帝国内地をぶらり旅.2
村長と話をしている時に、思った事。
特殊部隊を編成して、帝国の首都まで突撃すれば、良いんじゃね。
思い立ったが吉日。
なのでちょっと、編成してみました。
「こんなんでどうよ村長。良い感じじゃね?」
特殊部隊員名簿(落書き)を村長に見せ、尊重の反応を見てみる。
額に血管浮き出てるし、駄目か?
「流君。たった五十名の部隊で、どうやって帝国の首都を落とすつもりかね」
「血管ピクピクしてるじゃん。朕朕ヤるだけなら、少人数でも充分イケるって」
「ここの指揮は誰がするのだっ!?」
「後から来るルシィに丸投げだぞっ♪」
「ぐっ……陛下の到着まで待てぬのか?」
「待てない。戦は、長引けば長引くほど、泥沼に嵌るからな。帝国の内情、報告書見て知ってんだろ?」
内戦の沼に嵌って、抜け出せない。
元凶の一人である、朕野郎の弟は捕獲出来たけど、ここで退いてしまったら、あの朕野郎が何をしでかすか。
「やるなら速攻だ。朕野郎を捕獲したら、後は帝国の姫さんに任せるさ。『侵略』とは、思われたく無いからな」
「そこまで考えておるのか……」
「ただの丸投げだけどな。戦の後処理なんざ、偉い奴の仕事だろ? そう言や村長……御結婚、おめでとう御座います」
「結婚しとらぬわっ! 今言う事かね!?」
「えっ……あの姫さんから、熱烈な愛の告白をされたって、噂になってるぞ?」
「誰が漏らしたぁあああっ!!」
「噂の出所は、姫さんのお付きの人だ」
「っ、何も言えぬではないか!?」
村長がこんなに狼狽えるの、珍しいな。
あの姫さんのラブコールが、『帝国の皇帝になって下さい』だなんて、村長玉の輿だな。
「それじゃあ村長の御祝儀がてら、帝国に突撃かましますか!」
「その様な御祝儀なぞ要らぬ! 結婚せぬからな!」
「頑張れ村長っ♪」
「何を頑張れと言うのだっ!?」
そんな訳で、少数精鋭部隊を編成して、国境を越えました。
壁で国境区切ってたから、壁が破壊されてる今ならフリーパスだな。
国境の壁を中心に、右半分はジアストール! 左半分はドルジアヌ帝国!って遊んでたら、ミルンとミユンに怒られた。
「お父さんはお馬鹿なの。状況考えなさい!」
「パパは時々意味不明な事するの。絶対、直した方が良いの」
「すんません……」
この光景を見ていた部隊員達は、俺を萎縮させるミルンとミユンに、絶対服従を誓ったとか誓わないとか。
俺とミルンとミユン。帝国のお姫さんと、そのお付きの人は、馬車の中で大人しくしています。村長に無理矢理、押し込められたって言うのが正解だな。
「んで、お姫さん。ここから首都まで、大体どれぐらいの日数かかるんだ?」
「……ボソッ(なぜ知らない男性とっ)」
「ケネラ様っ、御労しや……」
「普通に聞こえてるぞー。村長じゃ無くて悪かったな。立場的に俺の方が上らしいから、ここは我慢してくれ」
「我慢は大事! お父さんに失礼を働くな!」
「パパを怒らせたら帝国滅ぶの! 魔王より上位の魔神様なの!」
「ミルン、ミユン。煽るなって」
「……ボソッ(獣族の子供…可愛い…)」
「おい男。その獣族の娘を、ケネラ様に差し上げるのだ」
「……はっ?」
こいつ、今なんて言った?
ミルンとミユンを差し出せ? 助けられた身でありながら、差し出せって言ったのか?
「お父さん怒っちゃ駄目。別に貶された訳じゃ無いの」
「お付きの人、パパを怒らせたら駄目なの。助けられた事……忘れたの?」
「っ、ケネラ様の為と思い、大変失礼な事を申しました。平にご容赦を……」
「あと一秒。謝罪が遅かったら、お前ら潰すところだったぞ。次、巫山戯た事言ったら……分かるよな?」
「……肝に銘じます」
「モシュ、暴走しては駄目よ」
「申し訳御座いませんケネラ様っ」
姫さんにはしっかり謝るのな。
また変な事言いやがったら、マジで馬車から放り出そう。
「お父さん目が怖い」
「パパがガチ怒一歩手前なの」
「そりゃ怒るって。家族差し出せって言われたら、殴りたくなるだろ? なあ姫さん?」
「……ボソッ(獣族と家族?)」
「ケネラ様。確か、ジアストールの魔王には、娘が居るとの事。この御二方がそうなのでしょう。失念しておりました……」
この姫さん。意地でも俺と話しない気?
普通に聞こえてるからな?
「つーか、普通に喋れ糞女。マジで馬車から放り出すぞ……」
「ミルンお姉ちゃん! パパを押さえておくの!」
「分かってるの! お父さん!怒っちゃめっ!」
「貴様っ、ケネラ様に向かって何と言った!?」
「モシュっ! 抑えなさい!」
狭い馬車の中が混沌じゃん。
普通に歩いて進みたいんですが……駄目?




