魔王さんいらっしゃーい.3
『けしかけるなんて怖いなぁ。でも、そこの化物が動いた瞬間、ウチもスキルを使うでぇ。流石にこの陣の周りの兵までは、守れんやろぉ』
「ダラク! 私との約定を忘れたのですか!」
『忘れとらんよ傘音技はん。ウチかてこないな事しとー無いねんよ? アトゥナを連れて帰りたいねんけど、邪魔が居るさかいなぁ、仕方ないねん』
「ずずっ、やっぱり緑茶旨いなぁ……別に俺は邪魔してないぞダラク。アトゥナの意思を尊重してるだけであって、いつかアトゥナが帰りたいって言ったら、普通に送り出すぞ?」
『黙りゃぁ兄さん。おんしは他国の人間やろぉが、この地の人や獣共のした事よう知らんやろぉ……ええからアトゥナよこしーや、その方がそん娘の幸せやでぇ』
そういやあの村の村長が言ってたな。
魔王が一夜で国滅ぼしたって言う……ダラクの姉が滅ぼした? それともダラク自身が滅ぼしたのか?
「何が幸せかを決めるのは本人だぞ。幸せの押し付けをすんなよな」
『……死にたいんか兄さん?』
「死にたくは無いな。俺の寿命どうなってるのか分からんけど」
ピンポンパンポーン(上がり調)
レベルが1上がりました(無いですよぉ草!)
ピンポンパンポーん(下がり調)
「…………おいリシュエルっ!! 今のどう言う事か説明しやがれっ! 何が草!? あの糞御使っっっ」
「お父さん、またあいつなの?」
「パパに干渉するストーカーなの!」
『なんや急に怒りはって。魔王を前にしてその態度、ほんま怖いわぁ……まぁええ、取り敢えず死になはれやっ』
「ミルンっミユンっ、離れてろ!!」
魔王の一撃はどんなものか。
現在の俺のステータスはこんな感じ。
STA 15 INT 200
VIT 455 AGI 900
DEX 830
(村人男性平均100とした値)
村人の平均が100って、何基準かは全く分からないけど、速力と防御特化の走る砲弾だな。さてさて、この防御力で何処まで魔王の攻撃を防げるのか。
ダラクが机を飛び越えて──俺の顔面を掴み、そのまま地面に叩きつけた。
地面が陥没して、頭がそのままめり込み、普通の人間ならばプチっと潰れた真っ赤な果実になるだろう。
『潰れて真っ赤な花になりーやぁあああっ!!』
────ドドドドドドドドドッ────
顔面、鳩尾、腕、目、膝、喉、顔面、顔面、顔面、顔面と、ドン引きする程の笑顔のまま、ダラクは殴り続けて来る。
血が飛び散り、辺りに花を咲かせるが、それは俺の血では無く──『ぐぅっなんやこいつっ』ダラクの拳が裂けて噴き出す血だ。
「ミルン以下の攻撃なの、魔王弱い?」
「ミルンお姉ちゃん魔法仕込んでたの、ズルしてるの」
『あん餓鬼ぃっ、何で獣族が魔法使えるんや、聞いた事ないわぁっ。なら──腐りや兄さんっ』
殴りながら手に何かを纏ったな。
腐らせるスキルか魔法……流石に殴られ続けたら、俺ゾンビになっちゃうかも。
『──っ、腐らせた後に、肉片残さず喰ろぉたるからなぁあああっ!!』
────ドドドドドドドドドッ────
うんうん、何か腐らないなぁ。
殴られても痛く無いし、腐る事も無い。
何で?
「世界樹の守護者が腐る訳ないの、魔王はお馬鹿なの」
「お父さんの弱点は脛なの! 脛以外は意味無いの!」
へぇ……守護者にバフでも付いてんのかね。
あとミルンさんや、脛は誰でも痛いからね。俺だけの弱点じゃ無いぞ。
『かはっ、はぁはぁはぁ……何で腐り果てへんねんなぁ。兄さんも化物やったんか?』
俺にマウント状態で、何でそっちが息切れしてんだよ。
あとさっきからマウント状態で俺に跨ってるけど、その位置に跨られると……何とも言えない気持ちになります。
『なっ!? こん変態がぁあああ──!!』
────ドドドドドドドドドッ────
「うわぁ……血がどばどば出てんじゃん、痛く無いのかよ」
『痛いわっ、ふぅはぁふぅ、何でっ、どないなっとるねんその体っ』
そりゃぁ俺の防ステ高いからね。
殴られた感じダラクは、ミルンより力が弱く感じたぞ。
「何だかなぁ、リティナやアトゥナと同じ顔を殴んの、嫌なんだよなぁ。しかも、大人バージョンなのに……無いからなぁ」
『今どこみて言うた兄さん? ふぅ……しゃあないな。兄さん痛め付けて、アトゥナを連れて行こう思うたけどしゃあない。付近一帯を溶かし尽くして、言う事聞いて貰うしかないなぁ』
そうなるよなぁ……でもさダラク、今お前、俺の上に跨ったままなんだぜ? 若干色々見えてるし、リティナと同じで羞恥心無いのかお前は?
「俺がお前を逃すと思ってるの?」
『何言うとるん兄さん。さっきから殴られてばっかりで、反撃してけえへんやん。兄さんは、攻撃手段がないのとちゃうの?』
そんな事はないぞ?
魔王の力が知りたかっただけで、反撃ならいつでも可能でしたから! 今から要望に応えて、ガチの能力比べを始めますよ!
「頼むから、人に跨ったまま漏らすなよ?」
『なに冗談言うてるん、兄さん余裕やなぁ、惚れてまうで?』
へいへい、魔王はお断りします。
マジで加減無しでやるからな……狂ってもしらんぞ?
────『ほい全力威圧っ!!』────
やっぱり全力出すと、鎧姿になるんだなぁ。
角もどんどん尖ってきてるし、普通に刺さるぞこの角。
『────っかはっ!? なんやっそれは、あそこに居る化物より化物やねぇっっっ、動かれへんっ!?』
精神破壊を耐えたのか、流石魔王様だ。
黒姫より化物ってのは失礼だけど、否定が出来ないってのは悲しいなぁ。
幸いダラクは動けない様だし、今なら色々と攻める事が可能です!!
「中々効くだろ俺の威圧。精神破壊込み込みのぶっ飛び性能だから、耐える事は出来ても、そこそこダメージが有るみたいだな」
『威圧でこないな事っ、でけへんわぁっ』
頑張って動こうとしてるけど、残念。
「殴られた分は返さないとなぁ……ミルンとミユンは黒姫と話してるし、跨ったままだから分からんだろうなぁ」
『にっにに兄さんは節操無しかぁ!? ウチに何をする気やっ……まさかっ正気か兄さん!?』
正気も正気!
御手手わきわき!
その無い無いを少しでも大きくしてやんよ!
魔神の力、とくと味わうが良い!!




