リティナとアトゥナと魔王ダラク.3
「で、ウチに何の用や。今あの男、半魔にしたばっかで結構しんどいねん。手短に頼むで」
リティナの奴機嫌悪いな。
少し棘のある、口調になってる気がする。
いつもなら、怒ってる風を装ってる感じなのに、本気で疲れてるのか。
「すまぬのリティナや。このド腐れ魔王が、どうしてもお主に会いたいと言っての。仕方無く連れて来たのぢゃ」
「あん? 魔王やて?」
うわぁ、目付きが更に険しくなった。
俺と同じ様な顔付きなのに、どうみてもリティナの方が、迫力有り過ぎだって。
「……おどれがリティナか?」
「またウチと似とる奴来たな。ウチがリティナやけど、魔王?が何の用やねん」
「はぁぁぁ…どうりで探しても、見つからん訳やな。まさかアトゥナとリティナ、二人共ジアストールにおんねんから……」
「用無いんやったら戻るで? ウチそこまで暇ちゃうねん」
「ちょい待ちなはれや。あれや……リティナはおかんの事、何か覚えとるか?」
「知らんわ。物心付いた時には奴隷やったさかい、覚えとる訳あるかいな」
「奴隷やった……」
今度は、魔王ダラクの目付きが鋭くなった。
怒ってる様な感じだけど、暴れようとしたら、乗ってる黒姫さんに首折られるぞ。
「抑えぬかダラクよ。奴隷だったのは昔の事で、今では立派な聖女なのぢゃ」
「あぁ、別に怒っとらんよ。こん子達居るし、スキル使う訳あらへんわ……」
「嘘ですねぇ。黒姫さん居なかったら、辺り一面に何かしそうでしたよぉ」
ニアノールさん、目が笑って無いです。
いつの間にか両手にナイフ持ってるし、猫人だから接近戦強いんだろなぁ。
「ほんま攻撃せえへんて。姉やんの大事な娘二人や、怪我なんてさせられへんわ」
「娘二人?……どう言う事?」
「なんやアトゥナ、おどれ気付いてへんのんかいな。リティナはアトゥナの姉やんやで」
姉やん? このリティナが? 誰の姉やん?
「あん? ウチとアトゥナが姉妹? 何の冗談やねんそれ」
「そうだぞ魔王。俺とこの性悪リティナが、姉妹な訳無いだろ」
「誰が性悪やっ!」
悪魔族って、和土国で見た通り姿が似てる奴多いから、魔王ダラクが何か、勘違いでもしてるんだろ。
「いや、間違い無く姉妹や……二人の名前は、ウチの姉やん。つまり、二人のおかんが付けた名前やからな。悪──『魔王ダラクさまぁ。それ以上は駄目ですよぉ』っ、なんや怖いな」
えっ、いつの間にかニアノールさんが、魔王ダラクの首元に、ナイフ突き立ててる。
全然見えなかったんだけど……怖いな。
「それ以上喋る様ならぁ、首落としますねぇ」
「何やっとんやニア?」
「あまりにもぉ、この魔王ダラク様が煩かったのでぇ。(魔王さまぁ、悪魔族の話はタブーですよぉ)」
「ほんま…これやから獣族は厄介やわ。分かった分かった。リティナが居る事を確認出来たし、今はこれで満足したるわ」
「ニアノールや……何故我の尻にも、ナイフを向けとるんぢゃ? 後少しで刺さるのぢゃ! 止めるのぢゃ!!」
「黒姫さまぁ…お戯れが過ぎますとぉ、院長に言いつけますよぉ」
「影の元ボスっ!? 分かったのぢゃぁぁぁ、もう遊ばぬのぢゃっ! ほれダラクっ、早よ向こうへ行くのぢゃ!(グゴキッ)」
「やめいっっ、首が折れるやろが!?」
ヘラクレスさんのところに行ったな。結局この人達…何しに来たんだ? 良く分かんない。
「アトゥナ、ニア、休憩はもうええやろ? あの半魔の男に飯食わせて、ついでにアッパーのオムツ変えたってくれや」
「分かりましたぁ」
「……っ、辺境伯にオムツ履かせてるのか!?」
「当たり前やろ。動けへんねんから、オムツは結構大事やねんぞ」
ファンガーデンのオムツって、赤ちゃん用だけじゃ無かったんだな。
「それじゃあアトゥナさん、戻ってお仕事ですよぉ」
「分かった……辺境伯がオムツかぁ」
病人だから仕方無いんだけど、辺境伯のオムツ姿……不敬罪で、首斬られないのかな?
「後で、流のおっさんに聞いとくか」




