表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

364/409

間話 荒れ果てた地の再開発.1



 それは、『ルルシアヌ・ジィル・ジアストール』陛下の一言から、始まった。


『ヘラクレス・ヴァントよ。御主に、帝国から割譲される地を任す。荒れた果てた地を、見事復興させよ』


 ジアストール国の新たな領土。

 その広大な地を、ただ一人の男に任された。

 それは有り得ない行いであり、陛下の頭がどうかしたのかと、疑う程だ。


「町や村が……無いでは無いか」


 陛下の命を受け、新たな領土となる地を見て回っておるが、廃墟だらけでどうにもならぬ。


 畑も荒らされ、矢や鎧が散乱し、正直このままファンガーデンに帰りたい。

 しかし、それを行えば、陛下への反逆罪で、下手をすれば首が飛ぶのである。



「先ずは拠点作りからだろ?」



「……何故流君が居るのかね」


「えっ……皆んな根っこで送った後に、のんびり帰ろうと思って走ってたら、村長見かけたから来たんだけど?」

 

「……本音を吐きたまえ」


「今帰ったら、ミルンとミユンに監禁されて、寝床にドゥシャさんとシャルネが準備万端!って成りそうだから、寄り道中だぞ」


 この流君は、会った時と変わらぬな。

 良い歳であろうに、身を固めず、自由気ままに生きておる。

 しかし、一切音を立てず近付くとは、一体どの様な走り方なのだ。


「……気にしも仕方無いな。来たのならば、是非とも手伝って欲しいのである」


「あいよーっと、地図無いのか? と言うか、何で村長だけなんだ?」


「地図はここに有る。あと、他の者なぞ居らぬであるな。人員は状況を見てからと、断ったのだ。移動には邪魔であるしな」


「ふーん。どれどれ、新しい領土は……ルシィ馬鹿じゃね? 広過ぎだろこんなんっ!?」


 流君でも驚くのだな。

 まぁ驚くのも無理はないのである。

 割譲された地は、帝国国土の十分の一であり、ジアストール国がスッポリ入る程の、広さであるからな。


「こんなん命令されたら、俺ならその場でルシィ泣かすぞ。良く引き受けたな村長……」


「所詮は国に仕える身であるよ。陛下の命に、背く訳にはいかぬのでな」


「そんなんだから、無茶振りされんだぞ。偶にはルシィの頭に、拳骨してやれっての」


「……普通に死罪になるのである」


 あの陛下に拳骨を落とせるのは、流君の様な者だけであろうな。


「取り敢えず、川の近くに拠点構えて、その周辺の調査と開墾。それと並行して、新たな都市を作る為の資材調達だな」


「流石、ファンガーデンを考えただけあるな。少しだけ見直したのであるぞ」


「……帰っちゃうぞ?」


「それは困るな。流君が居れば、資材運搬の人員も不要であるし、効率が良いのである」


 あの不可思議なスキルであれば、鉱山や森からの資材調達、運搬等が、流君一人で済むからな。来たからには、手伝って貰わねば。


「見返りは、その取った資源の二割だぞ?」


「馬鹿にするで無い。幾ら取ったかも判断出来ぬのに、二割で済む訳が無かろう。こちらの作業に支障が無いのなら、好きにしたら良い」


「そりゃ太っ腹な事だな。そんじゃ、拠点の場所決めて、ミユンだけでも呼んどくか」


「ミルン君は良いのかね?」


「……だよなぁ。二人共呼ぶか」


 流君も、少しは苦労している様だな。




 ジアストールと帝国の元国境から、北東に、マッスルホースで二週間程進んだ場所。

 大きめの河川が流れており、丁度良い高さの高台も有る、好立地な廃墟に到着した。


 廃墟の理由であるか?

 あの砦に攻めて来ておった、グールの進路上にあったと言えば、理解出来るであろう。



「ほいっと『緑化魔法っ!』」



 ボコッ────『ミルンのおにぐぅ!?』


 ボコッ────『もちゅもちゅ……?』



 これは、呼び出した時間が、悪かったのでは無いであろうか?

 ミルン君の片手には、肉の切れ端が刺さったフォークと、ミユン君は、何かを頬張っているでは無いか。


「おにぐが消えたの!? ここどこ!?」


「もちゅもちゅ……パパなの!?」


「あー、飯時だったか。食べてる最中に、呼び出してすまん。外で食べてたのか?」


「ドゥシャと外でバーベキュー中なの! 早く帰して下さい! お肉が無くなるの!!」


「ミユンはお腹いっぱいなの。何か用があるなら、ミユンだけ残るの」


 ふむ。仕方無いのであるな。

 ミルン君が居れば、上手く流君のストッパーになってくれたのだが。残念である。


「お父さん! あの太陽があそこまで傾いたら、もう一回ミルンを呼ぶの! だから早く館に帰して下さいな!」


「分かった分かった。それじゃあ、また呼び出すから、宜しくな。『緑化魔法』っと」



『必ず呼ぶのっ』────ズボンッ!



「毎度思うのだが、中々アレな絵面であるな」


 穴の中に、引き摺り込まれる子供という、何とも形容し難い不思議現象。

 側から見たら、魔物に襲われ、地中に引き摺り込まれている様にしか、見えぬであろうな。


「それは、このスキル使ってる俺でも思うわ」


「村長、パパ、ここで何するの?」


「来て貰って済まぬなミユン君。ここに新たな拠点を作るのだが、あの場所一帯で、作物が作れぬか、確認して貰いたいのだ」


「んーっ、村長の頼みなら仕方無いの。これはお高い貸し一つなの」


「ミユン君、感謝する」


 流石であるな。

 何を要求するのでも無く、"貸し"とする事によって、後々の利益を取りに来るとは……流君の娘なだけある。


「そんじゃあ俺は、一旦この廃墟を更地にするわ。瓦礫やら何やらと、邪魔過ぎるだろ?」


「頼むのである。私は念の為、川の状況を調べておこう」


「その方が良いな。人や魚の死骸とか有ったら、場所を考え直さにゃならないし」


「汚染であるな。分かっておる」


 戦の爪跡が残る地を、どの様に再建するか。

 これはある意味、挑戦であるな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ