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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界

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予想外の出来事




 魔王の玉を使った打ち上げ花火が、空を彩る訳が無い。

 ただの黒い爆炎だな。


「ふっ、汚い花火だぜ…」


「ふんっ!! (ゴッ)……本当に硬いのである」


「何で今、頭殴ったんだ村長? 身体は痛くなくてもだ、心は痛いんだぞ……」


「相変わらず意味の分からぬ魔法をっ、周りを良く見よ馬鹿者っ」


 周り? んーとっ、腰を抜かした奴等が多くて、砦の上部が余波で崩れかけてる?


「被害ゼロじゃん。問題無しだろ?」


「兵達が怯えてっ、国境の砦が崩れかけており、しかもあの中に、まだ兵が居るのだぞ……誰が助けに行くのだ?」


「それは村長に任せる! これは領主命令な。俺寝てなくて…ふあぁふっ、少し寝る!」


 マジな睡魔で苛々してるんだ。

 今横になったら、十秒で寝れる自信があるぞ。


「魔神様、お見事で御座いました」

「私の獲物……」


 んっ、村長の隣に居た人じゃん。


「えーっと……(なあ村長、この二人誰だ?)」

「流君が良く知る者だな。院長殿と同じと言えば、分かるであろう」


 院長……影さんっ? この人が?


「何してんのこんな所で?」


「魔神様。私の事は是非、アレスとお呼び下さい。この者はマロン、私の養女になります」


「アレス……名前あったんだな。んで養女……養女!?」


「マロンです…獲物奪った」

「こらマロン、魔神様に失礼だろ。アレを仕留め切れなかったのは、誰だ?」

「私です…御免なさい」


「あの魔王弱らせたの、この子なのか?」


「そうである。アレス殿が鍛えた様でな……中々良い動きであったぞ」


 村長が褒める程か…凄い子が居たもんだ。

 村長に影…アレスさんに、その弟子でもあり養女でもあるマロン。後はドゥシャさんが鍛えに鍛えた部隊が沢山……戦力過多だな。


「こんだけ揃ってれば帝国行けんじゃん。取り敢えず、俺が寝ている間に何か有ればよろ!」


「むっ、ミルン君達はどうしたのかね? 姿が見えぬ様だが」


「あーそれが有ったか……呼んでおかないと、後が怖いな」


「呼ぶ? 何処かに居るのかね」


 説明が面倒だ。

 さっさと呼んで、遊ばせとくかね。

 えっと、イメージイメージ……良しっ、『緑化魔法』でいらっしゃーい!!


 ボコッ──「ムゴムゴむー!?」

 ボコッ──「むちゅむちゅ……?」

 ボコッ──「ぷはっ、何だよ急にっ」

 ボコッ──「のぢゃっ!? トイレ中ぢゃ!」

 ボコッ──「なんやっ、臭そうて堪らんっ」


「良し! 完璧に……うん?何か人数多くね?」


 肉を片手に爆食いしてるミルンと、何か変なモノむちゅむちゅしてるミユン。状況を理解していないアトゥナに、M字で穴に挟まってる黒姫。あとは……リティナやアトゥナとよく似た姿の、鼻を押さえてる魔王ダラクと……うん。


「寝るか……」


「ミルンのお肉が無いの!」

「パパ! 夕飯時に呼ぶのは酷いの!」

「ここ何処……流のおっさんじゃん」

「引っ込んでしもうたのぢゃ!? 便秘は嫌なのぢゃ!」

「臭っ、化物の汚物臭やんっ!」


 一人余計なモノが来ちゃったけど、寝て起きてから考えよ。


「流君……これは一体……」


「流石魔神様。まさか強制転移を習得していたとは」

「穴からいっぱい出て来た……何で?」


 何でだろうねーマロン。

 アレか……黒姫の奴がずっとダラクを監視してて、緑化魔法の根っこに絡まったんだな。


「村長……後は宜しく……」


「待てっ、待ちたまえ流君!? 私に押し付けるなぁあああっ!!」


 空間収納からテントを取り出して、もそもそと中へ入って閉めてから、布団を取り出しお休みなさーい。

 

『流君っ! 開けたまえ流君っ!』

『ヘラクレス、魔神様には少し休んで貰え。我等の為に急いだのだろうし、睡眠を取られていないのでは無いか?』

『ぬぅ……あの者は誰なのか、聞きたいのだが』

『魔神様の下僕ですか?』


 一名を除き、家族だよぉぉぉ…すぅすぅ。


           ◇ ◇ ◇


「仕方あるまいっ。歩兵部隊っ! 砦の中に居る馬鹿どもを外に出せ! 補給部隊は夕食の準備を! 航空部隊は班を分け、交代で周囲の監視を行え! 機動部隊も同じく班を分け、航空部隊と連携して周囲を警戒! オーガガールズ! 砦内の兵を出す手伝いを頼む! かかれっ!」


「「「了解しました!!」」」

「ワカリマシター。ヒトリフタリ、モラッテイイデスカー?」


「……砦内の者で有れば構わぬが、殺してはならぬぞ」


「ハーイ。ミンナデマワスダケデ、コロサナイカラ、アンシンシテクダサーイ」


 うむっ……男としては死ぬ可能性があるな。


「村長ご飯!」

「まだ夕飯の途中なの!」

「分かっておる二人共。そうであるな……どうせならば、補給部隊の調理を手伝ってはくれぬか?」


「分かったの! いっぱい作ります!」

「摘み食いし放題なの。ミルンお姉ちゃんを見張ります!」


 助かるのである。

 ミルン君を見張ってないと、数千人分もの食料が食い尽くされそうで、恐ろしいのである。


「俺は何をすれば良い? 流のおっさん寝ちゃったし、暇なのもアレだし……」


「ならばアトゥナは、あの小屋に居るリティナ殿の手伝いを頼む」


「うぇぇぇ、あいつ居るのかよ……仕方無いかぁ。尻守っとこ……」


 尻を守る? 何かあったのだろうか。

 後は……此奴らか。


「のぢゃぁぁぁっ、出ぬのぢゃぁぁぁっ」

「やめぃ化物っ、穴が狭くてでれへんしっ、臭そぅて堪らんっ」


 未だ穴の中ですっぽり嵌り、何をしているのか見て分かるが……流石魔龍であるな。周りを気にせず大勢に囲まれた状態で、脱糞中とは。


「そこの筋肉はんっ! 早よウチを引き抜いてくれへんか! この化物から離れたいねんよ!」

「ヘラクレスっ、此奴は魔王なのぢゃ! 絶対に手を貸すでないぞ! ふんっっっ、出るのぢゃぁぁぁっ!」

「何でウチのスキルより臭いねんこん化物っ!」


 うむ……此奴らは放置して良いな。

 黒姫殿ならば、魔王を抑えるのなぞ簡単であろうて。


「……確かに臭いのであるっ!?」




 黒姫=魔龍=低羞恥心

 魔龍の糞尿>腐スキル

 最近の文章構成と、一章の構成を比べてみたら……

 多少は良くなってるの?

 分からぬ……

 次回からは! 呼び出される前の、和土国残留組のお話。少しだけだけどね。

 

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