1話 婚約御披露目パーティーの準備.6
連邦国家からの書状。
中身を開いて見てみると、なんて事無い、ただのクーレムと言うか、アルマシロに出現したらしい巨大な砲の、説明を求める内容だった。
ドゥシャさんとアイコンタクトを取り、そこからの第一声が、コレだ。
「……皿あげるから、帰ってくんない?」
「それは、内容をお認めになると言う事ですか」
「認めるもなにも、良く分からん事が書いてあって、俺が犯人扱いされてるよね?」
「では違うと?」
「違うも何も、知らんとしか言えんだろ? 面倒事に巻き込むなよって言う、お願いの品だ。勿論、マルリンだけに贈るぞ」
アルマシロの代表は、マルリンだからな。
それ以外の奴になんて、贈る訳が無いし、贈る必要も感じない。
「どうやって、アルマシロから帰られたのですか。国境は、閉じられていた筈ですが」
この小花と言う幸薄女、厄介系か。
代表があんなのだから、その下で働く奴等が苦労して、無駄に能力が上がるパターンだろ。
「俺がどんな存在か、知ってるよな?」
「お聞きしております」
「手の内を明かせと?」
「貴方様ご自身の、潔白の証明になります」
「証拠も何も無いのに、犯人扱いされて、手の内明かせとか……どうするドゥシャさん?」
ここはドゥシャさんに、軽くトスだ。
状況次第では、この小花と言う女性に対して、失礼な事をせにゃならんし。
「宜しいのでは無いかと。是非とも小花様に、体験頂ければと存じます」
「流石ドゥシャさん、分かってるぅーっ」
「何の話でしょうか……っ」
不安な顔して、若干震えてないか?
別に、狩って喰おうって訳じゃ無いし、セーフアースには送らないから、安全だぞ?
「それじゃっ、庭に行こうか」
「小花様、御案内致します」
「えっ、ちょっと、庭ってっ」
ドゥシャさんに、一度手首を掴まれたら、もう逃げる事は叶わないぞ。
リンゴっぽい果物を、手絞りジュースに出来る握力だから、暴れても無理だって。
そのまま庭にレッツゴーからの、必殺技!!
「ここで何を……」
「えっ? 『緑化魔法』だけど?」
「まほ────」────ズボッッッ!!
良い感じに埋まったなぁ。
「いつ見ても、恐ろしいモノに御座います」
「確かに……今頃湖だろうから、迎えに行くか。そういや、ピュアは何してんの? ミルン達と、顔合わしてないけど」
「大浴場にて、泳がせております」
さっそく、自動浄水機扱いされてんの?
水の精霊だから、水場が好きなのは分かるけど、身なりを整えるって言ってたよね?
「……流石ドゥシャさん、能力把握か」
「大事な事かと、存じますので」
そんなこんなで湖へ行き、小花さんとやらはどこかいなと、周囲を確認。
姿が見えないけど、何処行ったんだ?
「居ないなぁ」
「誰かに助けられたのでは、ないでしょうか」
「若しくは、泳げない可能性とかか?」
「「……」」
海や川に面していない土地だと、泳ぐ事なんてそうそう無いし、無きにしも非ず。
ドゥシャさんと二人で、無言のまま湖を眺めて、どうしたものかと考えます。
「取り敢えず、手を合わせておくか」
「それは、御食事でされるモノでは?」
「所作は同じでも、中身が違うんだ。これは、弔いの祈りみたいなモノだな」
「勝手に殺さないで下さい!!」
急に背後から怒声が聞こえ、驚いて振り向くと、ずぶ濡れ小花さんがそこに居た。
「ナイスずぶ濡れ」
「っ、死ぬかと思いましたよ! いつの間にか水の中って、何をされたのですか!」
「んーっと、転移? みたいなモノ?」
「てっ……えっ?」
「館の庭からこの湖まで、転移させたんだ。これが俺の、奥の手の一つだな」
空間収納から布を取り出して、呆けている小花さんの頭に被せ、軽く説明。
今の所は、エイドノア大陸内なら、何処からでも湖へ帰還出来る事を伝えた。
弱点も把握出来てるし、上手く活用すれば、暗殺者にとってはチートスキルだろう。
「これで、御理解頂けましたでしょうか? 流様ならば、国境を越えずとも、このファンガーデンに帰って来れるのです」
「……奥方様の、仰られる事は分かりました。各代表には、その旨をお知らせ致します」
「お願い致します。それでは、再度館へ。お体も冷えておりますし、湯浴みをされてから、ごゆっくりなさって下さい」
「それは有難うごっクシュっ!!」
ドゥシャさんの笑みが、何か考えてそうな雰囲気だけど、いくら温暖な気候でも、ずぶ濡れ放置は風邪引くからな。
「ボソッ(何やろうとしてんの?)」
「ボソッ(流様。それは、帰ってからのお楽しみに御座います)」
「何を話しておられるっクシュっ!!」
「何でも無いぞ。早く館に帰ろう」
ドゥシャさんが、何をしようとしてるのか、さっさと帰って知りたいからな。
ワクワク気分で館に帰り、小花さんを大浴場に御案内して、俺とドゥシャさんは、のんびりと応接室にてお茶を楽しむ。
そうこうしていると何処からか、誰かの悲鳴が聞こえたけど、これは小花さんだな。
「ドゥシャさん何したの?」
「ピュアがどう反応するかの、実験に御座います。どうやら、良い反応で御座いますね」
「防犯要員にも使う気なのか? これって、小花さん死んでないだろうな……」
「足音が聞こえますので、大丈夫かと」
確かに『ドドドドド』って走る音が、どんどんと近付いて来るんだけど、凄い音してんな。
ドッバァンッ────「殺す気ですか!?」
勢い良く扉がぶち破られ、全裸のまま湯気がもこもこと、小花さんのブチ切れモード。
リティナと違って、面白味を感じないから、減点対象にするしか無いな。
「小花様。裸で走り回るのは、どうか御遠慮下さいませ。小さい子も居ますので」
「奥方様! 口元が笑ってるんですよ! 何ですかあの子供っ、熱湯かけて来ましたよ!!」
「水の精霊様の、悪戯に御座いますね」
「危うく死にっ……水の……精霊?」
「当家の一員に御座います」
「報告内容が一気に増えた!?」
土の精霊であるミユンの存在は、色々と知られていたけど、ピュアの存在は、水の精霊だけに、寝耳に水だろうな。
取り敢えず、全裸を何とかして貰わんと、こっちが恥ずかしくなってくるぞ。




