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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
五章 異世界とは機械人形が居る世界

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4話 連邦国へ御招待.3



 朝から元気にコケコッコギャアアアッ!!

 絞められたコカトリスの声です。

 ファンガーデン全体にまで、叫び声を届ける、ヤバいコカトリスだな。


「……この感じは、一メートル大の奴か」


 コカトリスは、基本三十センチ程の大きさで、尻尾以外は、普通の鶏と変わらない。

 しかし時折、喰われてたまるかと言わんばかりに巨大化し、絞められそうになると、スキルを全開にして逃げようとする。


「養鶏場の従業員さんに、日々マジ感謝」


 スキルを発動される前に、しっかりと絞め、今日も美味しい鶏肉モドキを、都市内部に流通させてくれるからね。


「朝の目覚めとしては、最悪だけど……」


 コンコンッ────「失礼致します……起きて居られたのですね。おはよう御座います、旦那様。朝食の準備が整っておりますので、食堂へお越し下さい」


「おはようドゥシャさん。何か不機嫌?」


「少し驚いただけに御座います。それでは、失礼致します」


 驚いたって何で?

 俺、そんなにお寝坊さんじゃ無いぞ?

 確かに毎日、ドゥシャさんに起こして貰っているけど、皆んなの朝が早いだけだ。


「……起こせなかったから、不機嫌なのか?」


 気にし過ぎだな。

 朝食食べたら、昨日捕まえたあの二人の様子でも、確認しに行くか。

 

 ぼーっとしながら、食堂に到着。

 既にミルンと黒姫が座っており、美味しそうに朝食を食べて……何か違う。

 

「お父様。おはよう御座います」


「……っ、どうしたミルン!?」


「どうしたと仰られても、朝の御挨拶を、したまでてすわ」


「ミルンっ、頭でもぶつけたか? 爆食いもしていないし、何処か悪いのか?」


「ドゥシャの教育の所為なのぢゃ。結構長い時間、教育をされておったのぅ」


 黒姫が長い時間って言う程……マジか。

 ミルンが朝食を食べているのに、全く咀嚼音が聞こえないし、喋り方もおかしい。

 お洋服も、しっかりモーニングドレスを着用して、ミルンがミルンじゃ無いミルン。


「ドゥシャさん何処行ったの!?」


「ドゥシャメイド長なら、朝の会合に行ったぞ」


「おはようアトゥナ……ミルン戻して?」


「俺には無理だ。そんな事したら、ドゥシャメイド長に、怒られるからな」


 そんな事したらって言うことは、戻す方法が有るって事だよな。


「なあミルン」


「どうかなさいまして、お父様?」


「その気持ち悪い喋り方止めたら」


「気持ち悪いだなんて、酷いですわお父様っ」


「今日の晩御飯は焼肉だぞ?」


「やきっ…にっ…く?」


「そうだ。美味しい美味しい焼肉だぞ?」


「焼じゅるっ肉……ミルンのお肉!!」


 良しっ、いつものミルンだ!

 ミルンの大好物を餌に、無理矢理させられている口調や態度を、元に戻したぜ。


「ドゥシャさん戻ったら、少し注意しないとな」


 教育は構わないけど、強制は駄目だ。

 幸いこのファンガーデンは、他領の貴族と、そこまで交流無いし、ミルンの口調を直す必要は無いからな。


「注意出来るのは、流だけなのぢゃ」

「教育怖いの。ドゥシャ怖いの。お肉は食べるの。お父さんお願いします!」


 ミルンにトラウマ植え付け完了?

 ドゥシャさん、やり過ぎだ。

 ミルンに嫌われたら、ドゥシャさんの癒しである、可愛い尻尾が触れなくなるぞ。

 

「朝御飯食べたら、昨日の二人の様子見に行くけど、ミルンと黒姫も来るか?」


「行きますわ!」

「行く……のぢゃ!?」


 ミルン、口調直ってないぞ?



 

 ファンガーデン領主館、地下三階には、特殊な監禁部屋が存在する。

 公には捕まえる事が出来ない者達を、こっそり捕まえて、ぶち込む為の監禁部屋。

 "軟禁"では無く、"監禁"である。

 

「地下牢とも言うな」

「内緒のお部屋なの」

「秘密の部屋ぢゃな」


 造りには、結構口を出した。

 先ずは鉄格子。

 そんなモノは、存在しない。


 異世界風強化ガラスを製造し、通路から丸見えの状態にして、監視をし易くした。

 縦二メートル、横二メートル、厚み三十センチの、極太強化ガラスだ。

 表面に、魔石の粉を、炉で溶かしたモノを塗装したら、エグい程の強度となった。

 ミルンの連打で、割れないんだ。


 勿論、収監する為の出入口は存在するが、それも厚み、三十センチの鋼鉄製。

 馬鹿みたいな重さだけど、ドゥシャさんや、今のアトゥナならば、開閉可能だ。


 七畳ほどの広さに、水洗トイレ、簡易シャワー、小さなベッドと、この異世界の牢屋としては、高水準だろう。

 牢屋マスターの俺が言うんだ、間違い無い。


「おはようさん。ハーピィ達の抜け毛で作った、羽毛布団の寝心地は、良かったか?」


『……儂をここから出せ。今ならば、この愚かな行為を許してやるぞ』


『寝心地良かった……』


「許すも何も、先触れも無く、俺の領地に侵入したのは、アンタだろ? それともアンタの国では、不法入国は犯罪で無いと?」


『チッ、儂を出せと言っておるのだ』


『不法入国は……犯罪』


「娘の方は、正直なのぢゃ」

「腹黒はお馬鹿なの」


 ふむふむ、連邦でも、不法入国は犯罪と。

 こう言う情報も、結構大事だからな。

 答え易い情報を、先に聞く事によって、その後の質問も、答え易くなる……筈。

 

「何で俺に会いに来た?」


『昨日言っておっただろう。あのアーティファクトが、欲しかったのだ』


『お皿……頂戴』


「俺にやたらと、書状を送ってきたのは、お前らなのか?」


『書状なんぞ知らぬわ』


『返答……無かった』


 スパムメールの送信者確定!!

 普通に答えるって、意味分からん。


「あのすぱむの奴!」

「自ら来るとは、此奴は阿呆かや?」


 考え無しなんだろうな。

 若しくは、自分本位。

 宛名も無く、送ればどうにかなると、本気で思ってるんだろう。


「それじゃあ、ここから本題だけど……どうやって、南の国境を越えた」




『貴様か十花忌……何故ここに居るのだ』

『丸見え……えっち』


『誰が貴様の様な小娘に欲情するか!!』

『温かい……お水?』


『温かいだと? このシャワー、お湯が出るのか!』

『お皿……貰いに来た』


『っ、じゃないわ! 何故貴様がここに……?』

『このガラス……割れない』


『確かに、見た事の無い牢ではあるが』

『眠たい……寝る』


「……あの若造より、厄介な奴だな御主」


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