7話 領主代行ミルンのお仕事.4
そして今日、こうして捕まえた二人のお体に、優しく背後関係を聞いてるの。
勿論、身包みは剥いで、全裸にしてます。
「真っ赤な果実のふっくらお尻なの」
「四つには割れておらぬのぢゃ」
いくら叩いても中々吐かない。別の手段を考えた方が、良いのかな。男は、またオーガに襲わせて、女は黒姫の角でブスッと刺すの。
「黒姫。この二人の持ち物は、どうだった?」
「今アトゥナが調べておるのぢゃ」
「それ次第……ねえ男の人、貴方のお名前は?」
『もももむーっ! むーっ!』
「やっぱり答えないの」
バチィンッ────『ああああああっ!?』
良く訓練された諜報員なの。
こんなにお尻が真っ赤なのに、何も言わずに堪えるだなんて、あっぱれなの。
「それなら、女の人は答えてくれる?」
『びあああっ! もあああっ!』
「やっぱり答えないの」
バチィンッ────『ぎゃあああっ!?』
全裸でお漏らしと言う、醜態を晒しながらも、一切喋らないのは素晴らしいの。
「ザッ、諜報員の鏡」
『もおおおおおおっ!』
『びやああああああっ!』
「いやミルン御嬢様。猿轡なんかしてたら、喋れませんて。絶対遊んでますよね?」
猿轡をしてても、喋ろうと思えば、幾らでも喋れるの。実際お父さんは、猿轡を粉々に噛み砕いて、必死に喋ってたの。
「アトゥナどうだった?」
「他国の通貨でしょうかね。こんなん持ってましたけど、何処のか分かりますか?」
「このコイン……あぁ、ルノサイアの者なの」
「ルノサイアって確か、懲りずに何度も、間者を送って来てる、精霊信仰の国ですよね」
「そうなの。お父さんかミユンが居れば、セーフアースに直葬するんだけど……解体して、オーガのお肉にしようかな」
『も……みやああああああっ!?』
『ももぐううううももぐうううっ!?』
一旦保留して、地下牢に入れておくの。
御座るが遊びに来るだろうし、ついでに、良い案が無いかどうか、聞いてみよう。
「アトゥナ、この二人を地下牢へ」
「畏まりました。手足折っときますか?」
「そのままで良いの。じっくりと、相手の出方を見てから、処分を決めるの」
お父さんが居ないからって、甘く見られ過ぎるのも、ちょっとムカムカします。
全諜報員を、根刮ぎ捕まえるの。
「お邪魔するで御座るよ」
「いらっしゃいなの、御座る!」
「影かや、久方ぶりぢゃの」
おやつ時間に御座るが来たの。これは、秘蔵のお菓子を出すしか無いの。
何でって?
御座るがここに長く居れば、他の影も来ないだろうし、これはチャンスなの。
「アトゥナ、おはぎを下さいな」
「えっ……流のおっさん居ないから、あれ食べたら、次は半年後ですよ?」
「構わないの。御座るをもてなすの!」
「わっ、分かったよ。そんなに大声出す事無いだろ。直ぐに持ってきますから」
アトゥナはまだまだ、ドゥシャに遠く及ばないの。ドゥシャなら直ぐさま用意して、御座るに脅しをかけ、決して逃さないの。
「うぅっ……今何やら、寒気がしたで御座るな」
「御座るはお仕事終わった?」
「うむ、護衛の任は終わったで御座る。しばらくここに、厄介になろうかと思っているので御座るが、良いで御座るか?」
「うぇるかむ御座るなの!」
「また知らぬ言葉なのぢゃ」
御座るのお部屋は、ミルンの隣なの。
これなら、夜遅くまで御座ると遊んでも、直ぐにお休みが出来る。
カチャッ────「持ってきましたよ」
来たのおはぎ!
もちもちしたお米に、粒あんがくっ付いて、緑茶と交互にお口に入れると、苦味と甘さのダブルパンチなの。
「おぉ、これはこれは、和土国の"おはぎ"では御座らぬか。頂いても宜しいので御座るか?」
「ミルン御嬢様が、良いって言ってるんで」
「アトゥナ殿も、お身体に異変は御座らぬか? 何か有れば、力になるで御座るからな」
「……ミルン御嬢様が、御座るさんを好きになるの、分かった気がする」
「そうなのアトゥナ。御座るはマトモな影なの」
「其奴以外は、頭の可笑しな影なのぢゃ」
黒姫の言う通りなの。
何か有れば、呼んだら来てくれるのは有り難いけど、せめて御座る並には、常識を学んでから来て欲しいの。
「もちもちなのぢゃぁ」
「矢張りおはぎは、粒あんで御座るな」
ミルンへの、御座るの好感度が上がった。
何と無く、そう思う事にするの。
御座るはここに、永久雇用なの。
「ミルン御嬢様。あの件相談しなくて、良いんですか」
「そうだった、御座るに聞きたい事があるの」
「ふむ、何で御座ろうか。拙者に分かる事で御座ったら、何でも答えるに御座る」
御座る御座るが面白いの。
やっぱり影の中だと、御座るが一番なの。
「ファンガーデンに巣食う、諜報員を撲滅したいの。何か上手い手は無い?」




