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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界

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追う者と追われる者 .1



「タイミング最悪だっ! 糞っ!!」


『もう糞は出ぬのぢゃ!』


 そう言うことを言ってるんじゃ無い。

 帰ったら絶っっっ対っ、黒姫を影さん達の群れに放り投げるからな。


「『知覚』最大っ!」


 何処だ……この短時間で、知覚範囲外に出るなんて無理なはずだ。焦るな俺っ、ダラクとアトゥナ、二人の反応を探せば良い。


「見つけたっ! 『緑化魔法!』────」


 甘いぞダラク!

 こちとら緑化魔法で、お前らを引き寄せる事が、可能だからなっ!


 ボコッ────『何だあああっ!?』

 ボコッ────『ひゃあああっ!?』


「……何でおっさん二人なんだよっ!? その見た目っ、賊の仲間じゃねえか!!」


『何でここに戻っ』────ズボンッ!

『待て何をっ!?』────ズボンッ!


 セーフアースに行ってらっしゃい。

 じゃないわっ!?


「何で賊が生き残ってんだよ!?」


 他に反応は……っ、何だこの数っ!?


「二人で行動してる奴多くねっ!?」


「流君対策か……どうするのかね?」


 あの時、ダラクと一緒に転送したから、俺のスキルの詳細がバレた?

 あの一回で理解出来んのか?

 分かんないけどっ、今はそれを考えている場合じゃないな!

 

「んなもんっ、根刮ぎいっらあああっ!!」


 ボコッ────『いやあああっ!?』

 ボコッ────『おぅっ(ブリッ)?』


「オカマと糞中っ、邪魔だ!!」


『なによぉっ!?』────ズボンッ!

『糞っ逃げれっ』────ズボンッ!


「ダラクの奴っ、結構な数逃してやがったなゴラァアアアッ!!」


 ボコッ────『おぅっ、おうっ』

 ボコッ────『やめろおおおっ!?』


「お楽しみ中御免な! そのまま逝ってろっ!」


『おおおおおお』────ズボンッ!

『だずけろおお』────ズボンッ!


「おらぁっ!! 次の奴はどうだあああっ!!」


 ボコッ────『ぶふっ、おおおっ!?』

 ボコッ────『俺の干し肉どこいった!?』


「賊が悠長に飯食ってんじゃねえええっ!?」


『何だテメっ』────ズボンッ!

『干し肉どこ』────ズボンッ!


「どれがダラクとアトゥナだっ!!」


 ダラクの脚は相当速い。

 俺と戦った時もそうだけど、あの時……アトゥナが捕まった時の速さなら、俺の知覚範囲から出るのも、時間の問題だ。


「流君……不味いぞ……」


「何がだ村長っ! こっちは集中して……」


 村長が上を向いてる?

 そういや、まだ昼前なのに、辺りが妙に暗いよな。

 そう思い、空を見上げた。

 その空には、紫色の雲が陽光を遮り、ボッ、ポッと、何かが降って来きていた。

 その何かが、大地に咲く花に当たったその時────ジュッ! という音立て、一瞬にして、花が溶けて無くなった。



「流君っ!!」


「総員っ!! 防具を上にかざせええええええええええええええええ────っ!!」



 退避する間も無く、大地すらをも溶かす死の雨が、濁流の如く降り注いで来た。


「のぢゃっ!?」


◇ ◇ ◇


「はっ、はははっ! 賭けはウチの勝ちやなぁ! あん化物が、死ぬ事は無いやろうけど、逃げる時間は充分稼げたわ」


 正直言って、幸運が重なった。

 運が良かった。

 何かに使えると思て、賊共を逃しといて正解やったわ。

 ウチにずっと引っ付いとった、あん化物が、まさかあんな気を抜いて、糞するとは思わんかった。


「しかも、こんアトゥナが一人で居るなんてなぁ。姉やんの娘……貴重な器……」


 一緒にリティナも、連れて行きたかったけど、先ずは器や。あん化物なら、リティナぐらい護り切っとるやろうしなぁ。


「化物のスキルをペラペラ喋ってた、あん糞化物には感謝しか無いわぁ」


「うぅっ……」


「おっと、アトゥナが起きる前に、出来るだけ移動しとかなあかんなぁ」


 大事な身体やし、これ以上殴って、気絶させたく無いからなぁ。


「魔物が跋扈しとる場所なら、アトゥナも逃げられんやろ……」


 もう少しや。

 もう少しやで、姉やん。



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