2話 稲作は難しい.2
昼になったので、伐採工事を一旦止めて、領主館に戻り、昼御飯を待っています。
「おー昼っの時間だよーっと」
「お父さんがおかしいの。なんで?」
「魔神様、どうしたっすか?」
何でまだ影さん居るの?
朝御飯も食べてたけど、普通に昼御飯も食べる気満々だし、なぜに?
「日々の疲れが溜まってるんです。惨影さんは、何でまだ居んの?」
「そうなのお父さん! もっとウザ子に、注意をするの!」
ミルン的には、その影さんはウザ子で定着したんだな。俺的には、元気っ子影さんなんだけど、ウザ子か……ピッタリじゃん。
「休暇は今日までっす! 明日になったら、またお仕事なので、勘弁して欲しいっすよ!」
「暗部に休暇って……まぁ良いか」
「良く無いの!?」
「魔神様有難うっすー!」
休暇は大事だからな。
いつも何処かに隠れてるんだし、たまには息抜きしたくなる時も、あるわな。
カチャッカチャ────「ご飯持って来た」
おっ、昼御飯の到着か。
口調はあまり変わらんけど、アトゥナもメイドが定着して来たな。
「ドゥシャさんは、まだ帰らないのか?」
「帰ってないぞ」
「ドゥシャは忙しそうなの」
これは……旅行に行く為に、結構先まで仕事を片付けてると見るべきか、ただ普通に忙しいだけなのか、どっちだ?
「新鮮なお魚っす!」
「……食うか。アトゥナも席につけよ」
「分かった」
「やっぱりお魚の煮込みなの! お父さんの大好物!」
流石ミルン、俺の好物を見抜いてるのか。
魚を食べるなら、醤油で煮込む。
コレが一番旨いんだ。
「はい、手を合わせて……頂きます」
「「頂きます」」
「皆んな何してるっすか?」
「ウザ子もするの! これをやらなきゃ、食べちゃ駄目なの!」
「分かったっす! 頂きまっす!」
そう言えば……黒姫のやつ、全然帰って来ないな。何処で道草食ってんだ?
道草食って、どこぞで腹壊してんのか?
「ムグムグっ、お魚美味しいの!」
「……うん、味が染みてて美味いや」
「旨旨っすねーっ、ずっとここに居たいっす」
ミルンとか、黒姫の存在忘れてそうだな。
ミユンは村長の所に居るし、黒姫が居たら、多少寂しさも紛れるのに。
「お昼食べ終わったら、ミルンも外の作業、一緒にするか? 田んぼを作る準備だぞ」
「お手伝いするの!」
「分かった、それなら一緒にやるか。アトゥナはどうする? ここの仕事も有るんだろ?」
「俺は無理です。各部屋の掃除もあるし、ラナスとコルルだけだと、不安だからな」
「私は手伝うっすー!」
ウザ子は付いて来るのか。
ミルンが睨んで訴えて来るけど、このウザ子なら、断ってもたぶん付いて来ると思うぞ。
「……頼む」
「何故なのお父さん!?」
「畏まりっす! 頑張るっすよーっ!」
と言う事で、ミルンとウザ子を連れて、戻って来ました南側。なんだけど、こいつは一体、何をしてるんだろう。
「……馬鹿なのか?」
「……お馬鹿なの」
「黒姫様、大丈夫っすか?」
「はっ、腹がっ、尻がヤバいのぢゃぁぁぁっ」
マジで道草食っていやがった。
しかも絶賛腹下し中で、尻を押さえながら、踠いているんだけど、何で南に居るんだよ。
「黒姫何食べた?」
「この草なのぢゃぁぁぁっ」
「その草、お通じ良くする薬草なの」
「のぢゃぁぁぁっ!?」
流石ミルン。
あの川近くで暮らしていただけあって、薬草や毒草に詳しいんだな。
「なあ黒姫。何でこんなとこに居るんだ? ダラクどうしたんだ?」
「今それを聞くのぢゃぁぁぁ?」
「お通じは短時間で治るの。黒姫はお馬鹿さん」
「ミルン助けてたもぉぉぉっ」
「自業自得なの!」
「黒姫様、コレを飲むっすよーっ」
「誰ぞお主っ、んぐ……のぢゃ?」
ウザ子さんや、黒姫に何を飲ませたの? 物凄い正◯丸の臭いが、するんだけど。
この臭い苦手なんだよなぁ。
漢方の独特な香。
「ウザ子、今の何?」
「暗部のお薬っすよ。お通じを止める効能で、三日後に土石流っす!」
「のぢゃあああっ!? それは嫌なのぢゃ! 土石流は地獄なのぢゃ!」
「黒姫元気になったの!」
「三日後に、スッキリ爽快っす!」
三日後には、黒姫の尻が死ぬ訳だな。
お手洗いの数、増やそうかな。
黒姫専用、ウォシュレット付き便座。
龍が乗っても大丈夫♪
「お帰り黒姫、御苦労さん……」
「本当なのぢゃ! 和土国で呑んで帰ろうとしたら、全て出禁で楽しめなかったのぢゃ!」
「黒姫甘いの。醜態忘れた?」
「頑張ったのぢゃからっ、一杯ぐらい呑んで、帰りたいのぢゃ!」
「それなら家で呑むの。お外では、二度と呑め無い様にするの」
「酷いのぢゃ! ミルンは鬼かや!?」
「犬人なの。鬼じゃないの」
ミルンの返しが強いな。
黒姫の方が歳上なのに、立場が逆じゃん。
いや……前からこんなんか。
「それじゃっ、黒姫も手伝いなさいな」
「のぢゃ? 何をしておるのぢゃ」
「お米の為の土地作りなの!」
「頑張るっすよーっ!」
黒姫が居るなら、良い感じの戦力になるな。
龍の姿になってもらって、大きい爪で、更地にした土を柔らかくして貰おう。
「それじゃあ、お仕事再開だ!」
『ところで黒姫さんや』
『何ぢゃ?』
『あそこに落ちてる黒いモノは……なんだい?』
『我の尻から出て来たモノぢゃ』
『……自分で片付けような?』
『のぢゃ?』




