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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界

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ヤバい奴らの大追跡.1



 ザッザッザッザッ────『足跡っす! 皆んなーっ! こっちっすよーっ!』


 ザッザッザッザッ────『ミルン御嬢様! 進路このまま! 南東に進むで御座るっ!』


 お父さんと別れてまだ半日。

 濃ゆい影二人と、ミユンのお鼻を使い、全速力でダラクを追ってるの。


「すんすんっ……確かに臭いの。ダラクの奴、わざわざ森の中央を通るなんて、絶対私達への嫌がらせなの」


「ふむ、まだ姿は見えぬのじゃ。相当距離を稼がれておるのぅ」


「……黒姫何でその姿? お胸が揺れてて、イラっとするの」


 脚を動かす度に────ボインっ!

 腕を振る度に────バインっ!

 飛んで着地する度に────ブルンっ!!


 その御胸が揺れる度に、イライラムカムカして、掴んで全力で捥ぎりたいの。


「この姿ならば、あのダラクが何かしようとも、直ぐに対応出来るでな。眺めるだけで、勘弁して欲しいのじゃ」


「嫌でも目に入るの。大人になったら絶対、黒姫よりボインになってやるのっ」


「ふむ、我より巨乳かや? 今のミルンの成長具合じゃと……」


「何故途中で黙るっ。変な事考えてるなら、今直ぐにでも捥ぎ取るのっ」


「違うのじゃ。この先に魔物が居るでの。このまま進むと、戦闘は避けられぬが……」


 この先に魔物が居る?

 そんな事、気にしてる暇無いの。


「片付けながら先に進むの!」


 ザッザッ────『フゴッ?』


「居たのじゃっ!」


 猪型の大きい魔物なの。

 帝国兵に狩られていないと言う事は、そこそこ強い魔物なの。

 でも、ミルンの敵じゃ無い!!


『フゴォオオオッ!!』────ドッドッドッ!


 ミルンに真っ直ぐ突撃っ!?

 一番弱いと思われたっ!?


「屈辱なのおおお──っ!!」


 走る勢いそのままに、突撃してきた猪のお鼻をめがけ、下から突き上げる様に、パンチを繰り出す。


 メゴォッ────『プギュッ!?』

 ヒュンヒュンヒュンッと、猪がその場で三回転半捻りを披露して、着地に失敗。

 顔面が凹んだまま、動かなくなった。


「見事なものじゃなミルン」


「黒姫に褒められたって、嬉しくないの」


「……尻尾は嘘をつけぬのぅ」


 尻尾が勝手に揺れてるだけなの。

 本当に、黒姫に褒められも、嬉しくないの。

 どうせなら、お父さんに褒めて貰いたい。


「ぬっ、どうやらこの森、彼奴らの棲家のようじゃな」


 今さっき、潰したばかりの猪型の魔物。

 その魔物の棲家。

 見える範囲で、凡そ二十体。


「問題にもならないのっ! 襲って来たら、その都度潰すっ!!」



『やっほぉ──いっ! いっぱいお肉が転がってるっす──っ!』

『拾えぬで御座るよ! そのまま放置して、先に進むで御座る!』

『ええっ!? 小さいの一匹ぐらい、良いじゃないっすか──っ!』



 少し離れた所でも、影達が魔物と戦ってる?

 戦ってると言うより、気軽にお肉を狩りながら、散歩してる風に感じるの。


『フゴォオオオッ!!』────ドッドッドッ!

『フゴォオオオッ!!』────ドッドッドッ!

『プギィイイイッ!!』────ドッドッドッ!


「ミルンも負けてられないの!」


「どれっ、我も軽く運動かや?」



 帝国の南東に位置する、広大な森。

 その日、その森に古くから存在する、一種の魔物が、その姿を消した。

 



 月明かりの下、焚き火を囲みながら、御夕ご飯プラス、黒姫に説教なの。

 黒姫の所為で、見晴らしが良くなりました。


「黒姫……やり過ぎなの」


「じゃって……我だってっ、良いとこ見せたいのじゃ! 戦いたいのじゃ!」


 森の半分以上が、更地になってるの。

 草の根一つも残って無いの。

 危うく、呼び出した影が、影も残らずチリと化していたって言う、冗談じゃ済まないお話になっていたの。


「いやーっ、死ぬかと思ったっす!」


「うむっ。危うく巻き込まれて、死ぬところで御座ったな。アレが神級魔法で御座るか」


「黒姫はお馬鹿なの。お父さんでも、地上に向けて撃った事は……一回しかないのに」


「一回は有るので御座るかっ!?」

「それ我初耳なのじゃが!?」

「はっはっはっ、流石魔神様っすねー!」


 黒姫と会う前のお話なの。

 村一つが、隕石?って言う魔法で、ものの見事に吹っ飛んだの。


「アレは凄かったの……ムグムグ」


「もしかして、我だけ知らぬとか無いよの?」


「知らないの、黒姫だけかも?」


「ああー、確かに! 随分と前に、影の間で噂になっていたで御座る!」

「成程っ! あの話っすか! やっぱり神級魔法だったんっすね!」


「何故影共は知っておるのじゃ!? 我だけ知らぬとかっ、仲間ハズレは嫌じゃっ!!」


 だって、黒姫その時封印されてたの。

 知ってたら不思議発見なの。


「我にも教えてたも! なっ?なっ?ミルン教えて欲しいのじゃあああっ!!」


「大人の姿で、駄々を捏ねられると……何だか無性に殴りたくなるの。なんで?」


「おーしーえーてーなーのーじゃあああああああああああ──っ!!」


 やっぱり黒姫は、小さい姿の方が似合ってるの。

 大きいと……イラっとするの。

 



 駄々っ子黒姫のあやし方。

 一、角を持って、顔面膝蹴りをぶち込む。

 二、角を持って、頭をぐりんぐりん振り回す。

 三、一と二の後で、山盛りご飯を、嫌と言っても無理矢理喰わせる。

 四、吐いて失神する。

 『真似をしたら駄目なの。黒姫だから良いの!』

 『我でも良く無いのじゃっ!?』


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