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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
五章 異世界とは機械人形が居る世界

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6話 二人っきりの旅路.2



『ブルゥフフッ』

「ほいお疲れさん。たっぷり草食べて、明日からまた頼むぞ」


 太陽が沈む前に、そこそこ大きい村に到着。

 旧ラクレル村と、同じ規模だろうか。

 冒険者らしき人達も歩いてるし、ここら辺に、働き口でもあるのかね。

 そんな事を思いながら、宿探しの真っ最中。


「村にしては、冒険者が多いな」


「だん…流様。この付近には、小さいですが、ダンジョンが御座います。初心者の冒険者が、多い理由に御座いますね」


「へーっ、だから賑わってんのか」


「明日にでも、見に行かれますか?」


「見るだけならね。ダンジョンに興味はあるけど、怖くて潜れんて」


 セーフアースの洞窟は、ダンジョンと言うよりも、避難場所的な感じだったからな。

 

「だん…流様なら、ここのダンジョン程度、無傷で攻略出来るかと存じます」


「防ステだけ高くてもな……魔法か……」


 ダンジョンなんかで、下手に魔法を使ったら、生埋め地獄であの世行き……駄目だ、考えるのよそう。


「あちらが宿の様ですね」


「鼠の寝床? 中々意味深な名前だな」


 宿屋の看板に、鼠人の耳が描かれている。

 これはアレだ、メオの様な、ハム耳ハム尻尾の可愛い娘さんが、小走りで宿を営んでいる、素敵な寝床だ。


「晩飯前に、宿を取っておくか」


「それが宜しいかと」


 そう思い、宿へと入った。


 ギィィィ────『おぅ、いらっしゃい』


 そしてそのまま回れ右をして、ドゥシャさんの肩を掴み、そのまま外へと出て行った。


「だん…流様? いかがなさいましたか?」


「ドゥシャさん……別の宿にしないか?」


「この村こ規模ですと、宿屋はここだけになるかと、存じます」


「くっ……仕方無いっ!!」


 息を吸って、吐いて、再度扉をくぐる。


 ギィィィ────『おぅ、いらっしゃい』


 ハム耳は間違っていない。

 間違っていないんだが、その可愛らしいモフッとした耳が、村長並みの筋肉に付いているのは、精神衛生上良くないと思うの。

 何なの?

 俺に喧嘩売ってるの?

 百歩譲って、普通の男性なら許せるけども、何で筋肉の塊にハム耳生えてるの?

 あと鼠人って、種族を問わず皆んな小さいのに、目の前のハム耳筋肉、どう見ても俺より、背が高いよね。


「なぁ…その兄ちゃん、大丈夫か?」


「問題御座いません。一泊でお願い致します」


「あぁ……血の涙出てるが」


「問題御座いません。直ぐに治るかと」


 アレは付け耳、アレは付け耳、アレは付け耳に違い無い。だって、あの頭の大きさに、あの小さなモフモフの耳が、似合って無いから。


「一泊五千ストールだ。一部屋で良いのかい?」


「……問題御座いません」

「二部屋で頼むっっっ!!」


「おっ、おう……二部屋だな」


「一部屋でお願い致します」

「ドゥシャさんっ、二部屋にしようね!!」


「……一万ストールだ」


 危なかった……意識が戻らなかったら、ドゥシャさんと同じ部屋にされて、夜な夜な取って喰われるところだった。


「……チッ」


「……えっ? 今ドゥシャさん、舌打ちした?」


「気の所為で御座います。別にだん…流様を、ヘタレなどとは、思っておりませんので」


 そのままドゥシャさんは、自分のお部屋に、向かって行きました。

 何だろう……泣きたくなってきたよ?




 宿を確認して直ぐ、晩御飯を食べる為、こうして村を歩いている訳だけど、ドゥシャさんが一切、口を聞いてくれない。


「ドゥシャさんやーい、何食べたい?」


「……チッ」


 返事は全て、この舌打ちです。

 あのドゥシャさんが、まさか舌打ちをするだなんて、思っても見なかった。


「ドゥシャさんの、食べたいモノで良いからさ。舌打ちで返答するの、勘弁して?」


「……チッ」


 誰か助けてプリーズミーっ!!

 このままだと、お店を見つける前に、俺の心が病んでお仕舞い地獄行き!!


「あのお店……だん…流様。御夕飯は、あちらのお店で頂くと致しましょう」


「ようやく口聞いてくれた。あのお店? 何か微妙に、離れた場所にあるんだな」


「香りが強い、お料理ですので」


 香りが強い料理?

 香草焼きとか、薬膳料理かな。

 ドゥシャさんの後を付いて行くと、お店に近付くにつれ、そのキツい臭いが、漂って来た。

 薬膳料理と言うには、キツ過ぎる臭い。

 何処かで嗅いだ事のある様な、無い様な、ある意味不気味な臭い。


 お店に入り、着席して、メニューを確認。


 ドゥシャさんに、謀られた。

 どうりで、嗅いだ事のある臭いだと思った。

 メニューのオススメ欄が、コレだ。


 ハイオークの睾丸シチューに、ハイオークの塩漬け睾丸。ハイオークの逸物の干物と、ハイオークのハート焼き。通常のオークでは無く、希少な上位種の、ハイオークである。

 ただのオークでも、精力剤になるんだ。

 その上位種の効果たるや……ヤバい。

 

「だん…流様。御夕飯を沢山食べて、しっかりと明日に備えましょう」


 ドゥシャさん、少し口元が笑ってるよ。

 長い夜に、なりそうだ。




『はっ!?』

『どうしたのぢゃミルン?』


『今何か……お父さんに危機が迫ってる…気がするの』

『ふむ、命の危機かや? あの流が?』


『違うの……何だろう?』

『よう分からぬミルンなのぢゃ』



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