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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界

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間話 女王の思惑アタリとハズレ



 ジアストール国と、ドルジアヌ帝国との戦。

 内戦で弱っているとは言え、本来ならば、こちらに多大な被害を出していたであろう、大国との戦。


 終わってみれば呆気ないモノ。


 こちらの被害は、砦の兵が数百名程度。

 しかもその者達は、帝国の者達に殺された訳では無く、同じ砦の兵達に、殺害されたというでは無いか。


 終戦宣言と、調印式を終え、こうしてジアストールへ戻って来たのは良いが……儂が行った意味が、殆ど無かったのぅ。


「あーっ、つまらぬのぅ……ナブリルよ、お茶を持って参れぇ」


「陛下。私は文官であり、メイドでは御座いませんので、お断り致します。それよりも、宜しかったのですか?」


「……ラナと、ヘラクレスの事か?」


「左様で御座います。特にヘラクレス様は、流様のストッパー。ファンガーデンには、無くてはならない存在かと」


「そのファンガーデンに、戦力が偏り過ぎておるのじゃ。これは我が国にとって、あまり良い事では無いのじゃよ」


 ヘラクレスは高レベルの戦士。

 我が兄の娘、ミルン。

 ドゥシャは暗部の長。

 アルカディアスの化物、シャルネ。

 魔龍である黒姫。

 大地の精霊であるミユン。

 聖女リティナ。

 リティナの護衛、ニアノール。

 コレだけでも、国を簡単に潰せそうであるが、あのオーガを加えた、意味の分からぬ兵達も居るのだ。

 それらを纏める存在が、あの流じゃぞ?


「馬鹿みたいな戦力じゃな……」


「陛下? どうされましたか?」


「何でも無いわ。各大臣には、伝えたのだな?」


「滞り無く。ヘラクレス様が、帝国より割譲された地を整え次第、新たな辺境伯と成る事、通達致しました」


「アッパーの方はどうじゃ?」


「はい。アッパー辺境伯は降爵。伯爵家となる事、本人も御納得されております。それに加え、家督を息子に継がせるとの事に御座います」


「うむ。馬鹿をした者達の処分は、進んでおるのかの?」


「問題無く。オーグド家の爵位剥奪。砦守護の任に付いていた各貴族家及び、帝国に通じて居た者達の処分は、完了しております」


「ふむ。アッパーには、悪い事をしたのぅ」


 帝国共と繋がっておる者を見つける為に、放置しておったのが、戦の所為で、裏目に出てしまったのじゃ。


「陛下。アッパー伯爵に瑕疵が無かったとは、言い切れませんので」


「分かっておるわ。彼奴は脳筋じゃからのぅ。国境を護るには、向いておらんかったわ」


「それで陛下。ラナ文官長は、いつお戻りに?」


 ぬっ……今それを聞くのかこやつ。

 彼奴は優秀ではあるがの。この儂に拳骨を喰らわすなど、許せる訳が無いのじゃ。


「帝国が……安定するまでじゃな」


「左様で御座いますか。ラナ文官長の御自宅に、陛下からの書状と、贈り物を持って行ったのですが……投げ捨てました」


「んっ? 儂から贈ったモノを……何て?」


「陛下からの贈り物を、地面に投げ捨て、踏み付けてから、お受取りになられました。ラナ文官長の御両親様は、陛下を許さないそうです」


「何でそうなるのじゃ!? 他国とは言え、ある意味昇格なのじゃぞ!」


「一人娘を他国に置いたまま。イコール、人質と思われても、仕方の無い事です。暗殺には御注意下さい」

 

 しれっと怖い事言いよるの此奴。

 ラナの家族が暗殺などする訳……確かラナの家の者は、金物屋であったか?


「……気を付けるのじゃ。詫び状と、なるべく早くに、ラナを戻すとしようっ」


「それが宜しいかと思われます。私も一瞬、死を覚悟しましたので」


「何が有ったのじゃ!?」


「……残念ながら、陛下にはお伝え出来ません」


「ぬぐぅっ、仕方無い。昼夜問わず、影に護って貰うしか無かろう」


「それなのですが、暗部の者達から、退職届なるモノが提出されております」


「退職届? 何ぞそれは?」


「ファンガーデンにて実施されている、雇われている者から、雇い主に送られる、一枚の書状に御座います」


 雇い主に送られる書状? 感謝の言葉でも、送られて来るのか?

 一体どの様なモノなのか、気になるのぅ。


「どれ、見せてみよ」


「どうぞ、こちらになります」


「ふむ、どれどれ……」



『ジアストール国代表殿


 この度、御社の昼夜問わずの労働環境、及び、無理難題に耐え切れず、改善の兆しも見えない為、御社を退職致します。又、雲一同も、これに同意します。


         ジアストール暗部 影一同より』



「暗部が退職できるかあああ──っ!!」


「と言う突っ込みが見れれば、多少の休暇を貰うだけで、勘弁してやるとの事です」


「儂遊ばれとるのかっ!? 儂女王じゃぞ!!」


「暗部と言えど流石に、キングマッスルホースとの並走は……無茶でしたね」


 あれかっ!!

 しかし儂とラナじゃけだと、何かあった時には対応出来ぬし、影ならば、問題無くイケると思ったのじゃ!!

 

「流が出来るならば! 影も出来るじゃろ!」


「陛下。このままですと本当に、暗部が解散してしまいますが、宜しいのですか?」


「……交代でなら、休暇を許可する」


「それが宜しいかと」

 

 暗部の休暇なぞ、この国始まって以来の、異常事態じゃぞ? 

 休暇ってなんじゃ? 

 儂にも休暇をくれぬか?

 女王じゃから、休みなぞ無いわーい!!





『ひゃっほーい! 休暇っすー!』

『疲れた身体を、温泉で癒すで御座るよ』

『黒姫様……早く帰って来てっ!!』

『陛下もこれで、少しは改善してくれるかしら?』

『改善してくれなきゃ、全員でどこか行く?』

『ミルン様の下なら、楽しそうだよね?』

『ファンガーデンに、暗部作らないのかなぁ』

『お休み沢山貰えそう……』

『でも、ドゥシャ様居るよ?』

『……陛下の下の方が、楽か?』


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