2話 婚約御披露目パーティー.8
「えーっ、皆様。ルシィが失神しているので、俺が紹介しよう。赤色がミルン、緑色がミユン。両名共、俺の娘だ」
「お肉大好きっ、ミルンレッド!」
「肥溜め大好きっ、ミユングリーン!」
「「二人揃ってっ、ネームドバスター!!」」
「二人パターンもあるのかよ……」
何? 戦いはどうなったのか?
巨大ロボと言うか、二足歩行型の戦車が現れて直ぐ、『空間収納』内にスポッと収納して、ミルンレッドとミユングリーンを捕まえ、こうして貴族達に、紹介しています。
しっかりと、仮面を取ってな。
それを見たリティナイエローとニアブルー、ヘラクレスブラックは、裏に引っ込んだわ。
流石に、あのロボはマズイだろ。
レイズ国王と、ザマァス王妃にも見られちゃったし、面倒事になっちゃうぞ。
「あのぉ……小々波閣下……」
「閣下? えっと…誰だっけ?」
「デブルバムで御座います。そのっ、先程の巨大な物は……何なのでしょうか?」
「ちょっとした置物だから、そんなに気にしなくも良いぞ。と言うか、気にするな」
「置物……」
戦車に脚が生えた物ですと言っても、ここに居るだれも、理解なんて出来無いだろう。
「そうそう、置物。そんな事よりも、このミルンとミユンを、今後とも宜しくな。ほら二人共、ちゃんと皆んなに、御挨拶しなさいな」
「宜しくお願い致します!」
「酒は飲んでも呑まれるな!」
ミルンレッドは、礼儀正しく言ったものの、シュバっとファイテングポーズを決め、ミユングリーンは、貴族に指差しお説教。
「ミユンさんや、指差して言ったら駄目だぞ。ミルンも、貴族に喧嘩を売らない」
「だってあそこで、黒姫が真っ赤なの」
「ミルンレッドより、お顔が赤いの」
「……アレは放置して良いんだ」
ぷにっとモードで呑みまくる黒姫は、酔い潰れた瞬間、周囲の暗部関係者に襲われるだろうから、放置して良い。
「んがっ! ……何がっ、起きたのじゃ」
ようやくルシィのお目覚めか。
こいつもこいつで、タフな女王様だ。
「おはようルシィ。ミルンとミユンの御挨拶は、もう済ましたからな」
「痛っ、何で儂、ここで寝とるんじゃ?」
どうやらルシィ、記憶が飛んだっぽい。
「酒の飲み過ぎで、ぶっ倒れたんだろ?」
「酒如きで儂が? 何じゃミルン……奇妙な格好をしておるのぅ」
「奇妙じゃ無いのっ、ミルンレッド!」
「不思議素材なのっ、ミユングリーン!」
「「二人揃ってっ、女王バスターっ!!」」
ネームドバスターは、何処に行ったんだ。
女王をバスターしたら、色々と不味くなっちゃうから、泣かせるだけにして欲しい。
「妙に疲れたなぁ……二人共。そろそろ、ドレスに着替えて来なさいな」
「りょっ!」
「かしこまっ!」
ミルンとミユンは、裏へと走って行った。
時刻は十九時半。
後は、ゆっくりと時間が過ぎるのを、待つだけだと思いたい。
会場の曲が、アニソンっぽいモノから、クラシックっぽいモノに変わり、何とか会場の騒めきを、抑える事が出来た。
ミルンとミユンは、ドレスに着替えて、貴族達に挨拶をしており……アレ、挨拶だよな?
「まさか、村長が来るとは、思わなかったぞ」
「手紙を寄越したのは、流君であろう」
「そりゃそうだ。領地開発は順調?」
「ミユン君のお陰で、随分と楽をしたのである。米はまだであるが、順調であるぞ」
「それは何よりだ。こっちでも米は作るけど、土地の広さが段違いだから、頼むぜ村長」
ドゥシャさんとシャルネは、お色直しで離れているので、こうして壁際で、話をしている。
何で壁際かって?
ルシィ的には、俺と村長が仲良くしてると、パワーバランスがどうのこうのって、頭を悩ますらしいからな。
「んで、何でリティナが居るんだ?」
「おどれの娘に攫われたんや!」
「誘拐されましたぁ」
「いやいや、ニアノールさんは大歓迎。猫耳ドレスが見れるなんて、目の保養ですからね」
「ほんまっ、しばき倒したろか!」
リティナのドレスは、黄色のドレス。
胸元には、可愛いピンクのリボンを付け、こうして見ると、普通の女の子だ。
普段の濡れリティナとは、大違いだぞ。
「何じろじろ見とんねんっ!」
ニアノールさんは、青色のドレス。
所々に、銀色の光る物が見えているが、リティナの護衛だから、仕方が無いのだろう。
猫耳ドレス姿、ご馳走様です。
「視線が気持ち悪いですよぉ」
「二人共、ぴちぴちスーツと、同じ色のドレスだなって思ってさ。良かったなリティナ」
「何がやねん?」
「そのドレスなら、可愛く見えるぞ。無い乳を上手く、誤魔化せてるしな」
「貶されてとるのかっ、褒められとるのかっ、どっちか分からん事言うなや!」
全く貶していませんとも。
銀髪と見紛う白髪と、健康そうな褐色の肌に、青の瞳と黄色のドレス。
そして、胸元のピンクのリボン。
うーんっ、カラフル。
「その顔はっ、馬鹿にしとるやろ!」
「馬鹿にしてないって。リティナもニアノールさんも、とても綺麗だ」
「うぅっ、気持ち悪いですよぉ」
「ホンマやなっ……寒気感じたわ」
今度はちゃんと褒めたのに、酷い言われ様。
「なぁ村長。俺、気持ち悪いのか?」
「ふむ。流君は、そうであるな……慣れている者であれば、気持ち悪さが分かるのである」
「慣れていない者は?」
「流君にコロッと、騙されるであろうな」
村長が何を言っているのか、理解出来無い。
慣れたら気持ち悪くて、慣れていなかったら騙されるって、どう言う事?
「深く考える必要は、無いのである。考えても分からぬし、意味の無い事なのでな」
「さいですか……」
「んで、流にーちゃん。ミルンから聞いたんやけど、まだやらへんのんか?」
「成程ね。それが、ミルンを手伝った理由か」
「報酬みたいなもんやろ。本当ならウチかて、外の祭りを楽しみたいんや」
「悪かったって。ドゥシャさんとシャルネが戻って来たら、最後の催しだ」
この異世界で、初となる催し。
会社主催の、大規模な忘年会であれば、必ずと言っても良い程、開催されるモノ。
「ハズレは無いから、楽しみにしてろよ」




