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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
五章 異世界とは機械人形が居る世界

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3話 突然の来訪者.4



「さてっ、こいつどうするか……」


「埋めたままなの!」

「また出とるのぢゃ」


 やって来ました田園予定地。

 さっきの書状の内容?

 皿だった。

 細断して捨てたわ!!

 本気でセーフアースに行って、枕作りをしようかなとも思ったけど、そこはなんとか、堪える事が出来た。


 やっぱりお米が最優先。

 だからこそ、こうして南側に来た訳だけど、本当にコレ、どうしようか。

 

 土を被せた筈なのに、顔が出てるんだ。

 しっかり土を、押し固めた筈なのに、何で顔だけ出てるんだ。


 そう言えばこいつ、連邦国の何とかって言ってた様な、言って無かった様な。


 顔の近くまで寄って、その手前でしゃがみ込み、じっくりと眺めてみる。

 黒目黒髪の、表情筋肉が動かない女性。

 顔は違うのに、まるでシャルネを見ている様な、変な気分になってくるんですけど。


「生きてるか?」


「……生きてる」


「何で埋まってんだ?」


「埋まった……」


「いや、埋まった理由を聞いてるんだが?」


「……埋まったから」


 うん。こいつ、シャルネと違うわ。

 シャルネの奴は、表情筋は死んでいるけど、ああ見えて良く喋る。

 支離滅裂な思考をしているが、話が出来る分、対応を間違えなければ、安全なんだ。


 しかしこの埋まっている女は、表情筋に加えて、コミュニケーション能力も死んでいるという、ガチの根暗だ。

 その癖、"何故埋まっているのか"と言う問いに対して、"埋まっているから"と返して来る、脳内宇宙根暗だ。

 

「お父さん! そいつ埋めるの!」


「もぅ……埋まってる」


「お前に聞いて無いの!」


「土…柔らかかった…落ちた」


「話が通じないっ!?」


 本当にね。

 何で埋まってるんだよ。

 ミルンが本気で怒ったら、また顔の上から、土を被せられるぞ。


「流や」


「何だ黒姫?」


「早よ仕事をするのぢゃ」


「黒姫に言われんの……何か腹立つなぁ」


 その通りだから、言い返さないけど。

 んじゃ、作業再開しますかね。

 埋まっている女性?

 誰だそれ?


 腰をあげようとしたら、背中に軽い衝撃。

 どうやらミルンが、よじ登って来ている様だけど、重くなったなぁ。


「肩ぐるまぁーっ、完了なの!」


 最近やってなかったからな。

 やっぱりミルンを肩に乗せると、落ち着くんだけど……凄い重い。

 ミルン太った?

 いや、今までが細過ぎたのか。


「……行くか」


「いつものお父さんと反応違うの。なんで?」


「そんな事ない。ないったらない」


 太った何て言ったら、ミルンが怒る。

 今のミルンに、脳天を連打されたら、いくら防ステ高くても、馬鹿になってしまう。

 今も馬鹿だって?

 誰だ今馬鹿言った奴っ!!


「我も抱っこなのぢゃ!」


「黒姫は歩きなさい」

「黒姫は歩くの」


「何故なのぢゃっ!?」


 流石に、この丸っとした重石まで腕に抱えたら、腰が砕けて死ぬ。

 ミルンだけで、重量過多です。

 しかも、黒姫の作業場所はここだろ。しっかりと土を柔らかくするんだ。

 土を柔らかく……柔らかく?


「あの女が、埋まってる原因って……」

「お父さん。気付くの遅いの……」


「のぢゃっ?」


 昨日の事を……良く思い出せ。

 黒姫は、あのデブドラゴンの姿に成って、膝を付きながら、爪で大地を引っ掻いていた。

 疲れた時は、座り込んだり寝そべったりと、せっかく柔らかくした土を、ロードローラーの如く、押し固めていた。

 起き上がる時は、その立派な爪を大地にぶっ刺して、"よいしょっと"と、まるで、腰を痛めたサラリーマンの様な声を発し、腰をあげ、一息吐いていた。

 その、大地にぶっ刺してした、立派な爪の大きさは、ミルンよりも大きく、立った俺の、首元辺りまでの大きさ。


「黒姫さんや」


「何ぢゃ?」


「影さん地獄決定な」


「何故ぢゃっ!?」


 原因は、黒姫の大きな爪。

 今日の伐採作業終わらせたら、あの女性を引っこ抜いて、黒姫に謝らせよう。


「面倒事は、嫌だな……」


「お父さん。早くお仕事するの」


「分かってるよ。『空間収納』」


 さっさとこの作業終わらせて、帰ってのんびりと、お風呂に浸かろう。

 ミルン像を眺めながら、酒を飲もう。



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