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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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3話 祭りをのんびり楽しむデー.1



 三月七日、午前八時を、お知らせします。

 昨日の疲れが、全く抜けない。

 七時に目が覚め、ベッドに横になりながら、腕時計を眺める事一時間。


「……ミルンさんや、怖いから止めて?」


 いつの間にか、ミルンが部屋に侵入して、ベッドの端から、ジッと見つめて来るんです。

 圧で俺を、起こそうとしてないか?


「ボソッ(屋台開いてるのっ)」


 何故に小さい声で言う。

 屋台開くのは十時からだし、もう少し惰眠を貪っても、問題無い時間だろ。


「ボソッ(並ばないとっ、食べれないのっ)」


 並ばないと食べられない?

 今回の屋台は、ヤナギが中心となって、なんやかんやとしてるけど、並ばないと食べれない屋台なんて、あっただろうか。


「ボソッ(ひんやりシャクシャクするのっ)」


 何それ、かき氷?

 昨日しこたま残り物食べたから、胃もたれ中のこのお腹には、良い食物だけどさ。


「ボソッ(甘々の汁が、かけられてるのっ)」


 それは……かき氷だな。

 朝から並んでかき氷って、この異世界だと、贅沢な気がするぞ。


「ボソッ(ソース味が、人気なのっ)」


 んっ? かき氷じゃ無いのか?

 氷にソースをかけても、ただの冷たいソースを飲むだけだし、それなら要らないぞ。


「ボソッ(果物ものってて、甘々なの)」


 やっぱりかき氷なの?

 さっきのソースは意味不明だけど、果物がのった、ひんやりシャクシャクなら、かき氷しか無いだろう。


「ボソッ(肉汁たっぷり、じゅわぁなのっ)」


 駄目だっ、埒が開かない。

 ミルンの説明だと、かき氷なのか肉料理なのかが、判断出来ない。

 ひんやりシャクシャクの食感で、甘々の汁がかれられてて、ソース味が人気なんだけど、そこに果物ものせられてて、肉汁が溢れ出す。


「……何それ?」


「ボソッ(並んで食べるっ)」


 旅行から帰ってきてから、ミルンを構う時間が無かったから、丁度良いのかね。


「ミユンとか、ピュアはどうした?」


「今日は、ミルンと遊ぶ日!」


「成程、そう言う事だなっと」


 ベッドから起き上がり、いつもの服にスパッと着替えて、すかさずミルンをセットイン!

 一分で完了してやったぜ。


「ミルン装着完了!」


「ハッ!? ミルン反応出来なかったの!」


「甘いなミルン。その気になれば、三十秒で支度できる、流さんだぞ」


「お父さんが、気持ち悪いっ」


「ミルンさんや、寝ても良いかい?」


「駄目っ。前進よーそろっ!」


 扉を指差し、さっさと歩けと指示ですね。

 昨日の慌ただしさから一変して、この時間にも関わらず、通路で誰とも遭遇しない。


「皆んな、疲れてるのかね」


「ミユンとピュアは、起きてたの。二人で水田に行って、頑張るんだって」


「有難いな。ドゥシャさんとシャルネは、何してるか知ってる?」


「王様達連れて、温泉に行ったの」


「……裏山か」


 ルシィに、レイズ国王とザマァス王妃を連れて、温泉に行くとか……濃いメンバー過ぎる。

 どうりで、お付きの人達も居ない訳だ。

 静かで良いねぇ。


「ノイズ嬢とは、祭りを回らないのか?」


「それは明日! 今日は疲れて寝てるの」


 そりゃぁ、そうだ。

 東の国境付近から、二ヶ月以上かけてまで、このファンガーデンまで来たからな。

 来て直ぐ昨日のアレだったし。

 疲れない訳が無い。


「他の貴族達も、まだ寝てるか……」


 そう思って、庭に出た。

 だよな。

 この筋肉が、疲れるとか無いわ。


「ふんっ! ふんっ! おはよう流君!」


「朝っぱらから、人ん家の庭で、何してんの?」


「半裸の筋肉なの!?」


 異世界だから許されるが、もしも日本で、こんな筋肉が、上半身をムキムキさせながら、庭で変なポーズをとっていたら、事案です。


「ちょっとした、朝の運動であるっ!」


「胸筋をピクピクさせんなっての!?」


「ふむっ、運動は大事であるぞ?」


「村長のは、運動なのか……」


 ミルンが首を、横に振っているから、どうやらミルン的には、運動じゃ無いらしい。


「村長は、今日の昼に帰るんだっけ?」


「うむ。ミウとメオに、土産を買ってから、ミユン君に送って貰うのだ」


「見送りはしないぞ?」


「要らぬのである。次に会うのは、米の相談をする時であろう」


「だな……っとそうだ、『空間収納』っと。ミウとメオの分の、効果付きネックレスだ。防ステ十パーアップの、レアな物だぞ」


 しかも、この二つのネックレスは、銀では無く、全てがミスリルの、特別製だ。

 ミウとメオは、今でも大事なメイドだし、安全面を考えたら、これぐらいは必要だろう。


「ほい村長。二人に宜しくな」


「っ……この輝きは、ミスリルであるか。昨日貰った、ネックレスもそうであるが、効果付きの物を、こんなにも揃えるとは……」


「そこは企業秘密だぞ。にしても、一目でミスリルって、分かるもんなんだな」


「うむ。帝国の鉱山で、ミスリル鉱床を見つけたのでな。量が溜まれば、流通させるのであるぞ。買うかね?」


「そこは、状況次第だな」


 どうやって帝国の鉱山を……何て聞いても、そこは教えてくれないだろう。

 ミスリルは、ほんの少量であれば、管理している鉱山から出たけど、鉱床って程でも無い。

 少しだけ、羨ましいな。


「お父さん! 列が出来ちゃうの!」


「っと、御免御免っ。ほいじゃ村長、そっちに行った時にでも、話しようぜ」


「分かったのである。それまでには、領地の土壌を、改善しておこう」


 そうして、村長と軽い握手をしたけど、筋トレ後だったのを、忘れていた。

 滑っとしてました。

 もう本当に、滑っとしてました。



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