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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
五章 異世界とは機械人形が居る世界

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4話 連邦国へ御招待.4



 この二人が、どうやって南の国境を越えて、このファンガーデンまで来たのか。大体予想は付くけど、出来うるなら、コイツらから言質を取りたい。

 何でって?

 コイツらを通した馬鹿を、御仕置きする為に決まっているじゃないか。


「もう一度聞くぞ。どうやって、南の国境を越えてきた。正直に答えろ」

「正直に答えるの!」

「ぢゃないと、お尻に刺すのぢゃ!」


 黒姫の角を刺す?

 良い案だな!


『……儂を出せ』


『賄賂…門番に…』


『御主は馬鹿かっ、糞っ……』


 本当に正直に答えるよねお前。

 アレかな? 

 正直に答えたら、その牢屋から、出して貰えるとでも思ってるのかな?

 出す訳無いだろ?


「気持ち悪い程の阿呆ぢゃ」

「正直なのは良い事なの」


「ミルンさんや。こう言うのは、得体が知れない奴だから、気を抜くなよ」


 何処か欠けている奴程、何かに突出しているって事は、地球でもまま有る事だ。

 目の不自由な人は、生活をする為に、聴覚と空間把握能力が増すし、逆もまた然り。

 しかもそれは、肉体だけに、限った事では無く、精神面でも、同じ事が起きる。


「シャルネ以上に、ヤバい可能性も有るからな」


「ミルンはずっと、警戒してるの!」

「我は、警戒するまでも無いのぢゃ」


「そういやミルン、埋めようとしてたな」


 ミルンが警戒してたのって、女性だからってのも有るけど、コイツがヤバいからか?


『お皿……頂戴?』


「何であの皿欲しいんだ? ただの皿だろ」


『自慢された…から』


「……えっ、それだけ?」


『……それだけ』


 んーっと、整理しよう。

 あのイケメンは、何かの折に、あの渡したお皿を、コイツらに自慢した。

 んで、この十花忌道ぷは、それが羨ましかったのか何なのか、皿を求めて不法入国。

 

「んんっ?」


「お父さんの頭が破裂しそう!」

「素晴らしき阿呆なのぢゃ」


『お皿……』


「良しっ! お前は一旦黙ろうか!!」


 このままだと、俺の頭が宇宙になる。

 より正確に言うと、コスモになる。

 コスモ?


「んで、オーゲッツのおっさんは答えないのか? このままだと、一生出さないぞ」


「切り替えたのぢゃ!?」

「お父さんが進化した!?」


 切り替えて無いし、進化もして無い。

 考えるのを、諦めただけだよ。

 意味分かんないもん。


『はぁ……あの若造の鼻を、へし折ってやろうと思っての。流殿を儂の国へ招けば、彼奴の面目も立たぬし、人類に友好的な、魔王との交流も図れる。以上だ……』


「イケメンへの当て付けかよ。んな事で不法入国とか、本物馬鹿じゃん」


『思い立ったら直ぐ行動。儂の信条だ』


「人の迷惑を考えろよ。正式な訪問なら、こんな事にならんだろうに」


『っ、今後悔しとるわ!』


「後悔後先立たずなの」

「後の祭りなのぢゃ」

「覆水盆に返らずとも言うぞ」


『ぬぐっ……』


 一国の代表が、こんなんで大丈夫なのか?

 猪突猛進と言うか、考え無しと言うか、濃過ぎる奴等ばっかじゃん。

 

 コッコッコッ────「誰か来たの」


 んっ、ドゥシャさんじゃん。会合とやらが、終わったのかね。


「旦那様。南の国境より先触れが有り、連邦国アルマシロ代表、マルマリ・オッツ様が、面会を申し出ております」


『なっ、マルマリの小娘っ!?』


『マル…マリ?』


「まともな奴も居るじゃん。ちゃんと来るなら、もてなさないとな。ドゥシャさん、直ぐ来て貰っても大丈夫か?」


「問題御座いません」


「それじゃ、直ぐ許可を出すか」


 正式な手続きで入国する、まともな奴なら、この二人と違って大歓迎だ。


「ドゥシャ…もう怒ってない?」


 おっと、そうだそうだ。

 ドゥシャさん忙しいから、言える時に言っておかないと、タイミングが無いからな。


「ドゥシャさん」


「何で御座いましょう?」


「ミルンなんだけどさ。礼儀作法が大事なのは、理解出来るけど、それを強制するのだけは、やめて欲しい」


「しかし……ミルン御嬢様は、貴族の娘です」


「違う。ミルンは貴族の娘じゃ無くて、俺の娘なんだ。ドゥシャさんなら、ミルンの生い立ちを知ってるだろ? 頼むよ……」


「っ……少し、強くし過ぎました」


「ミルンが甘えられるのって、俺かドゥシャさんだけなんだから、仲良くしないとな?」


 正確には、ギルドマスターのネリアニスにも、甘えてるけどね。

 アレは友達感覚だろうけど。


「申し訳ございません、ミルン御嬢様。以後、やり過ぎない様気を付けます」


「ドゥシャ…ミルンの事、嫌い?」


「とんでも御座いません! 嫌うなどっ、決して御座いません!」


「なら良いの。ミルンも、ドゥシャの様に、立派な女性になれる様、頑張ります!」


「有難き御言葉……その御言葉に恥じぬ様、これからもお側にて、御見守り致します」


 ほい解決。

 やっぱりこうして、本音で言い合った方が、気持ちも伝わるし、大切な事だよね。


『儂ら……何を見ておるんだ?』


『お皿……』


「いつもの事なのぢゃ。気にするで無いのぢゃ」



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