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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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1話 婚約御披露目パーティーの準備.5



 土鍋五つで米炊き中。

 目が離せないとは、こう言う事だろう。


「ごーはんっ、ごーはんっ、ぐつぐつまあだ?」


「蓋を取ったら怒られるーっ」


「ごーはんっ、ごーはんっ、ぐつぐつまあだ?」


「ピピィ、ピィピィ、ピーピピキュッ」


 ミルン達、また即興で歌ってる。

 今度はエトワルも追加されて、良い感じの音色を奏でているぞ。

 翻訳されないと言う事は、あれは鼻歌? それとも、翻訳し切れないだけなのか?


「おのぉ、領主様…これは、いつ迄待てば?」


「まだだぞ。蓋を取ったら台無しだからな」


「はぁ……」


 米研ぎをして土鍋に入れ、水の量も完璧に調整したから、美味しく炊ける筈。

 ニンニ君がそわそわとしてるけど、しっかりと魚を焼いてる辺り、流石料理長だ。

 他の調理担当も、しっかり統率しているし、俺の目に狂いは無かったな。


「お父さんっ、まあだ?」


「まだまだだぞ。火を止めても、三十分は放置するから、昼御飯は二時になりそうだぞ」


「二時っ……遅めのお昼なの」


「ミルンお姉ちゃん。お米は手間暇がかかるから、仕方無いと思うの」


「ぬぅ…お腹空いたっ」


 その手間暇があってこその米だな。

 室温管理さえすれば、長期保存が出来て、腹持ちが良い穀物なんて、最高でしょ。


「そういやミユン、村長のとこの畑は、どんな感じなんだ? 米作れそうか?」


「まだ先っ。今は、お芋や葉野菜を中心に育ててるから、お米は違う村で作る予定」


「成程。優先順位を決めてるんだな」


「そうなの。ミウやメオが居るから、作業効率はアップしたけど、やっぱりファンガーデンとは、勝手が違うっ」


「そりゃぁ、王都から離れてるからなぁ。俺の全力ダッシュでも、相当時間かかったし」


 それなら、婚約御披露目パーティーには、村長は来れないだろうな。

 距離が離れている事と、領地を任せられる人員が足りないから、離れられないだろうし。

 

「迅号の全速力なら、数日あれば着くから、折を見て話しに行こうかね」


「ピィッ…良い匂い!」


「ふっくらぐつぐつ、良い匂い!」


 ミルンとエトワルは、土鍋から出てる湯気に夢中で、涎がえらい事になってるな。

 まだだから、蓋は取っちゃ駄目だぞ。

 そうして雑談していたら、何処からか俺を呼ぶ声が聞こえたが、これはコルルの声か?


『流さぁーん、どこですかぁーっ』


「コルルーっ! 厨房に居るぞーっ!」


『お客様が来てますよーっ』


 大事な米炊きの最中に、まさかの客かよ。

 行きたく無いなぁ。

 でも行かないと、コルルがドゥシャさん連れて来て、強制的にレッツゴーだからなぁ。


「お父さん、行かないの?」


「……土鍋を見守りたい」


「パパ! ミユンとニンニが見てるからっ、お客様対応して来るの!」


「ピィーッ(見てるーっ)」


 不安だなぁ。

 何が不安って、俺が対応している間に、炊けたお米が全て、無くなるんじゃないかっていう不安なんです。

 この娘達の顔見たら、離れたく無い。


「領主様、しっかり見てますので、大丈夫ですよ。後ほどお持ちしますので……」


「言ったなニンニ君……本気で頼むぞ」


「流さん! お客様ですぅ!」


 とうとうコルルが来ちゃったよ。

 ほっぺをぷんぷんさせて、羽根が忙しなく動いてるから、ちょい怒だな。


「へいへいったく、この忙しい時に誰だよ」




 愚痴愚痴言いながらも、応接室にご到着。

 コルル曰く、貴族として出迎えて良いのか、分からなかったので、商い用の応接室にて、来訪者を待たせているらしい。


「……貴族か分からん奴て、どんなだよ」


 扉の前で、意味も無く深呼吸と。

 それじゃあ、米炊き邪魔した奴の顔を拝んで、さっさと戻りますか。


 ガチャッ────「流様、遅いですよ」


 そのままバタンと閉めて、考える。

 何故かドレス姿のドゥシャさんが居て、お茶を片手に、来訪者と雑談していた。

 来訪者もチラッと見えたけど、全く知らない女性で、何か幸薄そうな顔だったな。


『流様……早く入って下さいませ。お客様がお待ちに御座います』


 部屋の中から、さっさと入って来い指令。

 一体俺に何の御用なの?

 訳が分からず、そっと扉を少し開けて、隙間から御挨拶してみる。


「流辺境伯様だぞーっ、あんた誰?」


「流様…それは失礼に当たります。彼女は連邦国ツキヨからの使者、小花様に御座いますよ」


「皿はあげないぞーっ」


「流様、御早く御入り下さいませ。さもなければ……ミルン御嬢様に接触禁止令を出しますが」


 ガチャッと入ってすかさず土下座!!


「勘弁して下さい!! ドゥシャさんの言う事ならっ、ミルン聞いちゃうから止めて!!」


 ミルン接触禁止令なんて、ミルンなら遊び感覚で逃げそうだから、本気で俺のメンタル崩壊するぞ? 俺を殺す気なのか?


「あのぉ…先に言われました通り、連邦国家からの使者として来ました、小花と申します……」


「失礼致しました小花様。こちらが、このファンガーデン領の領主である、小々波流様に御座います」


「土下座姿勢ですまんな。流と呼んでくれて良いけども、皿くれ女の国から何で?」


「さっ、皿くれ女……我が国の代表が…皿くれ女だなんて……」


「流様……」


 ドゥシャさん呆れ顔してるけどさ、間違った事言ってないからな。

 垂れ目でぺったん睫毛バーンな、一度見たら忘れない顔なのに、皿くれ皿くれと、性格までヤバい奴なんだよ。


「んで、そのツキヨから何の様だ?」


「……連邦国からの、書状をお持ちしました。それと、我が国の代表は、十花忌道理様ですので、先程の皿くれ女は、御訂正下さい」


「訂正して欲しいなら、皿くれ女に皿を諦めさせないとな。ドゥシャさんは内容見たのか?」


「流様宛てに御座いますので、見ておりません」


「そうなのか? んじゃ、なになにっと」


 書状の封を開けて、ピラっと確認。

 成程成程、ふむふむと。


「……皿あげるから、帰ってくんない?」


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