表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

354/412

ヤバい奴らの大追跡.2



 死ぬかと思うた。

 ほんまに死ぬか思うたわ。

 後少し、森から出るのが遅うたら、アトゥナ諸共あの魔法に巻き込まれ、そのまま消滅しとったわ。


「何やさっきの黒い渦……あんなん受けたら、姉やんで、もただでは済まへんで」


 何某らの魔法や思うけど、あんな魔法見た事無い……まさか神級魔法っ!?


「有り得へん、とら言われへんなぁ。間違い無く、追っ手の誰かが放ったやろうし。アトゥナ殺す気ちゃうやろな」


 こん子は仲間や無いんか?

 あの化物の男、一体何考えとるんや?


「っ、今は余計な事考えとる場合ちゃうな。この短い時で、追って来るの早過ぎやろっ」


 こっちはアトゥナを担いどるかならぁ、移動に注意を払わなあかんのや。

 けど……森から抜ければこっちのもんや。


「何とか帰って……こんアトゥナに呑ませる事が出来れば……っ」


「んぁ…何か揺れて…」


 起きおったっ、このタイミングでか!?


「何だ…っ!? この糞っ! 離しやがれ!!」


「じゃかましい!! 大人しくしとれ!!」


「誰がっ、大人しくするか!」────ブシッ!


「痛っ!?」


 あかんっ、離してもうたっ!?

 

 ズシャアアアッ────「ぐぅうううっ!」


 馬鹿かアトゥナ、ウチ走っとんのやで。

 上手く頭を護って転がった様やけど、下手したら死ぬやんけ。


「まさか武器隠しとったとはなぁ……魔王のウチに、傷を付ける程の技もんかいな」


「へへへっ…特別製らしいぞっ…」


「っ、嘘やろ……何で今ので動けんねん」


「ぐぅ…っと。過保護な、メイド長からっ、この服貰ったからな。流石に痛いけどっ、俺は動けるぞ」


 手に持つナイフ…アレがウチに傷を付けた?

 あんな軟そうなモンでか?

 妙な構え方しとるけど、中々どおして、様になっとるやんけ。


「せやけどそんなんで、どうにかなると思てんのか? 大人しゅうすれば、痛い思いせんで済むで?」


「思ってる訳無いだろ。でも……こう言う時は、全力で抗えって、言われてるもんでね」


「……しゃあないな。急いどるし、二度と逆らわれへん様、半殺しにして、連れてくわ」



◇ ◇ ◇



「──っ、臭いが近いのっ!」


 黒姫の魔法のおかげで、森が開けて、臭いに向かって真っ直ぐ行けるの!


「くははっ、我の考えた通りなのじゃ」


「黒姫、嘘は良く無いの。嘘吐きは泥棒の始まりって、お父さんが言ってたの」


「嘘も方便と、流は言ってたぞえ?」


 お父さんはアレなの。

 その場のノリでペラペラ喋る、お口達者な駄目人間なの。


「早くドゥシャと、結婚させなきゃ……」


「怖い娘が居ると、彼奴も大変じゃのぅ」


「ミルンは優しいの。優しくなかったら今頃、お父さんの玉は半分なの」


 潰しちゃったら、弟か妹が出来ないから、今は潰さず我慢してます。

 出来た後なら、しっかり潰すの。


「何やら、怖い事を考えておらぬかや?」


「怖く無いの。全然怖く無いの」


「御二方! あそこに居るで御座るっ!」


「あれがダラクっすか!」


 皆んなお目々が良すぎるの!

 ミルンにはまだ見えないけど、黒姫も目付きが変わったの……黒姫?


「ダラク……我を怒らせおったな…っ」


 ────ズドンッッッ!!


「っ、黒姫!?」

「黒姫殿!!」

「ぷわっぷっ!?」


 黒姫が全力で走ったのっ!?

 滅多に怒らないのに、一体何があったの!


「影達急ぐのっ!」


「御意にっ!」

「黒姫さんって速いっすねっ!」


 


 黒姫に追い付いた。

 黒姫は、目を血走らせながらダラクを見つめ、手にはダラクの片腕を持っている。


 ダラクは、残った片手でアトゥナの首を掴み、盾にする様に前に突き出している。

 

 そのアトゥナの姿。

 顔は酷く焼け爛れ、両手脚が変な方向に曲がっており、胸がまったく、動いていない。



「────お前は絶対っっっ、殺す!!」



 魔法の使用回数全部使ってっ、お前をバラバラの肉片にしてやるのっ!


「止まりやミルンっ! まだアトゥナは生きておるのじゃっ!」


「っ、黒姫っ、本当なの!?」


「はははっ、まだ生きとるで……少しでも動いたら、こん首が腐り落ちるけどなぁ!」


「……アトゥナを離すの。離せば、楽に首を落としてやるの」


 まったく隙が無い。

 下手に動けば、アトゥナが死んじゃうの。


「嫌やわぁ。ウチかてやりたい事があんねんから、無駄に死にとう無いわぁ」


「アトゥナを傷付けまいと、あの時動いたお主が、何故そこまで痛め付けおった……意味が分からぬのじゃ」


「あの場では、アレが最善やったって言う事やな……ほんまやったら、帰ってからしよう思てたけどっ、逃げられへんし、しゃあないわ」


 ダラクは何かをしようとしてる?

 魔法やスキルを発動するなら、黒姫や影達が察知するし、どう足掻いても逃げられ無いの。


「ははっ……これ何やと思う?」


 何あの結晶……何かのカケラ?


「っ、全員アレを止めるのじゃ!?」


「承知っ!」

「何っすかアレ!?」

「何をする気なのダラクっ!!」



「姉やんのカケラ、器に入れたらどうなると思う?」

『────っんく』



「ええ夜やで、姉やん」




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ