表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

504/565

2話 婚約御披露目パーティー.2



 炎終十一年、土の月の六日目。

 三月六日と、言い換えても良いだろう。

 朝日が『良い天気だぜ』と、顔を出して間も無いのに、犬人達が慌しく動き出す。


 パーッパパパッパッパップーッ!

 パーッパパパッパッパップーッ!


 貴族門の城壁の上部から、ラッパ音が、ファンガーデン中に鳴り響いた。

 二度のラッパ音から分かる通り、こんな朝っぱらから、二組の貴族様の御到着だ。


『整列! 間も無く馬車が通る! 各員持ち場に急ぎっ、安全に馬車を誘導せよ!』


「「「了解っ!」」」


 貴族の馬車を先導するのは、ファンガーデンが誇る、機動隊の馬人族だ。

 その馬人族が、立派な装具を付け、俺の貴族紋が施された、立派な旗を掲げて歩む。

 貴族門から入った馬車は、居住区、特別区、商業区の大通りを、ぐるっと回り、領主館の前に到着するのに、一時間をかける。

 遠目で見て分かる通り、貴族の馬車は無駄に豪華で、見世物としては最適だからだ。


『もう直ぐっ、貴族様の馬車が通ります! 規制線を越えない様っ、注意して下さい!』


『露店へ行くなら、迂回して下さーい!』


『見物人は前へ出ないで! 危ないですよ!』


 馬車の動線を確保するのは、歩兵部隊の面々であり、それを補助するのが、オーガ部隊。

 何処にでも馬鹿は居るから、間違っても貴族の馬車を止めない様に、周囲に目を光らせ、場合によっては力尽くで対応する。


 パーッパパパッパッパップーッ!


『次の馬車が来るぞーっ! 機動隊員は持ち場へ急げ! 旗を忘れるなよ!』


『馬車の先導をする! 道を開けろ!』


 慌てず騒がず冷静に。

 各部隊長が指揮を執り、護衛付きの貴族の馬車を誘導したいるのが、ここからでも見える。


「上手くやってる様だな」


 貴族門から少し離れた位置にて、建物の影から、そっと見守り流です。


「最初の馬車は……ルシィかよ。護衛が多過ぎて、攻めて来たかと勘違いするだろ」


 王族用の金ピカ馬車で、無駄にデカい。

 懐かしの、リティナの馬車よりかは小さいけど、それでも、動線ギリギリの大きさだ。


「派手に来たなぁ。あの感じだと、ドレスまで金ピカ……は流石に無いか」


 この婚約御披露目パーティーの主役は、ドゥシャさんとシャルネ、ミルンとミユンだ。

 もしも、この四人より派手なドレスだったら、そのままお帰り頂こう。

 後世にまで伝わる、黒歴史にしてやろう。


「ルシィには、慰問もして貰わないとだし、余程の事が無い限りは、帰さないけどな」


 院長影さんを管理人として、リティナでも治す事の出来無い、傷を負った人達に、仕事をして貰う施設。

 あの、スラム化しそうな場所に居た人達を集め、特別施設を作った。

 生まれ持った障害の所為で、碌な仕事にありつけず、魔物に襲われ、死ぬかもしれない中で、ファンガーデンまで来た、逞しい人達だ。

 

「機械の無い世界なんだから、どんな人でも、最高の人材なのになぁ」


 義手義足の資料は有るんだし、研究チームを作って、調べて貰おうか。


「……っと、そろそろ戻らないと」


 パーッパパパッパッパップーッ!


 ラッパの音を背に、領主館へ猛ダッシュ。

 領主館正門前には、新しく雇い入れたメイド達が待機しており、その先頭で、アトゥナが凛とした姿で立っていた。


「よっ、一番手はルシィだったから、そんなガチガチにならなくても良いぞ?」


 そう俺が声をかけた瞬間、メイド達が一斉に頭を下げ、『お帰りなさいませ、御領主様』と、見事なカーテシーを披露。


「うんうん……嫌がらせか?」


「こんな一大事に、外に出てるのが悪いだろ。ドゥシャ様が探してましたよ」


「外見に行くって、言ったんだけどなぁ」


「早く中に入って、着替えて下さい。女王様が来るのなら、出迎え必須でしょ」


「へいへい、分かりました」


 アトゥナに言われるがまま、衣装室へと行き、待ち伏せて居たラナスとコルルに、あっと言う間に着替えさせられ、軍服風の流です。

 貴族の服装じゃ無いって?

 俺はコレで良いんだよ。


「なぁコルル、ドゥシャさんは?」


「ドゥシャ様なら、陛下が来るので、流さんを探していました。今は自室に居ますよ」


「……影さんから報告受けたのか」


 腕時計の時刻は、八時半。

 ルシィが到着するのに、後三十分はかかる。


「ドゥシャさんの部屋に行って、のんびりと、茶でも飲んで待つか」


 ラナスとコルルに礼を言って、そのままドゥシャさんの部屋に向かい、扉をノック。


「ドゥシャさん、流だ」


『どうぞ、御入り下さいませ』


「失礼しますよっと」


 部屋に入ると、ドゥシャさんは未だ、スタンダードなドレスのままだ。

 御披露目ドレスは、まだなのか。


「どうかなさいましたか?」

 

「まだ、御披露目のドレスじゃ無いんだなと思ってな。どんなドレスか、俺知らないし」


「それは、夜会までのお楽しみに、御座います」


「そりゃ楽しみだ。ドール、お茶を頼む」


「了。超渋めで、お淹れ致します」


 ドールとドーツは、メイド服を改良したかの様なドレスを着て居て、もしかして……マネキン扱いされて無い?


「どうぞ。超渋めのお茶になります」


「あんがとさん。ズッ……甘っ!?」


「訂正。超甘めのお茶になります」


「俺を揶揄う機能、マジで要ら無いんだけど。勿体無いから飲むけどさ……甘いっ」


 この、甘味の中から、更に甘さが襲って来て、それ以外の味がしない甘さって、何を使ったらこんなに甘くなるの?


「胃もたれしそうな甘さだ。うぷっ……」


「流様。もうそろそろ、お出迎えの御準備を」


「分かってる……行こうかドゥシャさん」


 甘さで胃が重くなるとか、最悪なんです。

 吐きそうになったら、ルシィにぶちまけて、盛大に泣かせてやろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ