表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
五章 異世界とは機械人形が居る世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

375/411

1話 ゆっくりとのんびりと.2



 ザッザッ────「……」


「ミルン御嬢様、何処行くんっすかぁ」


 ザッザッ────「……」


「あっ、あそこに焼き串売ってるっすよ!」


 ピタッ────「何で付いてくる?」


 朝ご飯を食べた後、気分転換にお外を散歩しているのに、うざ子が付いて来るの。

 しかも全く、歩く音がしない。

 臭いがするから分かるけど、物凄く落ち着かないし、正直お邪魔なの。


「魔神様に任されましたから、地の果てまでもお供するっす!」


「地の果てまでは嫌なの。ハウスなの」


「家は無いっすよ? それなら、ミルン御嬢様の行く所にお供するっす!」


「動じないウザさ!?」


 影の中でも、ダントツの絡み具合。

 御座るは一体何処に行った?

 御座るが良いの。


「……語尾に御座るを付けてみて?」

 

「良いっすよ! 今日は何処に行くで御座るっすか?」


「語呂が最悪……やっぱり戻すの」


「分かりましたで御座る……っす?」


「御座るが残った!?」


 この影といると疲れるの。

 ミルンは突っ込み役じゃない!

 突っ込みは、あそこでアトゥナと揉み合っている、リティナのお仕事なの!


『こんなん付けとるからっ、治療に邪魔になるんや! 引きちぎったるわ!』

『止めろって! これ握られんの痛いんだよ!』


「……見ない事にするの」


「あの二人、良い動きしてるっすねぇ」


 今日はあの場所に行くの。

 最近完成した、ファンガーデンで今一番人気の、ほっとなすぽっとなの。

 このウザ子なら、絶対嫌がる筈なの。




 居住区の一画に建てられた、そこそこ大きめの、石造りの建物。


 王都では、特権階級の貴族か、高ランクの冒険者しか、利用出来無い様になっている建物。


「ボソッ(ミルン御嬢様、お外行かないんですか)」


「今日はここで読書なの」


「ボソッ(この空気苦手っすぅぅぅっ)」


「嫌ならウザ子だけ出て行くの」


 ファンガーデン図書館。

 ドゥシャが、各方面から集め、お父さんの、変な知識を活用して出来た、智の宝庫。


「ミルンはお勉強好きなの。ウザ子は苦手?」


「ボソッ(苦手と言うか、眠くなるっす)」


「寝たら追い出されます」


「ボソッ(それ……本当っすか?)」


 本当なの。

 あそこの、カウンターに居る受付さん。

 ジッと周りを観察してて、あの目は間違い無く、獲物を探しているの。


「だから大人しくしてるの。周りの子達も、黙々と本を読んでるでしょ」


「ボソッ(うぅ……ミルン様が読んでるの、少し見せて貰ってもいいっすか?)」


「見てみるの。楽しいよ?」


 タイトルは、『魔物の生態』なの。

 ゴブリン、オーク、コカトリスだけで無く、ハーピィや、ウッドドールの事も、細かい文字で書かれてるの。

 

「ボソッ(うへぇ、凄い見辛いっすぅぅぅ……)」


「ウザ子?」


 ウザ子が本を見たまま、固まってるの。

 もしかして……寝てる?

 でも、目は開いたままなの。


「すぅ、すぅ、すぅ」


「目を開けたまま……怖いの」


 でもこれで、静かに本を読めるの。

 次は何を読もうかなぁ。

 あれっ? カウンター受付さんが居ないの。

 何処行った?


『失礼致します』


「っ!? 近づいて来てたっ……なあに?」


『そちはのお方は、寝ておられますか?』


「寝てる……と思うの」


『畏まりました』────ギチィィィッ!!


 受付さんはそう言うと、ウザ子のメイド服を掴んで、そのまま持ち上げ、お外へと運んで行きました。


「……強制退館させられたの」


 あの受付さん、気配も無かったし、臭いもしなかったの。

 ウザ子を超える隠密性……何者?




 ウザ子が居なくなったので、裏口からこっそりと出て、お散歩再開なの。

 

「もう直ぐお昼……買い食いするの!」


 今日のお口は、サッパリ系です。

 お魚さんか、コカ肉さんか、この二択から考えて、問題は味付けなの。


「塩味……お醤油……」


 お父さんは、塩よりお醤油派なの。

 特に、お魚の煮込みを食べた時のお父さんは、何だかとても幸せそう。


『惨影的には塩っす! 食べ慣れた味が、一番美味しいっす!』


「……どこから現れた!?」


 いつの間にか、背後にウザ子が居たのっ。

 ミルンの平穏が脅かされてるの!


「ウザ子には聞いてないっ」


「そんな事言わずに、お魚一緒に食べるっす!」


「勝手に決められた!?」


 ミユン早く帰って来るの!

 ミユンが居ないと、ウザ子がしつこいの!


「ほらほら行くっすよ!」


「……帰ってお父さんと食べるの」


「何でっすか!?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ