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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界

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帝国内地をぶらり旅.3


 

 馬車の中が混沌となったので、村長と入れ替わりました。

 あの姫さん?

 無理無理。俺と話す気全く無いもん。

 村長を生贄に、自由を召喚!!


「外は気持ちいいなぁ……」

 

「お馬さん、はいよー」

「良い肉質なの。絶対美味しいお肉なの!」

「はいはい二人共。お馬さんの上で、暴れちゃ駄目だぞ」


 はい。村長の乗ってたマッスルホースを、パクりました。

 中々頭の良いマッスルホースで、俺が乗り馴れてない事を分かってか、歩くスピードがゆっくりなんだよ。


「ぱっからぱっからお馬さーん」

「良質お肉を下さいなー」

「ぱっからぱっからお馬さーん」

「馬肉のユッケが食べたいのー」


 ミルンとミユンのエグい歌。

 ずっと聞いてると、何か肉が食べたくなって来るんだよなぁ。


「ぱっからぱっからお馬さーん」

「後バラフタエゴバラロースー」

「ぱっからぱっからお馬さーん」

「タテガミこりこり美味しいなー」


 ミルンさんや。マッスルホースを食いたい事が、良く分かる歌だね。

 マッスルホース、若干震えてるし。


「ぱっからぱっからお馬さーん」

「今日のご飯は何なんだー」

「ぱっからぱっからお馬さーん」

「それはお前のブリスケだー」(じゅるっ)

『ブルゥッ……ヒヒッ!?』


 ミルンの涎、マッスルホースの首に垂れてるよ……こりゃ怖いわ。

 おっ、ニアノールさん近付いて来る。

 リティナを後ろに乗せて、珍しい光景だぞ。


「なんや、凄い歌聞こえんな。マッスルホース怯えとるやん」

「他のマッスルホース達もぉ、震えちゃってますよぉ。もう少し、声を抑えて下さぁい」


「んな事言われても、暇だからな。ミルンとミユン楽しそうだし、許してくれよ」


「ぱっからぱっからお馬さーん」

「リティナのお馬が見て来るのー」

「ぱっからぱっからお馬さーん」

「色白お肉が美味しそうー」(じゅるりっ)


「やめいミルン!? ウチのマッスルホースを食おうとすな!」


 草原から森に入って、ずっと同じ風景だからな。ミルン、ミユン共に、飽きてるんだろ。


「リティナ煩いの。お馬さんを食べる訳無いの」


「嘘こけっ! 涎垂れまくりやんけっ!」


「涎は仕方無いの。お馬さんが、美味しそうなのが悪いっ」


「美味しそう言うとるやんっ!?」


 あれだよね。関西弁っぽいリティナが、突っ込みを入れるだけで、若干漫才風になるよね。突っ込み役は大事だよなぁ。


「流にーちゃん! ちゃんとミルン教育せーや! 全然貴族の娘とちゃうやん!」


 こっちに矛先向けて来やがった。

 ミルンはこれでも、充分御淑やかになったんだけどな。


「リティナ。ミルンは、貴族の娘じゃ無い。俺の娘だぞ?」


「んな事分かっとるわっ!? ほんまっっっ、変わらんやっちゃなぁあああっ!!」


「リティナに変わらない、安心を……」


「安心出来るかぁあああっ!!」

「リティナ様。少し落ち着きましょうねぇ」


 何かの広告の言葉だったかな? リティナには不評の様だ。面白い程顔真っ赤にして、オラオラしながら怒ってるわ。


「ぱっからぱっからお馬さーん」

「なでなでお身体気持ち良いー」

「ぱっからぱっからお馬さーん」

「外モモ内モモ美味しいのー」


「あかんっっっ、ウチまでっ、馬肉食いたくなって来たやんっ!?」

「お昼に食べますかぁ?」

「食べへんよ!?」


 良い感じに洗脳されてんじゃん。

 和土国でお琴習った所為か、音程が良い感じなんだよなぁ。




 国境を越えて三日。ようやく村らしきモノが見えて来た。

 斥候で犬人を数名向かわせたけど、はてさて、敵さんは居るのかね。


「目立つ訳にはいかないから、羽人を飛ばせれないのが痛いよなぁ」


「お父さん、ミルンは行かなくても良いの?」


「行かなくても良いよ。ミルン行って敵さん居たら、問答無用で襲うだろ?」


「そんな事は……しないの!」

「ミルンお姉ちゃん、嘘は駄目なの」

「嘘じゃ無いの! 少しパンチするだけなの!」


「それ襲ってるよね?」


 望遠鏡で見る限りだと、普通の村っぽいんだけど……人居るのか?


「知覚の範囲を広げるか……やめとこ。ここは斥候待ちだな」


 現状、魔物だけに気を付ける。

 半径一キロに集中して、襲って来そうな魔物が居たら、セーフアースに御案内。


「魔物すら居ないんだけどな」


「お父さんがまた、独り言なの」

「諦めるの。パパは中々成長しないの」


「……泣いて良いかい?」


 娘達の言葉が、胸に刺さるんだけど?

 しかも、上手い具合に、抉り込む様に突き刺して来るよね。


「お父さん、斥候戻って来るの」

「何か……青いお顔になってる?」


「あー、嫌な予感しかしないんだけど……」


 何事も無く、首都に行きたいもんだ。




 

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