宴会珍会歓迎会.2
さて、皆様に聞きたい。
現代人にとっての拷問とは何かと。
それは遥か昔から淡々と、粛々と、自らの、又は国の為と行われて来た非道な行為。
『いっいっいっっっやめっあああああっ』
俺も少し前に、面白合体マシンを使って、とある二人を地獄へ落としたが、あんなモンは只の玩具だ。
◯◯◯に◯◯◯したり、◯を◯◯したりと、多少の事では死ぬ事が無い所を執拗に責め、ある国では、未だ平然と行われていると思われる。
動物を使ったり、器具を拵えたり、素手だったり、自然の物を使ったりと、中々にエグい内容だ。
『おおおおおっ、堪っ、許ってぇええええっ』
では、今話した内容を踏まえたうえで、現代人にとっての拷問とは何か。
終わらぬ仕事、減らない残業、上司のパワハラ、部下の逆パワハラ、セクハラ、モラハラ、少ない給料、地獄の飲み会、無駄な接待、家族と不仲、客のモンクレ、色々……そう、色々有るだろう。
『っ────あああっ────ぬぎぃいいいっ』
人に疲れ、仕事に疲れ、不安に押し潰され、不眠となり、心が病むなんて事はざらにある。
そんな時に、『マッサージ』と書かれた看板を見かけたら、是非入って欲しい。
何のマッサージかって?
『じぬぅうううううううううっ、ああああっ』
現代人にとっての拷問が味わえるマッサージだ。
「お客さぁあああんっ!(ぐりぐりっ)相当疲れ溜まってますねぇえええっ!(ぐりぐりっ)」
小々波流出張足ツボマッサージです。
抜けた俺の角を使ってるから、衛生的で安心安全、素人でも、力が無くても大丈夫!
「次ミルン! 次ミルンが押す!」
「ミルンお姉ちゃんが押したら、足の骨がさようならなの……」
傘音技の足を掬い上げ、逆馬乗りのまま足を固定して履物を取り、すかさず足裏をぐりぐりっとしました。
逃げ出そうとしたけど、そこは黒姫が居るからね。頭を押さえ付けて貰って、楽しく楽しく足裏ぐりぐりだ。
「愚かじゃの小娘、我が逃すと思うたか」
「ゆるっ許してっ! 守護者様っっっあ……漏れそう……厠っ、ああああああああっ!?」
良しっ、これだけ大勢の部下に醜態晒したんだ、許してやらんっ!
「老廃物溜まってるのかなぁあああっ(ゴリッ)」
「あっ────────」
「お着物の人達帰ったモゴモゴ、つまらモゴモゴないの」
「もちゅもちゅ、美味しいご飯はいっぱい有るの、これで我慢もちゅもちゅ、するの」
だよなぁ、芸者さん達帰っちゃったよ。
まだ色々と見たかったのになぁ。
「まったく……器が小さいお姫様だ」
「…………(キッ)」
俺の隣で睨んで来るよ、おー怖っ。
「自業自得だろうに、薬なんて盛るのが悪い」
「まったくぢゃ……もし流が理性を失えば、この国が消える可能性も有ると言うのに」
そうなのか? あぁ──確かに、理性飛んだまま魔法使ったら、また隕石落としそうだな。
「…………(キッ)」
「そんな睨むなよ……ほら、美味しい魚をあーんと『……あ』むぐっ、旨いっ!」
「ぁ…………(ギリッ)」
歯軋りの音初めて聞いたなぁ、額に血管浮き出てるし、美女が台無しだぞ。
何だろなぁ、この世界では美女は変な奴しか居ないのかよ……ルシィやらシャルネやら羽根乳姉ちゃんやら桃色お化けやらと、キワ者ばっかりじゃん。
唯一まともに見えるのがドゥシャさんって、彼女もどこかズレてるんだよなぁ。
有る意味人身御供だし……早く離れて、自分の好きな人と結婚すりゃぁ良いのに。
「まっ、今は酒が美味いから気にしないっと、んぐ……くぅぅぅっ、最高だ」
「お父さん、それ美味しい?」
「ミユンにも下さいな!」
「これこれ二人共、お酒はまだ駄目なのぢゃ、甘酒で我慢するのぢゃっぷはぁ……」
黒姫お前……そのぷにっと姿で言っても説得力無いからな。
なんで小さくなってんだよ。
「……悪かったわ」
何だ? 何か言ったか今?
「何が悪かったんだ? お漏らしがか?」
「違──っ、我が国の兵士が、愚かな行動をした事についてよ。まさか国章すら無視する兵が居ただなんて……そこの女の子にも、悪い事をしたわ」
「えっ、わひゃし…んぐっ、別に気にして無いけど」
ふむふむ、先ずは誤りに来たか。
でも何で、あんな事したんだ……黒姫居なかったら、そのまま連れ帰って夜のお供に! だったぞ。
「何で薬盛ったんだ、普通に謝れば良いだろうに」
「……あわよくば、精霊様とこの地に残って貰おうと思って……契りを結んで逃げられない様にしようかと……」
怖っ!? 普通に怖いわ!!
じゃあ何か、俺と子作り(首輪)してこの地に縛りつける為にあんな事をっ、只の馬鹿じゃんこの姫様!?
「ミユンはここ嫌いなの! そんな事してもパパは普通に逃げ出すし、婚約者も居るから戦争になるの!」
「ドゥシャが乗り込んで来るの! ついでにシャルネも付いて来るの! 和土国なら三日あれば、二人でも滅ぼせます」
ミルンとミユンが的確過ぎて凄い。
あの二人なら、ここの兵万単位で相対しても勝つだろうなぁ。
「あの会議に居たメイドですか……二人揃えば魔王級ですのね、理解しましたわ」
「理解すんのかよ。それで、色々あってまだ、俺達をこの国に招待した理由を聞いてないんだけど……帰っても良いのか?」
「っ、駄目です!」
食い気味に来るぁ……顔近いし胸が当たって幸せいっぱい夢いっぱい、そしてミルンが顔近いっ!?
「お父さん……離れなさい」
「はい……御免なさい」
「パパはミルンお姉ちゃんの圧に弱いの」
「どっちもどっちだろ……ご飯美味いなぁ」
「アトゥナも慣れてきたのぅ、もう少しで気にならなくなるのぢゃ」