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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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1話 婚約御披露目パーティーの準備.4



 気分転換がてら、ぶらぶらしていた言い訳として、パッと閃いた内容がコレだ。

 婚約御披露目パーティーに来るであろう、貴族の数は、何気に多い。

 それならば、ちょいと道順を調整して、そのお貴族様には、見世物になって貰おう。


「そんな感じで、道順の確認中だな」


「何や変な事考えおるな。貴族を見世物なんて、不敬どころの話ちゃうで」


「ちゃんと手紙に書いておくさ。見世物になるのが嫌なら、来なくて良いからってな」


「えげつないなぁ。ファンガーデンに来えへんかったら、あん女王の不況を買うやろ。嫌でも来なあかんやん」


 ルシィの不況を買う?

 別に何とも無いんじゃね?


「理解してへん顔やな……」


「だってあのルシィだぞ? 不況なんて買っても、問題なんて無いだろ?」


「今のファンガーデンならそやろけど、他の領地や貴族共からしたら、死活問題やねんで?」


 死活問題って、王政ってやっぱり凄いのな。

 普通の貴族からしたら、ルシィに睨まれただけで、貴族生命終了とか、ワロスワロス。


「貴族で無くなるとか、どうでも良いわ」


「流にーちゃんからしたら、そうやろな。権力とかに、興味無さそうやもん」


「全く無いぞ。貴族の権限取り上げられたら、喜んでセーフアースに移住するからな」


 そうなったら勿論、丸ごとファンガーデンを持って行く予定です。

 半径十メートルの大きさの家と、浄化槽や養鶏場、ミユンの土を根刮ぎ持って行けば、移し替えは可能だろう。

 その後に、ケモ耳達を湖にダイブさせて、最後に世界樹を何とかすれば、完了。


「……イケる!!」


「なーんか、怖い事考えとる顔しとるな。頼むから、変な被害出さんといてや」

 

「被害が出るとしたら、ジアストールだけだから、問題無しだろ?」


「何の話しとんねんて! えらい話こんでもーたわ。治療院戻るけど、ホンマ頼むで」


 何を頼むんだと聞く前に、リティナが行ってしまった。本当に、何を頼むんだ?


「今の時間は……昼過ぎか。戻って米の実食するついでに、焼魚を食べるか」




 屋敷に戻った俺は、いそいそと食料庫に向かい、少し濁った米を見て、涙が止まりません。

 たわわに実った稲を刈り取り、乾燥させて、脱穀したあと、更に籾摺(もみす)り、精米して、やっとの事で米になる。

 魔法が存在する異世界であっても、この米作りは、手間がかかるんだ。

 ミユンのお陰で、時間はかからないし、虫害や病気の心配が無いのは、正にチートです。


「農家さんっ、有難う御座いまずっ…(ズズッ)」


「お父さん見つけた! 何で泣いてる?」


 実食する前に、食いしん坊の犬耳ミルンに、見つかってしまった。

 匂いを辿って来たのかな?

 涙や鼻水全開の姿を見られて、少しだけ恥ずかしいんだけど、これは仕方が無いんだよ。


「ミブンぼばべぶば?」

 

「お顔が汚いの!? ばっちい!!」


「(ズッ)…それだと、俺の存在が悪玉菌に思われちゃうから、勘弁してくれ」


「あくだまきん?」


 腸内に潜む悪い菌は、流石に知らないか。

 知ってたら、リアクションに困るところだけど、知らないなら良しとしよう。


「ミルンもお米食べるか?」


「何も匂いがしない……不思議なの」


「頑張って水田管理したからだな。あとは食べてみて、和土国米との違いを探すんだ」


「間違い探し? それなら食べる!」


 良々。尻尾振り振り全開で、自動埃取り機になっちゃってるけど、埃一つ無い食糧庫だから良かったぜ。


「それじゃあ、厨房にお邪魔するか」


「料理長に教える?」


「そうだな。料理長に教えておいて、色々アレンジ出来る様に、しておこうか」


 初めての米だろうし、屋敷で働く皆んなにも実食させて、感想とかも聞いてみよう。

 そう思い、米二キロ分を袋に移して、厨房へと向かい、料理長の前に無言で置いた。


「……えっ?」


 状況が理解出来ていないのか、米を前に固まったままのコイツが、いつも美味しい料理を作ってくれている、料理長のニンニ君だ。

 西洋コック服を身に纏い、頭から狸耳が見え隠れしている、ふっくらした狸人だ。

 名前の最後に"ク"を付けたら、俺の好きな調味料になるので採用した。


「あの、領主様? ミルン御嬢様?」


「傾注なのっ!」


「今から米を炊きます!」


「えっ? えっと、えっ?」


 察しが悪いな。

 料理長なんだから、この米を前にしたら、喜び勇んで発狂しないと駄目だろう。


「米とは…何ですか?」


「傾注なのっ!」


「米を知らんとは……米とはっ!」


「ふっくら美味しい大地の恵み!」


 背後から突然、ミユンが登場して、俺とミルンの言葉に合わせて来た。


「ふっ、増えた!?」


 料理長のニンニ君が、何故か一歩後ろに下がり、あわあわと落ち着きが無い。

 そんなに怯えんで良いのにな。


「「傾注なのっ!」」


「米を炊くから! 作り方を覚えるんだ!」


「ピィ! 食べさせて!」


「まっ、また増えた!?」


 今度はハーピィのエトワルが現れ、羽根を広げて食べさせろアピール全開だ。

 でもなエトワル、それじゃあ減点だ。

 ミルンとミユンが羽根に包まれて、気持ち良さそうに寝そうだからな。


「……お遊びはここ迄にして、昼御飯作るか」


「ニンニ! 手伝うの!」


「ふっくら美味しい大地の恵み!」


「ピィィィッ! (ご飯っっっ!)」


「今の遊びだったんですか!?」


 狸人なのに、悪戯が苦手なニンニ君だな。

 


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