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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界

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間話 黒姫の和土国内での過ごし方



 のぢゃっ? 

 ミルンは一体何をしてるのぢゃ?

 デカい肉団子に追われているようぢゃが、脂肪分過多で足が遅くて、ミルンに遊ばれておるのぢゃ。


「余所見とはええ度胸やなぁ化物……(コッ)」


「余所見をしてても、お主には負けはせぬのぢゃ。(コッ)ほれっ、駒が無くのうたの」


「ボーンなんかくれたるわっ(コッ)」


 此奴弱過ぎるのぢゃ。

 何も考えず、先も読まずに打っとるだけぢゃと、何千年経っても我には勝てぬのぢゃ。


「ほれ、王が逃げれぬのぢゃ(コンッ)」


「何でやねんっ! イカサマしとるやろ化物!」


 やっぱり、何も考えておらぬの。

 傘根技から暇潰しにと渡された盤遊戯ぢゃが、この魔王とは相性が悪い様ぢゃな。


「この遊戯でどうイカサマをするのぢゃ? 少しは考えてモノを言うのぢゃ」


「っ、なら次はコレや! コレなら決まり事が少うて分かりやすいからな!」


 表裏と違う色をしており、マスに順に置いて、相手の色を挟んだら、ひっくり返して自分の色にする遊戯。


 うむっ、魔王の奴考えずにやると、全部のマスが我色に染まるのぢゃ。


「して魔王よ、何故悪魔族を集めておるのぢゃ(パチッ)」


「……今それを聞くんやな(パチッ)」


「ここに居るのは我等だけぢゃし、何なら力尽くで、聞いても良いのぢゃがの(パチッ)」


「言う訳無いやろ、アホちゃうか(パチッ)」


「ふむ……国作りにしては、些か雑味を感じるし、されとて単なる善意とは、到底思えないのぢゃがなぁ(パチッ)」


「何が言いたいんや(パチッ)」


「何某らノ儀式……(パチッ)」


「……(パチッ)」


 ふむぅ…黙りおったのぢゃ。

 遥か昔から、色んな魔王を見て来た我としては、此奴は間違い無く『悪』なのぢゃ。

 目的の為なら手段を選ばぬ、ある意味で流と同じタイプぢゃの。

 確か少し前に、アトゥナが『姉やんの娘』と言っておったな。それに、アトゥナに姉が居るとも言っておった。


「リティナ、オルカス(パチッ)」


「チッ……何で化物が、あの子の名前知っとんのや(パチッ)。今何処におんねん」


「さてのぅ、何処かには居るぢゃろうが。やけに食い付きがいいのぢゃなぁ(パチッ)」


 死んだ姉の為に、何かをしようとしておる?

 若しくは姉の話が嘘?

 それとも他に理由があるのかや?


「化物に名前知られとるとか、あの子が可哀想やな(パチッ)」


 知られとると言うか、ジアストールでは、誰もが知っておる聖女なのぢゃがな。どうやらこの魔王、情報収集能力は皆無のようぢゃ。


「そんな所に置いたら、角ゲットぢゃぁ(パチッ)」


「あっ…まだ他んとこがあるからええねん!(パチッ)」


「ほれ。また角ゲットぢゃぁ(パチッ)」


「イカサマや! 絶対イカサマしとるやろ!(パチッ)」


 いやいや、お主が間抜けなだけなのぢゃ。

 此奴はあれぢゃな。考えんと突き進む、一番厄介な魔王なのぢゃ。

 我や流には脅威とならぬが、普通の者ならば正しく魔王。


「ふむふむ、どう見ても我の勝ちなのぢゃ。お主弱いのぅ(パチッ)」


「チッ、止めや止め止め。幾らやってもウチ勝たれへんやん、おもろないわぁー」


「我は面白いのぢゃ。お主が弱過ぎて、どうやれば勝てるのかを考えんで済むからのぅ。良い暇潰しなのぢゃぁ」


「ほんまっ、ええ性格しとるで化物……」


 さてと、そろそろ腹が減って来たのぢゃ。

 何か食おうかのぅ。


「魔王や、食事処へついて来るのぢゃ。お主と行動せねば、流に怒られるからのぅ」


「めんどくさいなぁ……今日は何の飯や」


「行って見てから決めるのぢゃ。城の飯は美味いのぢゃが、若干冷めておるからのぅ。飯は外で食うに限るのぢゃ」




 城から出て少し歩く。

 何か有れば直ぐ、首を引き千切れる様に、魔王ダラクの肩に乗り、進む方向を指示する。

 側から見たら、ただの肩車なのぢゃ。


「道が違うのぢゃ。あっちなのぢゃ(グギッ)」


「痛っ、首を捻んなやっ! ほんまタチの悪い化物やで。魔王たるこんダラクを、マッスルホース代わりかいな」


 マッスルホースより遅いのぢゃ。

 しかもこの魔王、方向音痴なのぢゃ。

 こうして、(ゴキッ)進む先を指示してやらねば、いつまで経っても食事処に着けぬのぢゃ。


「ウチや無かったら、首の骨折れとるで」


「流ならば道を間違えぬのぢゃ。ほれ、ここを右なのぢゃ(グギギッ)」


「力込めんなやっ! 口で説明せい口で!」


「先程口で説明したのに、逆方向に行こうとしたでは無いかや。ぢゃから、仕方無く(グギッ)こうして(ボリッ)指示しているのぢゃぁ」


「……楽しんでへんかおどれ?」


「楽しく無い訳が無いのぢゃぁ。いつも流の肩にミルンが乗っておるから、偶には我も楽しみたいのぢゃ(グリグリ)」


「ここいら一帯、溶かし尽くしたろか……」


「そんな事をしようモノなら、一瞬で首を引っこ抜くのぢゃ。今の我なら、このぷにぷにボディでも、それぐらい昼飯前なのぢゃ(ギリッ)」


 少し前、リシュエルとやりおうてから、結構力が戻ってきておるかなのぅ。全盛期と比べて、七割と言ったところなのぢゃ。


「頭締め付けんなやっ! 冗談や冗談っ、そないな事せえへんわ!」


「下手な冗談は、命を縮めるぞぇ。何もせぬなら危害は加えぬし、大人しくする事ぢゃな(グギギギッ)」


「こっ、コレは危害加えとんのんっ、ちゃうんかっ」


 こんなモノ、危害の内には入らぬのぢゃ。

 腕の一本二本、足の一本二本を斬り取っておる訳ぢゃ無いのだからのぅ。


「あそこぢゃな。良い匂いが漂って来ておるわ」


「ウチの喰うもんあらへんからなぁ」


 そう言えばこの魔王、人喰いぢゃったな。

 普通の飯の方が美味いと言うのに、何とも残念な魔王なのぢゃ。




 東の魔王ダラクのーご飯の食べ方!

 一、人種や獣族をスキルで溶かします!

 二、溶けたモノを器に入れます!

 三、一気に飲み干します!

 ※器が無ければ、ダイレクトで啜ります。

 ※普通の食事も食べれます。が、溶かして食べる為、お店から注意を受けて出禁になります。



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