大きな玉を潰しましょう
苛々全開豪炎ブッパで、開幕速攻潰してやるわっ、ふははははははっ!!
そう思い放った豪炎。
周囲の部隊に被害は出ておらず、良い感じに魔王を炙っている。
『いばぁあああああああああ──っ!?』
見ていて楽しいモノじゃないけどね。
火を消す為に暴れているが、ダイレクト豪炎なだけあって中々消えず、どちらかと言うと、動き回るたびに火が強くなってるよね。
『っっっ、ガァアアアッ!!』──ブシュッ!
「成程……血は水か。良くそんなので火を消せるもんだ」
全身から血を噴き出すって、この魔王……どんなスキル持ってるんだ?
さっき俺の頭を掴んで、何かしようとしてたけども、不発だった様だしな。
「ぐうぅぅぅっ、熱いじゃないのよっ。お陰様で少し冷静になれたわぁ」
「全裸で冷静になるなよな。前ぐらい隠せよ気持ち悪い……おっさんそれ犯罪だぞ」
「お前がやったやったんだろがぁあああっ!! 糞糞糞っ、あの餓鬼と言いお前と言いっ、私の邪魔ばかりしやがってぇえええっ!!」
あの餓鬼? 何で餓鬼?
誰か他に居るのか……こいつ青髭濃いなぁ。
うむぅ、この魔王にどう対処するか。
豪炎なら撃ちまくれるけど、周りに被害出したら洒落にならんし、下手に違う魔法撃つと…ミルン砲発射! 国境が消えました!
「ってなったら……やばもんなぁ。魔王レベルの相手だから、緑化魔法でセーフアースに行ってらっしゃい出来んし……」
「何ごちゃごちゃ言ってるのよ──っ!」
肉弾戦? 顔面狙いの一発だな。
何かスローモーション見てる様で、気持ち悪いぐらい遅い。
「これ『きぃっ!』なら『糞っ!』避け『何で!』れる『当たらないのよ!』なぁ」
目、鼻、腹、腕と、次々に拳や蹴りを放ってくんだけど……やっぱり遅い。
遅いんだけど……これは膠着状態だな。
「がはっ、はぁ、はぁ、避けてばっかりで攻撃して来ないのねぇっ。馬鹿にしくさって……」
違うぞ青髭のおっさん。俺の力のステ低いから、殴っても意味無いんだ。なんて言える訳無いっての。
魔法を撃ちまくれば、間違い無く灰に出来るんだろうけど、この場所も消えちゃうだろうし、どうしたもんか。
『──流君っ!』
『魔神様!』
おっ、村長走って来てるじゃん。
これなら、無駄に魔法発動しなくても、筋肉村長に──『っ舐めんじゃ無いわよぉおおおっ!』──うおっ!? 速くなったぞ青髭っ!
ゴスッ──「入った! 痛っ!?」
うんうん、良いパンチが腹に当たったな。でもね、何で青髭が痛がってんだって話だよ。
「防ステ仕事してるなぁ、有難い……」
「ぐぅぅぅっ、再生しないじゃないのよ!!」
「再生? だから火傷も消えたのか。羨ましいスキル持ってんねぇ、北の魔王は」
再生すんのに条件が有るみたいだな。結構弱ってたし、村長が先にボコってた?
『歩兵部隊! 機動部隊は奴を囲め! 近付くと何が有るか分からぬ! 距離を取って牽制するだけで良い!』
おぉー村長ちゃんと指揮してんじゃん。
脳筋だから無理かと思ってたわ……メンゴ!
「近付くと危ない…再生…なーんか、昔見たアニメの再放送で、そんな敵居たなぁ」
「糞糞糞糞糞っ! 私の実験をじゃましくさって、邪魔なのよ貴方達っ!」
「邪魔なのはそっちだろ青髭全裸。ってか、何で魔王がここに居んだよ。お前アレか? 戦仕掛けて来た張本人か?」
「不細工は嫌なのにっ、踏み潰してやるわ……」
────ピキッピキップチュプチュ────
「……テンプレ守る魔王だなぁ、全裸でデカくなるなよ。アレがぶらぶらしてんじゃん」
『総員距離を取れぇえええっ!』
『ヘラクレス!魔法使いと羽人で攻撃させろ!』
『分かっておるっ、魔法小隊! 航空部隊! あの化物を撃てぇえええっ!』
────プチュプチュチチチチチッ────
どこまでデカくなるんだよ、砦の高さ超えたんですけどこの青髭。
魔法やら矢やらが当たってるけど、効いた感じしてないな。
『フゥゥゥゥゥゥッ……ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアア────ッ!!』
うるせぇえええっ、耳痛いなこのっ、馬鹿な声量披露ってか?
「村長!! 航空部隊退避しろー!!」
『流君何をするっ、航空部隊退避ぃいいいっ! 急げぇええええええっ!!』
さっすが村長、分かってるぅ♪
ここまでデカくなるなんて、この魔王は頭が悪いんじゃないか。
『ジネェエエエッ! ジアズドールノマオオオオオオオオオオウッ!!』
足上げるなよ玉が見えてるぞ…汚いデカ玉。
踏み潰す気かぁ。馬鹿だねぇ、前より動き遅いじゃん。
「へんーしんっ! 『全力威圧っ!』」
角がニョキっと服が鎧に早変わり♪
虹色お目々で全裸を見るよ♪
『ガァッ!? アッ……アアアアアアアッ!!』
恐怖で固まる青髭さんに♪
『デヅヤァアアアアアアアアアアアアッ!!』
とある魔法をプレゼント♪
デカくなった分射角が取れるからね。
確か黒姫の魔法って、黒い火だったよな。
手に黒い火が灯る事をイメージして、狙うはあの、ぶら下がり万歳のデカ玉。
ミルンなら、喜び勇んで潰す玉……あっ、また違うイメージしちゃった。
まぁ良いか、ほいっと発動!!
手の平に黒い火が灯る。
その灯った黒い火を、今まさに俺を踏まんとしている青髭に向けると──黒き炎を身に纏うミルンが──発射された。
狙うは巨大な玉。
足を上げて無防備にぶら下がる、巨大で汚い黄金の……玉。
『ヴェッ、イバァアアアアアア────ッ!?』
青髭は気付いた様だな。
巨大な手で、自らの玉を護りやがった。
だが……甘い。甘過ぎる。
『ぬぅうううううううううううん(ドンッッッ)』
『アッッッアアアアアアアアアアアッ!?』
ミルンはね、手ごと玉を潰すんだ。本気で玉への執念が凄い。
しかもそれは魔法……打ち上がるぞ。
『ぬぅうううううう────ん(ドゴゴゴッ)』
『いばあああぁぁぁぁぁぁ────────』
玉デカい、汚い漢が、空行くよ。
パンと弾けて、汚い花火。
黒いミルンが光り輝き────轟音と共に青髭魔王を爆散させた。
「たーまや──ってか?」
玉だけに!
親父ギャグか……歳食ったなぁ…俺。
哀れ…北の魔王……
でもまだ朕朕野郎が残ってるんです。
玉の次は朕……




