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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界

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リティナとアトゥナと魔王ダラク.1



 簡易小屋の天井を直し、今は扉を修理してる真っ最中だ。

 あの村では、結局働かせて貰えなかったけど、まさかこんな所で、役に立つなんてな。見よう見まねだけど、中々良い出来じゃん。


「おい誰や! 何で知らん男が増えとんねんて! アトゥナ! 誰がこいつ持って来たんや!」


 煩い奴だよまったく。

 これで聖女って言われてるのが、不思議でならない。


「さっき、ヘラクレスさんが運んで来たぞ」


 俺は扉の修理に集中したいのに、さっきからリティナの奴が煩いんだ。


「っ、あんのヘラクレスっ、こいつも魔物混じっとるやんけ! ウチを過労死させるきか!」


「リティナ様…大変言い辛い事なのですが。その者は、私の兄であり、帝国の第二継承権を持つ、サハロブ・ブリージ・ノゾ・ゴルゾドディアで御座います。まさかとは思いましたが…」


「知るか! 半魔に戻すんに、ウチの力結構使うんやで! 流にーちゃんと言いヘラクレスと言いっ、いっぺん悪夢見せたろかぁ!!」


 病人が居るのに、そんな大声出すなよな。

 まぁ、俺が口出したら、またギャンギャン言い返してくるから、何も言わないけどさ。


「ケネラ様…今が好機、その愚か者の首を刎ねてしまいましょう」


「ウチが治す言うとるのにっ、そないな事させるかぁっ!」


「そうですよモシュ。それに首を刎ねるならば、戦を終わらせてからですわ」


「そうそう終わらせてからやなぁって、あんたの兄貴やろ!? ほんま怖い事言うなや!」


 ガコッ──「あとはこれをっと…良し、扉の修理完了したぞ。ニアノールさん、次は何をしたらいいんだ?」


「器用ですねぇ。じゃあ次は、あそこのアッパー辺境伯を移動させましょうかぁ。ここも手狭になって来たのでぇ」


 隣の天幕に移せば良いんだな。


「分かった。俺がこっちを持てば良いんだな」


「そうですぅ。行きますよぉ、いちにの今っ」


 よいしょっ……流石に痩せてるとは言え、このおっさん重いな。


「はい、このまま歩きますよぉ」


「分かった。おいリティナ、このおっさんの服持って来てくれ」


「後で持ってくわ……あー、そん人運んだら、次はこのおっさんも頼む。簡易小屋は女専用にするさかい」


「分かった、次はそのおっさんだな」


 このおっさんよりかは軽そうだ。

 にしても、戦場とは思えない程のんびりしてるよな……流のおっさんの所為か?

 

 


「ふぅ…疲れた…」


 おっさん二人を天幕へ運んで、結構疲れたから一休みだ。


「お疲れ様ですぅ、お茶どうぞぉ」


「あっ、どうも…ずずっ」


 猫族のニアノールさんか。

 見た感じ、ここの誰よりも、常識持ってそうな獣族なのに、何でリティナと一緒に居るんだろ。尻尾ふりふりしてるし。


「どうしましたぁ、私の尻尾を見てぇ(ふりふり)」


「いや尻尾じゃ無くて……ニアノールさんは、リティナとの付き合い長いんですか?」


「長いですよぉ。リティナ様とは、同じ場所で育ちましたからねぇ。私も、リティナ様も、元奴隷でしたからぁ」


 これは……聞いちゃ不味かったかな。


「……すみません変な事聞いて」


「良いですよぉ。毎食お腹いっぱい食べれてましたしぃ、今は幸せですからねぇ」


 奴隷なのにお腹いっぱい?

 いやいや、変な事聞いたら駄目だな。ニアノールさん遠い目してるし、あまり詮索したら失礼だ。


「アトゥナさんは、良い子ですねぇ。リティナ様とそっくりなのにぃ、正反対と言うかぁ、変な感じですぅ」


 そんなに似てるかな……いや、似てるか。

 最初会った時、一瞬鏡見てる様な気持ちになったし。なんでこんなに、似てるのかな。


「あそこにもぉ、似てる人?が居ますねぇ。流さんが連れて来た方の様ですがぁ……黒姫さんがくっ付いてますぅ」


「……何て説明したら良いんだろ。流のおっさん寝てるから、説明が難しい……」


 あのそっくりさんは、魔王ダラクです。

 悪魔族を集めてます。

 ついでに俺も狙われました。


「簡単に言ったら……こうなるのかな?」


「何がですかぁ?」


「いやっ、何でも無いです」


「あらぁ、こっち来ますよぉ」


 こっち来るのかよ。

 面倒事だけは勘弁してくれよ。


「あらぁ? 方向変えましたねぇ」


「何してるんだ黒姫さん……頭持って何か遊んでるし」


『そっちじゃ無いのぢゃ(グギッ)』

『そやからっ、首捻って誘導すんのやめい! このド臭化物がっ!』

『我は臭く無いのぢゃ(ゴリッ)』

『ぐっっっ、今もの凄ぉ力込めたやろ! 首引き千切る気かおどれっ!』

『その気なら既にやっとるのぢゃ(グリッ)』


 ほんと……あの魔王の喋り方、リティナに似てるよなぁ。ガラの悪さもそっくりだ。


『ほれ、あそこにアトゥナが居るのぢゃ(ゴキッ)』

 

 やっぱりこっちに来るんだな。

 黒姫さん、遊び過ぎだろ。




 

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