7話 領主代行ミルンのお仕事.6
ミルンの簡単、殲滅講座なの。
先ずは、城壁の天辺から、下の諜報員達目掛けて、ジャンプします。
落ちる際には体を丸め、回転した後に、右足を突き出しながら、『天誅』と叫びましょう。
上手い具合に、諜報員の頭に右足を当てて、首を圧し折る事が出来たら、その場に居る全員の動きが止まります。
あとは簡単。
男は股間を潰して、動けない様にするの。
女は脚を折って、動けない様にするの。
あっと言う間に殲滅完了。
「……エグいで御座るぞ」
「お父さんなら、セーフアースに直送して、魔物の美味しいご飯にするの」
「子は、親を見て育つ……で御座るな」
「ミルンは優しいから、餌にはしないの」
餌にはしないけど、後悔はして貰う。
男は、オーガの雌にプレゼント。
片玉は生きているから、死なない程度に、オーガ達に蹂躙されるの。
リーダー以外の女は、脚が折れたまま、ミルン管轄の鉱山送りとなります。
鉱山の野郎どもが、紳士的に介抱してくれるから、脚が折れてても大丈夫なの。
「ミルン御嬢様なら、暗部でもやっていけるで御座るな。純粋な狂気で御座るよ」
「暗部ほど酷くは無い……筈なの」
「それじゃあ、此奴らを館へ運ぶで御座るな」
「静かだと思ったら、泡吹いて気絶してる……弱々諜報員なの」
縄で纏めて縛って台車に乗せ、宿屋近くまで運んだら、黒姫に合図をする。
宿屋に居る男も、お持ち帰りなの。
この一団を、館の地下にぶち込んだら、直様警備隊を招集して、ファンガーデン内部に点在する、お父さんの隠れ家に突入させた。
お父さんはこの時の為に、ワザとこんな場所を、作っていたのだろうかと思う程に、居るわ居るわの他国の諜報員。
正に取り放題。
一夜で総勢四十八名もの、お馬鹿さん達が捕獲されました。
「おはようなの…むにゅむにゅ」
「ミルン御嬢様。おはようで御座る」
昨日遅く迄動いていたから、まだ眠たいの。
黒姫とアトゥナは……地下で作業中だった。
今日のお付きはラナスなの。
カチャッ────「おお待たせしましたぁ」
ラナスがお付きだと、お茶を溢したり、何も無い所で転けたり、見てて飽きないの。
今日は珍しく、お茶を溢して無いの。
「どっどどうぞぉ」
「有難うなのラナス……面白味が無いの」
「頂くで御座るよ」
うん。緑茶なのに全く苦く無くて、まるでお団子を凝縮したかのような甘味に、どこからか酸味が襲ってくる、悪魔の飲み物なの。
「ラナス、お茶に何入れた?」
「えっ、ええぇっと……美味しくなるかなと思って、甘タレとレモモを少し……」
「緑茶への冒涜なのっ!!」
「うぬぅ……普通に不味いで御座るっ」
「わっ私が飲んだ時はっ、美味しかったですぅ」
ドジっ子が無くなったと思ったら、究極の味覚音痴属性が追加されてるの。
次は必ず、コルルに頼むの。
「これで少しは、諜報員減った?」
「分からぬで御座る。前日捉えた者達は、ルノサイアの間者のみで御座った故」
「ぬぅ…難しいの」
「焦らずとも、こう言うのは根気で御座る。怪しい場所を徹底して潰せば、数は減っていくで御座るよ」
ぷちぷち潰していくの。
若しくは、この都市内部に居ると噂の、精霊達にお願いをしてみるの。
ミユンが以前、いっぱい居るって言ってたから、姿を偽って暮らしてる筈なの。
「どこに居るだろ……」
「ミルン御嬢様。余り突飛な行動をすると、皆んなに迷惑がかかるで御座るよ」
「大丈夫なの。精霊達を集めて、諜報員を撲滅して貰うだけなの」
「……大事に成りそうで御座るっ!?」
大丈夫なの。
精霊達は、お父さんが大好きなの。
イコール、お父さんの娘であるミルンも、好きになってくれる筈なの。
「今日は精霊達を探す! 御座るも手伝って!」
「……承知したで御座るよ」
ミユン以外の精霊を、仲間に加えるの!




