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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
五章 異世界とは機械人形が居る世界

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3話 突然の来訪者.1



 さて、先ずは状況を整理しよう。

 先日に引き続き、稲作を始める為の伐採兼土地開発に勤しむ為、黒姫とミルンを連れて、こうしてファンガーデンの南側に来た訳だけど、そこに見知らぬ女性が倒れていた。


 倒れていた。と言ってしまうと、あたかも俺が、雀の涙程の人道精神を発揮して、助けた後の様に思われてしまうだろうから、この場合は、"倒れている"と言うのが、正しいのだろう。


 より正確に言うと、倒れていると言うよりも、なぜか埋まっている。

 現在進行形で、埋まっている。

 ものの見事に、埋まっている。


 どれ程埋まっているかと言うと、顔だけがボコっと出ていて空を見上げ、それ以外の部分が、全く見えないと言える程には、埋まっている。


 しかもその女性、まるでそこが、"私の寝床です"と言わんばかりの真顔のままで、その表情筋は生きているのだろうか。などと、少し心配してしまいそうになる。


 因みに先程から、見知らぬ女性。その女性。などと言っているけども、顔以外は埋まって居るのに、なぜ女性だと分かるのか。


 簡単な話である。


 ミルンが全力で、何の躊躇も無く、埋まっている女性に対して、増し土、もとい盛り土をしているからだ。

 

 ミルンは基本、人を嫌う事をしない。

 ウザ絡みをするウザ子さんは別として、基本的に、誰とでも仲良くなろうとする、コミュ力抜群の犬耳娘だ。

 基本的にと言うからには、勿論例外も存在する。その例外が、埋まっている女性。


 埋まっている女性は例外。では無く、ミルン曰く、シチュエーションが問題なのだと、尻尾を逆立てながら、力説していた。


 どうやら俺に、悪い虫が付かない様にと、ミルンなりの気配りらしいのだが、無抵抗の女性に対して、それも躊躇無く、顔面ダイレクトで土を被せるのは、如何なモノだろうか。


 これがもし日本だとしたら、傷害又は殺人未遂事件として、警察が動き出し、逮捕後そのまま、実刑となるかも知れない。

 この異世界であっても、この女性が万が一にでも、他国の重要人物であった場合、下手をすると、国を挙げての祭りが始まるだろう。


 血祭りと言う名の、祭りが始まるだろう。


 それにしても、ミルンに土を被せられている状況だと言うのに、この女性は、全く微動だにしない。

 恐ろしい程の胆力だと、称賛を送りたいところでは有るが、正直称賛よりも、得体の知れない不気味さの方が、遥かに勝っている。


 なんなら、不気味さしか無い。


 そうこうしている内に、女性の顔面が、完全に埋まってしまった。埋まってしまったと言うと、語弊が有るので、ミルンが全力で、埋めてしまったに訂正しよう。


 ミルンのやり切った顔が、とても可愛い。

 良い運動をした後の顔だ。

 額の汗を拭い、さも大仕事を終えた土木作業員の様に、お水をゴクゴクと飲み、『ぷはぁっ、今日も良い汗かいたの!』と、尻尾を振り振りお耳をぴこぴこ。


 いつ見ても可愛い。

 会った時より、少しだけ背が伸びていて、あと五、六年もすれば、男共の視線を奪う、ケモ耳美少女になるだろう。


 反抗期まっしぐらだ。

 異世界にも、反抗期は存在するのだろうか。

 お父さんウザい。

 なんて言われようモノなら、俺の心は砕け、涙腺は崩壊し、自分探しの旅に、出てしまうかも知れない。

 

 おっと、思考が宇宙の彼方へ飛びそうだ。

 俺はゆっくりと、ミルンが作った小さな御山と近付き、その土を掘ってみる。

 ミルンが俺の背に乗り、止めようとして来るが、流石に生き埋めは不味かろう。


 そう思いながら掘っていると、何か固いモノに当たった。いや、当たったと言うより、刺さったと言う感触だろうか。


 右手が何かに刺さった。

 何に刺さったのか、分からないけども、上手く抜く事が出来ない。

 それならばと、その刺さったままの右手を動かして、感触を確かめる。

 

 ねちょっと言うか、滑っとしている。

 何だか生温かくて、気持ち悪い。

 しかし、親指の感触的に、固い部分も有る様で、これならば、掴む事が可能だろう。


 掴んで引っ張る────ボコっという音と共に、あの顔が出て来た。


 どうやら、上手い具合に、女性の口の中に、指を突っ込んでいた様だ。

 左手で女性の顔を押さえて、右手を後ろに引っ張ると、女性の唾液が糸を引きながらも、俺の指は、解放された。


 黒姫がそれを見て、爆笑している。

 ミルンは尻尾を逆立て、女性を威嚇。

 埋まったままの女性に、威嚇するなんて、危ない気配でも、感じたのだろうか。

 黒姫は後で埋めよう。

 そう思ったその時────『……連邦国ツキヨ……十花忌(とばない)道理(とおり)


 俺は一度空を見て、息を吐き、背に乗るミルンを前に持って来て、頭を撫で撫で、尻尾をモフモフした後、行動に移した。


 掻き分けた土を集め、女性の顔に盛り付けて、その上から優しく、ぽんぽんっと、土を押し固める。


「ミルン、黒姫。今日は帰ろうか?」


「賛成します!」

「彼奴はあのままで良いのかや?」


 黒姫さん。良いんです。

 厄介事になる前に、退散しよう。

 今日は、皆んなでセーフアースに行こう。

 ハーピィ達の抜け毛で、枕を作ろう。


「俺達は、何も見なかった。以上解散!」

 



 

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