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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界

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帝国内地をぶらり旅.5



 俺は、亡骸が横たわる穴を見つめる。

 大半の者の腹が開き、生きたまま喰われたのだろう。腐りながらも歪んだ、その表情。


 俺は、集中する。

 攻撃系以外の魔法を、発動させようとするのは、確かこれで三回目……だったかな?


 一回目は、ミルンを助けた時。

 二回目は、孤児院の火を消しとめた時。

 三回目は、今ここで。


 魔神と成って初めて、使おうと思った。

 流石にこれは、辛過ぎる。

 流石にこれは、理不尽過ぎる。


 日常を壊され、家族を喰われ、この人達が最後に思った事は、なんだったのだろうか。

 苦しみか、怒りか、憤りか。

 俺が想像出来る筈も無し。


 だからこそ、せめて最後ぐらいは、安らかな眠りを贈ろう。


「願うは炎……」


 決して傷付けない、優しい炎。


「想いは天に……」


 神が居るこの世界だ、必ず届かせる。


「この者達を、安寧の地へ……」


 聞き入れなかったら、全力全開で、ミルン砲を撃ち込むからな。



「脅しじゃ無いからっ、なあ神様っ!!」



 はい、ここで失念してました!

 称号上、俺って魔神なんだよね。所謂、神と名の付く存在って事だ。

 そんな存在が、神に本気で祈った訳ですよ。

 しかも、イミフな魔法使いながら。


 さて問題!

 一体どうなるでしょーうかっ?

 はい、こうなりました。


 俺が魔法を発動させて直ぐ、小さな火が、穴の中に灯った。

 出だしはあの魔法にそっくりだよね。

 ミルンのボロ家を潰した魔法。

 しかし、あの魔法と何かが違う。


 その小さな火は、徐々に膨らんでいき、穴の中で横たわる亡骸達を、包み込んだ。

 その瞬間────ボシュッと言う音と共に空に向かって飛び上がると、空に見た事のある扉が現れ、その中へスポッと……良い音をさせながら入って行った。



『列を乱すなぁああああああ────っ!?』



「んっ?」


 スポッと入った扉の先から、何やら泣きそうな、男の声が聞こえて来てたけど……扉消えたし、どうでも良いか。


「今の扉ってアレだよなぁ。守護者の称号に書いてた、『神域への扉』。亡骸も無くなってるし、良い仕事したんじゃね?」


「お父さん! 今のお声だれ!?」

「煩かったの! お耳がキーンってなりました!」


「誰だろうな……俺も知らん!」


 マジで知らないし、知りたくも無い。

 神の知り合いなんて、桃色お化けのアルテラだけで、勘弁して下さい。

 

「流君……やってくれたな……」


「どうした村長? そんな疲れた顔して」

 

 筋肉村長が暗い顔をしながら、近付いて来るんですけど。

 何で若干汗かいてんの?

 肌が凄いテカってて、ローションでも塗りたくったのか?


「周りを見たまえっ!?」


「周り? 周りって……うわぁ」


 部隊全員気絶してんじゃん。しかも立ったままって、気持ち悪いな。


「何で気絶してんだよ」


「あの声の所為であろうが!? 危うく私もっ、意識を持っていかれるところだったわ!」


「それ俺の所為か? ミルンやミユン……普通に元気だぞ?」


「軟弱な部隊員なの! 叩き起こして来ます!」

「ミルンお姉ちゃん、玉は駄目なの。叩くならお尻を狙うの!」


「何故平気なのだ!?」


 知らんがな。

 ミルンが可愛い、ケモ耳モフ尻尾だから、大丈夫だったんじゃね?

 良く見たら、リティナやニアノールさんも無事だし、アレスさんは……置いといても、マロンも元気だし。

 黒姫はどうしたって?

 亡骸喰えなかったダラクを、楽しそうに虐めてるぞ。


「流のおっさん…今の何?」

「ほら見ろ村長、アトゥナも元気じゃん」


「何故元気なのだ!?」


「どうしたんだヘラクレス様?」

「さぁ? どうしたんだろうな」


 あとは……姫さんは何処だ?

 確か、お付きの人と一緒に……居たけど、何してんのアレ。

 

「なぁ村長……」


「何かね流君」


「いや……あの姫さんさ……」


「うむ」


「何でこっち向いて、祈り捧げたポーズのまま、気絶してんの?」


「良かったな流君。信者が一人、増えたでは無いか。はっはっはっ……」


「そうかそうか信者かぁ(絶対あの姫さんと、くっ付けてやるからな……)」


「今何か言ったかね?」


「何も言ってないぞ?」


 俺は信者何て求めて無い。

 俺の信者に成るぐらいなら、ミルンを崇め、奉りなさい。

 洗礼式には、玉殴りをプレゼントだ!!


「崇め奉る……アイドルだな」


 マネージャーはドゥシャさんだろ。サブマネージャーは、アレスさんで良いか。


 ミルン、ミユン、リティナ、アトゥナ、ニアノールさんを、メインユニット。

 ミウ、メオ、ラナス、コルル、マロンを、バックダンサーに仕上げる。


「完璧じゃんこのアイドルっ!!」




「メンバーに我が入っとらぬのぢゃっ!?」

「大丈夫だ。黒姫はソロでやらせるぞ?」


「我だけソロなのかや? 流石なのぢゃ! 我一人でも、輝く星となれるのぢゃ!」

「それじゃあ、ちょい魔龍になってくれ」


「のぢゃ? 別に良いのぢゃ」

「ほらっ、コレ首にかけてくれ。そのまま飛んで、ぐるっとここいら一周な」

 

「これ……我をアドバルーンにしようと、しておらぬかや?」

「えっ、その通りだけど?」


「……えっ?」

「……えっ?」




「「……えっ?」」



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