えるぐらいだ。

 うんうん、地味に忙しいな。

 特に、貴族の会合とかよ。


「……んでさ、ルトリア。二つで銅貨十枚って、ぼったくりにしては、酷すぎないか?」


「うぅっ、こっ氷の値段が高いんですよ。この道具も、そこそこ値が張りましたし」


 かき氷マシーン異世界バージョン。

 見た感じ、相当使い込んでるっぽいけど、そんな道具あったんだな。


「それって、どこで手に入れたんだ? あっ、俺はかき氷で。ミルンは二つともだよな?」


「シャクシャクとソースっ!」


「流れの商人からっ、買いました。かき氷のソースは、何味にしますか?」


 かき氷には、シロップと言って欲しい。

 かけるモノとしては、間違っていないけど、焼きそばにソースで、かき氷にもソースだと、頭が混乱してくるんだよ。


「ミルンはすっぱいの!」


「んじゃぁ、俺は赤いので」


「畏まりました。少しお待ち下さいね……」


 焼きそばっぽいのを作りながら、かき氷マシーンも手際良く動かすって、器用だな。

 何を隠してるのか知らんけど、この人、アルテラには結構甘いから、それ絡みか?

 アルテラ……?

 アルテラなら、氷ぐらい出せるよな。

 んで、アイツは神様の一柱だし、かき氷マシーンを知ってても、おかしく無い。


「なあミルン。氷が無料で、道具も無料。それ以外の材料費だけなら、販売価格は、幾らになると思う?」


「その食べ物は、芋粉を使ってるの。お芋は、キロ単価百五十ストールだから、お祭り価格だとしても、二百五十ストールが妥当なの」


 ルトリアさんの顔色を窺うと、良い感じに目が泳いでいて、汗も凄いな。

 

「んじゃ、かき氷の値段はどうだ?」


「ソースのお値段に、少し上乗せしても、百ストールが良いところなの」


 このお店の表記で、計算してみます。

 焼き物、五百ストール。

 氷菓子、五百ストール。

 ミルンは一つずつ買って、俺はかき氷だけだから、合計は千五百ストールだ。

 銅貨十五枚分だな。


 それじゃあ、ミルン算ではどうか。

 焼き物、二百五十ストール。

 氷菓子、百ストール。

 俺とミルンの分を合わせても、銅貨四枚と石貨五枚の、四百五十ストールとなる。


「なあルトリア」


「ひっ、はっ、はい!」


「祭りだから許すけど、通常時にこんなんしてたら、また剥いて、牢屋放置だからなって、アルテラに伝えておいてくれ」


「分かりましたっ、必ず伝えます!」


 少し離れた所で、俺の後の人が苛々して待ってるから、今日はお咎め無しだ。


「お待たせしました! 焼き物は熱いので、気を付けてお持ち下さいね!」


「ありがとさんっと。ほい千五百ストールな」


「有難う御座います! 次の方どうぞーっ!」


 ルトリアの屋台から離れ、熱々の容器と、冷たい容器を抱えて、どこで食べるか。

 勿論決まっている。

 ファンガーデンが誇る、デートスポット。

 世界樹がランドマークの、湖のベンチだ。


「どっこいせっと。ほれミルン、ここに座って食べなさいな。二つだから流石に、俺の頭は皿に出来ないぞ」


「仕方無いの。んしょっ、食べる!」


 ミルン合体を解除して、横に並んで座り、いざっ、実食タイムです。

 

「それじゃあ、頂きます」


「頂きます! ズゾゾゾゾゾゾッッッ!!」


「ストップミルン!?」


「ズゾッ、なあに?」


 焼きそばは、飲み物じゃあ無い。

 付属の割箸を使わずに、飲み込む様に食べるなんて……ビックリしたわ。


「ちゃんと、お箸を使いなさい」


「むぅ……飲み込んじゃだめ?」


「駄目だ。今の姿を、万が一ドゥシャさんが知ったら、お野菜多めのご飯になるぞ?」


「それは嫌っ。お箸使います」


 和土国で、箸の使い方をマスターしてるから、問題無く使えるだろう。

 それなのに、さっきの行動……余程焼きそばが、楽しみだったのだろう。


「ずぞっ……ソースが甘辛で、こっちのシャクシャクと交互に食べると、無限にイケるのっ」


「無限は止めてね。黄色は柑橘系の果物か……それじゃあ、俺の赤いのは……っ!?」


「お父さん? 赤いの美味しい?」


 さて皆様。食べ物で、赤いモノと言えば、何を思い浮かべるだろうか。

 林檎。

 苺。

 桜桃。

 他にも色々な、果物があるだろう。

 しかし、赤い色の食物は、別に果物だけと言う訳では無く、他にも存在する。

 香辛料。

 そう、香辛料だ。

 しかも、食べ過ぎると、トイレに籠ってさあ大変! 紙が無くなりどうしよう!!

 そんな事になり得る、香辛料。

 肉料理のアクセントに!

 海鮮スープに混ぜるのも悪く無い!

 でもね、どろどろの液状にして、かき氷にたっぷりとかけるのはね、違うだろ!!


「お父さん?」


「ミルっン……少し、耳を塞いででぐれ……」


「お口が真っ赤なの!?」


 そりゃあね、タラコ唇さ。

 しかもその辛さがね、食道を通って、胃に来てるの分かるし、明日は尻が破壊です。


 

「ふぅ……っ、アアアルテラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア────っ!!」


 ピンポンパンポーン(上がり調)


 レベルが上がりませんでした(痔になる瞬間っ)


 ピンポンパンポーン(下がり調)



 コレはかき氷じゃ無い。

 拷問にも使えるだろう、ただの凶器だ。

 考案者は間違い無く、あの桃色お化けコト、アルテラの糞女神様だろ。

 次見つけた瞬間に、顔面グーぱん確定です。

 

「てっ、何が痔になる瞬間だっ!? なってたまるかっ! お前っ、何処にいやがるっ!」


「また聞こえたの?」


「ああっ、あのリシュエルだ。煽るだけ煽って、またレベル上げないとか……痔って……」


「ミルンの、一口食べる?」


「……有難うミルン。一口だけ貰うよ」


 ミルンのかき氷は、柑橘系の果実そのモノ。

 何で赤いのは、果物じゃ無いんだ。

 と言うか、リシュエルの奴……ここ最近音沙汰無かったのに、急に来るとか。


「ご馳走様っ。次はお肉を食べる!」


「あの屋台だな。昼になったら、領主館へ戻るから、それまでだぞ?」


「かしこまっ!」


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