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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界
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荒地緑化計画.2



 草を刈り刈り……「空間収納!」

 草を刈り刈り……「空間収納!」

 草を刈り刈り……「空間収納!」

 何だろう……草刈機になった気分だ。

 ここ数日の間、緑化魔法で生い茂った雑草達を刈り刈りしてるんだけど、体力は大丈夫だがメンタルがやばい。

 交易路を作っていた時よりかは遥かにマシだけど、ジアストールと違ってサボれないんだ。

 だって後ろで、ミユン大先生が目を光らせてるからね。


「さっさと土を掘るの、ミユンの膝までの高さなの。そこっ! ぼさっとしてないで土を耕すの! 並行して進めないと、季節が変わったら実らないの!」

「「「へいっ! 姐御っ!」」」


 うん、お前らカタギじゃ無いよね。

 ミユンも何か、お着物が濃い緑に毒々しい花の柄で、結構派手になってるよ。


「パパっ! 早く作業を終わらせるの!」

「……りょーかいっ、空間収納!」


 今逆らったら埋められそうな雰囲気だ。

 はぁ……、夜に城下を散策しようとしたら、ミルンに見つかって行けなかったし、風呂に入ってたら傘音技が突入して来て、ミユンと睨めっこしてたし……おっさんでも溜まるんだぞ。


「今日はこんなもんか……次は水路を引かにゃならんな」


 因みにミルンとアトゥナは、影さん護衛の下でお琴を習っている最中だ。あの宴の席で俺が感動していたのを見て、自分もやってみようと思ったらしい。

 黒姫は……酒屋で呑んだくれている……アイツだけ遊んでるんだよなぁ。


「帰ったら……影さん達の中に放り込むからな」


 兎にも角にも水路だ水路、確か川が向こうにあるんだよな……『知覚』っと、結構遠いぞ。今有る畑から拡張するか? いや、何か起きた時のために分けとくか。

 どうせなら現代風に、人口川作りだな。

 近くに川を通しておけば、水に困ることも無いだろ。

 

「おーいミユーンさんやーい! ちょっと川の方へ行って来るぞー! 『了解なのー!』うしっ、ちょっと釣りでもして、リフレッシュしますかね」


 空間収納で雑草を刈りながら、川へと向かいます。リフレッシュタイムが待っているからな、さっき迄苦に感じていた草刈りも、なんだか楽しく思えてくるぞ。


「けど……草で先が見えないんだよなぁ。知覚有るから迷わないけど、こんな場所で奇襲受けたら普通に終わりだな……見張りかなんか知らんけど、出て来ないと死んじゃうぞー?」


  ────ガサッガサガサッ────


「やはり通じませんか……一体どの様な術なのか、興味が御座いますね」


 影さんにアイアンクローされてた黒子さんか、何の様なのかね。


「それは秘密だな、バレて弱点知られたら終わるし。それで、今日は何の様だ?」


「……ただの休暇で御座います」


「こそこそと、俺の後を付いて来るのが休暇か」


「左様で御座います。私は釣りが趣味なので、ご一緒しようかと思いまして」


 俺の独り言をバッチリ聞いてんじゃん。

 知覚をデフォにしておくか? 気を張るから地味に疲れるし、作業中だけにしておくか。


            ◇ ◇ ◇


 のんびりと草刈りしながら歩いて、大体一時間程の距離にある、見た感じ一級河川並みの大きな川で、何故か黒子と釣りをしています。

 大きな岩の上に二人で座り、なんだろう……デートかな? 違うよね? だって黒子なんだぜ、顔も知らねぇよ。


「……中々釣れないものですね」

「そういうものだろ。こういう時にムグムグ…干し芋食べて、茶を啜って…ずずっ、のんびりするのも悪く無いしな」

「……私にはないのですか?」

「釣り道具以外何も無いのかよ、ほれっ」


 和土国産の干し芋は中々美味い。

 土壌汚染が無いところを上手く利用して、米、芋、葉野菜や、竹林から筍、小さな森では椎茸を栽培しており、町中では味噌蔵、醤油蔵と調味料も素晴らしい。

 少し行けば岩塩が取れるみたいだから、もしかしたら、貴重な資源の奪い合いで、戦が起きているのかも知れないな。

 

「……やはり味が落ちていますね。小さい頃は、もっと甘かった」

「これでも十分甘いけど、ムグっ、土地の栄養が足りなくなってんだろな」


 作物によっては、土を数年休ませないと酷い事になるけど、国土が小さいと休ませられないだろうな。だからこそ、傘音技の親父さんは農業に力を入れたかったんだろうけど、戦が続いていたらそれも難しいか。


「不毛な戦なんて、さっさと止めればいいのに」

「まお…流様がそれを仰られますか……」


「何か勘違いしてないか? 俺はやられたらやり返す派だけど、死ね死ねヒャッハーッ! みたいな戦闘狂じゃ無いぞ。そっとしておけば、無害なただの人……人?」

「何故そこで首を傾げるのですか」


「人……なぁ、魚食い付いてるぞ」

「話をっ、ふっ──(パシャァッ)一匹目ですね」

「良いな、鮎っぽい魚か……塩焼きだな」

「これは私の魚ですので、ご自身でお釣り下さい」


 ケチな黒子だ……仕方無い、釣りに集中しますかねっ! 大量ゲットしてやるぜ!





「流様……もう帰りませんと……」

「まだだっ! まだ一匹もっっっ、あと少し! あと少し待ってくれっ!!」





 釣りに夢中になり過ぎて、水路作りを忘れていました……ミユンにしこたま怒られたよ。



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