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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界
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賠償金をふんだくろう.2




 周りを見ると、槍を構えながら兵達が睨んで来るんだけど……先頭を歩いている黒子が怖いのか、誰も何も言って来ない。

 取り敢えずは、何でこんな事になったのかを説明した。本当に、本当に今回は、ただの被害者だからね。


「ふむ、左様で御座いましたか……その門番は、斬首後に晒し首と致しましょう。姫様も、何故こうなったのかを不安がられておりました故」


「お首ちょんぱ?」

「身体は下さいな! 肥料にします!」

「怖いっ! この御嬢様二人共怖いぞ流のおっさん! 礼儀作法教えてこれかよ!?」


 今は領内じゃ無いし、なんなら攻撃された側だから、俺は気にしないぞ?


「打首って言うなら、俺らに向かって来た奴等全員そうだよな? まさか一人だけで終わらせる気か?」

「流がまた変な事を考えてるのぢゃ……和土国は大変ぢゃぞ」


 黒姫さんお黙りなさい、今から楽しい交渉事なんだから。


「本当に恐ろしいですね西の魔王は……何をお望みで?」


 何かなぁ……米の苗は山程欲しいし、味噌も醤油も欲しい……着物も汚れたから欲しいし、沢山貰おうか。


「今回の詫びとして……その気持ちが欲しいな」

「っ、成程、お気持ちですか……」


 そう、気持ちだ。

 こちとら来て来てと懇願されて来たにも関わらず、貰ったブローチ役に立たなかったし、初っ端から牢屋行きだからね。

 以前の俺なら、全裸で叫びながら城中を走破しているぞ。

 だからこその気持ちが欲しい。

 これは、俺達がどれ程重要視されているのかの秤であり、提供される物によっては、二度とこの地に来る事は無い。

 寧ろ、目出たく敵国として認定だな。


「お父さん楽しそう、悪いお顔してる」

「パパは領主より商人向きなの、しかも悪い商人なの」

「ぬははは、そちも悪よのぅってか? 俺は善人では無いが、悪人でも無いぞ? 普通の人……じゃ無いのか?」

「人では無いの、魔神様なのぢゃ」


 そうだったなぁ、人辞めてるんだった。


「魔神……魔王では無く?」

「気にしなくて良いぞ、似た様なもんだ」

「お父さんは魔王より上!」

「世界樹を護る魔神なの!」


「魔王より……上っ……」


 黒子さんドン引きじゃん、せっかく誤魔化そうとしたのに、ミルンとミユンには腹芸は無理だなぁ。





 おっ、ようやく到着か……?

 黒子さんが足を止めたんだけど、本丸に有る立派なお城はあそこだよ? 何で端の小屋なんかに……隠し通路?


「本丸の出入口をお見せする訳にはまいりませんので、此方から行きます」

「へぇ、本丸の門に何か仕掛けとか有るのかね、楽しみにしてたのに」

「貴方様の危険度が増しました故、そこはご了承頂きたい」

「俺別に、魔王より強いって訳じゃ無いんだけどなぁ……」


 近接特化型の魔王が居るのなら、即逃げる自信がある。だって殴り合い何て無理ですから、力のステ貧弱ですからね。


 小屋の中に入って直ぐ、床に設置された扉を開けて中に入って行った。

 何と言うか、いつ崩れてもおかしく無いと言うか、これ絶対罠あり通路ですよね。


「決まったら石を抜いたら、崩落する仕組みか」

「魔神様は良くご存知で、左様で御座います。何処の石とは申せませんが、一つでも抜けば崩落致します」


「だそうだから……ミルン! 触らない!」

「っ、バレたの!? 御免なさいお父さん!」

「パパ魔神化解いてないの、常時知覚を使ってるの……なんで?」


 そりゃあ警戒してるからね。

 黒子って、歌舞伎とかの裏方ってイメージなんだけど、前を歩いている黒子はどう見ても違うだろ。

 雰囲気が、院長影さんに似てるんだよなぁ。

 ガチ目にヤバい奴って事。


「流、案ずるでないのぢゃ。万が一にも其奴がおかしな真似をすれば、我が一瞬で塵に変えてやれる程度の者なのぢゃ。あの影とは比較するのも馬鹿らしいの」

「と言う事は、やっぱり院長影さん強いのか?」

「そうぢゃの……シャルネが五人居ると想像するのぢゃ」


 あのシャルネが五人……怖っ!?


「ただの恐怖映像じゃんっ、怖すぎるわ!」

「シャルネ五人はミルンには無理!」

「一人ならタコ殴りなの!」

「シャルネって……誰なんだ?」


 俺には一人でも無理です。

 もうあんな死にそうな思いは嫌だ。

 アトゥナは会った事無いだろうけど、アレに関わると碌でも無い事が起こるぞ。


「到着致しました、この上で姫様がお待ちです……先の門番の非礼、兵達の非礼、姫様に先んじて、お詫び申し上げます。何卒、その御力を姫様に御向けなりませぬ様、伏して、お願い申し上げます」


 おいおい、こんな薄汚れた場所で土下座って、黒い衣装が汚れ……は目立たないか。


「分かったよ……それなら、さっき伝えた気持ちってので許してやるさ」

「それが一番厄介なの!」

「流石パパ、腹黒い」


「……感謝申し上げます(コンコンッコンッ)」


    ────ガコッギィィィッ────


「それでは皆様、どうぞお上がり下さい」



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