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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
五章 異世界とは機械人形が居る世界

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3話 突然の来訪者.3



 書状のお片付け終了。

 皿は本当に、意味が分からない。

 東からの書状で、破らなかったのは、二通。


 一通は、和土国から。

 どうやら、あの時呉服屋に渡したミルンの土が、大活躍しているとの事。

 御礼の言葉に加えて、今度は傘音技が、ファンガーデンを視察したいとの内容だった。


「傘音技来る?」

「彼奴が来るのかや?」


「呼んでも良いけど、少し先だな」


 もう一通は、ルノサイア国。

 東南に位置し、和土国と同じ様に、精霊や妖精を崇めている国。

 内容はいたってシンプル。

 和土国への訪問に対する、抗議文だ。


「ドゥシャさん、この国知ってる?」


「存じております。何度も何度も、我が領内に間者を差し向けて来る、鬱陶しい国で御座います。構う必要は、無いかと……」


「東の国境ザル過ぎだろ。和土国とは仲良くしたいけど、ルノサイアは無視だな」


「あのコインのお国?」

「ミルン御嬢様。しーっ、で御座います」

「お口ちゃっくします!」


「何のこっちゃ……」

 

 南からの書状は、皿を除いて十三通。

 どうやら、あのイケメン君が、世界会議なるモノに出た事によって、ジアストールに対する態度が、緩くなった様だ。


「こんな書状……ルシィに送れっての」


「旦那様。このジアルトールで、今一番の脅威となる者は、旦那様で御座いますので」


「触るな危険ってか?」


 んで、その書状の中身がコレだと。


『恒久的な和平の為の、会談の申し入れ』

『ファンガーデンとの、交易のご相談』

『晩餐会への御招待』

『連邦国への加入の推薦』


「などなどってな。似た様な文ばっかりだ」


「ファンガーデンを独立させ、旦那様ごと、取り込む算段かと存じます。旦那様は、王に成りたいですか?」


「うげぇ……王なんて無理だ。今でさえ、頭が痛いって言うのに。無茶過ぎるわ」


「ふふっ、左様で御座いますね。旦那様は、今の立場で良いかと存じます」


 自由気ままに、好きな事を出来るからな。

 何かあれば、ルシィに押し付けて、知らぬ存ぜぬを貫き通せる立場だ。


「あとは……あのスパムメールか」


「すぱむって、なあに?」

「全ての文が、皿をくれなのぢゃ」

「狂気を感じます」


 お皿を下さいって言われたら、普通に商店に売ってますからね。

 お買上げ、誠に有難う御座います。

 領収書発行!!

 宛名はしっかり記入しましょう!

 マジで経費で、落ち無いからな。

 

「……嫌な記憶、思い出したな」


「お父さん。すぱむって、なあに?」


「迷惑な書状を、送られた側の事を考えずに、ひたすら送り続けて来るモノを、スパムって言うんだよ。悪質な悪戯だな」


「悪戯っ! ラカスなの!」


「アレは可愛い悪戯だな。スパムはもっと悪質で、下手し心が病む」

 

「病む前に殴るの!」


 病む前に殴るの?

 気合いを入魂するのかな?

 ミルンに殴られたら、気合いが入る前に、意識失って、治療院送りだからね?


「ミルンさんや、意味分からんぞ?」


「殴れば、病んでる暇無いの」


「……先ずは、病んでる理由を、聞いてあげなさい。殴るのは、最後の手段だからな」


「お父さんしか、殴らないの」


 そうかぁ……書状は俺宛だから、俺が病んでしまう前に、一撃入魂をすると。

 

「病む前の前辺りで、しっかり休むから、その拳を向けないでね」

 

「善処します! シュッシュッ──」


「イエスか、ノーかで、答えなさいっ」


「検討します! シュッシュッ──」


 拳を打つ練習かな?

 どう見ても、殴る気満々だよね?


 コンコンッ────『コルルです。流さん宛に、書状が届いております』


「……嫌な予感しか、しないんですけど」


「旦那様。そのまま処分させましょうか?」

「御手紙読まないの?」

「燃やして捨てるのぢゃ」


 こんな時は大体、また皿をくれって言う、スパムメールが届くんだよ。

 メイド達だと、勝手に書状の内容を確認出来無いから、こうして持って来るしか、出来無いんだけど、正直言って読みたく無い。


 コンコンッ────『流さん? コルルです』


「旦那様、如何致しましょう」

「コルル待ってるの」

「メイドは大変ぢゃのぅ」


 読みたくは無いが、読むしか無い。

 またあの皿だったら、即座に細断して、ゴミ箱に捨ててやるからな。


「……入ってくれ」


「失礼します。どうされたんですか?」

「コルル、そっとしておくの」

「疲れて居るだけなのぢゃ」

「旦那様は、疲れていらっしゃるのです」


 ここ数日、休んで無いからね。

 やっぱりあの場所で、作業進めるか。デスクワークしてたら、苛々溜まるわ。

 



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