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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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1話 婚約御披露目パーティーの準備.9



「手紙はこれで、終わりっと。全部で五十二通あるけど、貴族ってこんなに居たっけ?」


 大貴族とかは、自領内に複数貴族を抱えてるって話を、何処かで聞いた様な気もするが、そこいらへんの事は、良く知らんのよ。

 グループ会社全体の会長を、女王と例えるなら、社長はその下の公爵だろ。

 んでその下の、各会社の社長が侯爵で、その下に伯爵が位置すると。


「辺境伯は……普通の伯爵の上位だっけ。公爵とかのお偉いさんは、見た事無いな」


 そう言えば、公爵の地位は王族が持つって話を、昔聞いた様な気がするけど、ルシィ以外の王族って、居ないよなぁ。


「侯爵の位を持つ奴も、見た事無いし……貴族階級とか、複雑過ぎんのよ」


 地球と同じなのか、それとも何か違うのか、今だにハッキリしないし。


「そこら辺は、連邦国の方が分かりやすいわ。国の代表では有るが、王じゃ無いからな」


 まぁ、あの代表達を見る限りだと、普通に独裁政治をしてそうだけど。

 

「んじゃそろそろ、ドールに話を聞かないとだな。付与のやり方とか、知ってると良いんだけど」


 執務室を出て、ドールを探す。

 俺やドゥシャさんの指示が無い間、ドールとドーツは自由行動をさせている。

 勿論、変な行動はするなと、命令してだ。


「ドーツは、外部兵装とかの修理を、延々としてるけど、ドールは何してんだろ?」


 スライムの考えなんて、分からんわな。

 スライムかどうかも、怪しいけど。

 生き物であれば、空間収納に収納出来無い筈なのに、アイツら収納出来るからな。

 

「……良く分からん」


「何が良く分からないの?」


「……ミルンさんや、気配消すの上手くなったなぁ。だが甘い! 尻尾が見えてたからね!」


「御座るに鍛えて貰ったの!」


 御座るさん何やってんの。

 俺とドゥシャさんが、旅行行ってる間、何かと世話してくれてたみたいだけど、ミルンを忍者にでもする気なのか?


「んしょっ、んしょっ、合体!」


「ミルンセットッ! 流ロボっ、発……ミルンやっぱり、背が伸びたよね?」


 出会って何年? 四年ぐらいか?

 子供の成長は早いと言うけども、ミニマムミルンだったのが、リトルミルンになってるぞ。

 

「もっと成長したいの!」


「急ぐ必要なんて無いだろ? あと五、六年もすれば、もっと大きくなってるさ」


「お父さんよりっ、大きくなります!」


 そうなったら、もう肩車は出来無いな。

 少しだけ、寂しい気持ちになって来たけど、こればかりは仕方が無い。

 時間は前にしか、進まないのだから。


「ミルンさんや、ドール見てないか?」


「ドール? それならお庭で、ボーッとしてるの。つついても、動かないの」


「……燃費悪過ぎだろっ」


「ねんぴって、なあに?」


「何だろうねぇ。このまま庭に行くか」


 ミルンを肩車したまま、館の庭に向かうと、確かにドールが停止していた。

 直立不動のまま、庭の中心で固まるなよ。

 近付くと、小さな声で『燃料を充填して下さい』を繰り返し、ちょっとしたホラーだ。


「動かないの」


「大丈夫大丈夫。アイアンクローすれば、直ぐに動き出すからな」


「あいあんくろー?」


「こうやって、手の平で顔面を掴んで、メキメキさせるのが、アイアンクローだ」


 ステータスが低くても、一定のダメージを与える、素晴らしい技だな。


「充填中…ドール、省エネモードにて、再起動します。充填中…充填中…」


「動き出したの!」


 ミルンが肩上から手を伸ばして、ドールの顔面を触ろうとしたので、直ぐにそれを止めた。


「ミルンっ、触ったら肉無し晩御飯だ!」


「肉無しは嫌! 何で触ったら駄目?」


「魔力がドールの燃料だからな。下手に触って吸われでもしたら、危ないだろ」


「魔力! ミルンのステータスに、魔力が書いてあるの! それドールのご飯?」


「そうだ、魔力がこいつの……今なんて?」


「魔力がドールのご飯?」


「その前その前。ステータスに魔力がって……」


「魔力が書いてあるの?」

 

 何でやねん!?

 俺のステータスには、魔力の項目なんて無いし、どうなってんの!?


「因みに、魔力の数字は?」


「数字? えっと……二百ちょいなの」


「マジか……」


 人によって、ステータス表記が違うのか?

 そういや俺って、他の人のステータス聞いた事無いし、これは検証しなくちゃだ。


「充填中…省エネモード解除、おはよう御座います」


「もう夜だけどな。何で朝満タンにしたのに、もう燃料切れてんだよ」


「ドーツの外部兵装修復にて、多めに使用致しました。以上」


 ドーツの外部兵装って、あの鉄屑だろ?

 自己修復機能も、魔力でどうのこうのって、本当に意味不明なロボだな。


「まあ良いや。ドール、お前に聞きたい事が山程出来たから、執務室まで来てくれ」


「了。同行致します」


「どこからお声出てるの?」


「仮の管理者の権限外にて、回答不可」


 そこは回答不可なのかよ。

 水晶の下辺りに、小さな穴が有るから、そこから声を発してるのバレてるぞ。


 そうして、ミルンを肩車したまま、執務室へと戻り、思い付く限りの質問をしてみた。

 付与のやり方を知っているか。

 ドールの解析で、ステータスが見れるのか。

 魔力とは何なのか。

 その返答が、これだ。


「仮の管理者の権限外にて、回答不可」


 そして、ミルンの反応が、これだ。


「なんで?」


「仮の管理者の権限外にて、回答不可」


「なーんーで?」


「仮の管理者の権限外にて、回答不可」


「管理者って、なあに?」


「当機を作り上げた、偉大なる方と、メモリーに残っております」


「メモリーって、なあに?」


「当機ドールの、記録を保存する、脳と定義」


「なんでさっきの教えてくれない?」


「仮の管理者の権限外にて、回答不可」


 アレだよ、小さい子供の、なんで口撃。

 一度これにハマると、延々と、逃げ場の無い絨毯爆撃に曝される。


「ドールは、付与知ってる?」


「記録されております」


「そのやり方は知ってる?」


「記録されております」


「やり方教えて下さいな!」


「仮の管理者の権限外にて……回答不可」


「なんで?」


 何でかな、顔面水晶のドールなのに、若干疲れが見えた様な気がしたぞ。

 ミルンもミルンで、何とか聞き出そうと、抜け道を探しながら話をしている。


「特例は無いの?」


「仮の管理者の権限外にて、回答不可」


「ドールは付与出来る?」

 

「可のっ…管理者の許諾が必要です」


「やって見せて!」


「管理者の許諾が必要です」


 今のは惜しかったな。

 どうやらこのドール、統括機体だけあって、色々と機能を備えてる様だ。

 付与のやり方を、知ってるだけでは無く、ドール自身が出来るとか、最高じゃん。

 あとはどうやって、それをさせるかだが。


「やって見せて!」


「管理者の許諾が必要です」


 交渉で、どうにかなるモノなのかね。



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