表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

332/410

サハロブ・アヒージャ・ノゾ・ルプマンティ



 ドルジアヌ帝国最北端首都、サハロブの一番の名所は何処かと、住民に聞いたなら、こう答えるであろう。


 前皇帝の名を冠されたエグル宮殿。


 一つの町かと見紛う程広大な土地に、幾つもの家屋が建ち並び、その中央に山の如く聳え立つ、黄金に輝く宮殿。

 

 宮殿内部も黄金が散りばめられ、一見豪奢な作りに見えるが、その内部構造は異質。

 迷宮を模した巨大な迷路となっており、初めて入る者には必ず、宮殿内の案内人が付く事になっている。


 その宮殿の最奥に隠された私室で、ドルジアヌ帝国暫定皇帝、サハロブ・アヒージャ・ノゾ・ルプマンティは、毛布に包まりながら怯え、震えていた。


 世界会議で味わった屈辱など、今となってはどうでも良く、ただただ嵐が過ぎ去るのを祈るばかりの毎日。

 愚弟との戦に勝つ為、前皇帝が身に付けていた鍵を盗み、地下で封印されていた者達を解き放った。


 この帝国の古き時代より、災厄を引き起こしてきた、魔王リサーチャー・ラブメント。

 解放された魔王は、嬉々として民達を襲い、どうやってか魔物と組み合わせ、その作られたモノ達を使って、町や村を攻めさせた。


 玩具の様に次々と民達の姿を変え、身籠った者や、赤子までをも手にかけて、あの魔王、リサーチャー・ラブメントは、楽しそうに人を壊して行く。


 このままでは、自らの愚かな行為により、帝国が滅んでしまう。

 どうにかしたかった。

 どうにかしようにも、どうにも出来なかった。

 相手は、触れるだけで人を壊し、作り変える、恐ろしき魔王。

 しかも、幾ら傷を与えても再生してまい、到底太刀打ちできる相手では無かった。


 そして、もう一体の化物。

 リサーチャー・ラブメントよりも、こちらの化物の方が、万倍も恐ろしい。


 帝国には、二体の魔王が確認されている。

 魔王リサーチャー・ラブメント。

 人や獣族を玩具としか思っていない、古くから帝国に伝わる、恐ろしき魔王。


 魔王アルバリル・モノ。

 いつの頃から帝国に存在したのか、能力すら定かでは無い、狂気の魔王。


 魔王アルバリルは、このエグル宮殿内で暮らしており、一度何をしているのかを見た事がある。いや、見せられたと言った方が、正しいであろう。


 エグル宮殿内に居た、召使い達を、一人、また一人と、解体していた。

 それならば、魔王リサーチャー・ラブメントと、行っている事は然程変わりが無い。

 しかし、アレは駄目だ。

 私は耐える事、見る事が出来ない。


 何故なら、生きていたから。

 解体され、死んでいる筈の者が、バラバラになりながらも、『殺して』と叫んでいたから。


 私を何故殺さないのか。

 魔王達に問いかけた。

 魔王達は笑顔で答えた。


『皇帝にしてあげるわぁん。私達を解放してくれたのですものぉ、ちゃぁんと約束は守るわよぉ。うふふっ』


『貴方が皇帝であれば、材料には事欠か無いからね。人や獣なんて、無くなる前に増やせば良いだけだし』


 上位の者の傲慢。

 まるで、少し前の朕を見ている様で、何も言い返せなかった。

 

 こうなるのなら、封印を解くのでは無かった。

 こうなるのなら、潔く弟に、皇帝の座を渡せば良かった。

 別に弟で無くとも、腹違いの妹でも良い。

 寧ろ、そうすべきであった。


 欲に塗れた男の、愚かな行いが招いた、帝国の危機。

 長きに渡って栄えた帝国が、このままでは滅びてしまう。


 しかし、いったい誰が、あの様な化物達に敵うのだろうか。

 あの男、ジアストールの魔王でさえ、敵う訳が無いであろう。

 西のアルカディアスの魔王ならば、一対一なら勝てるであろうが、動かまいて。


 ならば、帝国が終わるのを、静かに待つ。

 動く事無く、この宮殿で、最後を待つ。

 あの魔王達が飽きて、朕にその牙を向けるその時まで、朕はただ、祈る事しか出来ぬ。


「どうか誰か…神でも、悪魔でも良いっ。あの魔王をっっっ、討ち滅ぼしてくれぇっっっ」


 神が応えてくれる訳も無く、悪魔なぞ、悪魔族が誇張されて作られた幻想である。

 それでも、祈る事しか、出来なかった。

 だからこそ、取ってはならない者の手を、取ってしまう。


『そのお願い、聞いても良いですよぉ』


 まるでそれが、初めから決まっていたかの様に。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ