賠償金をふんだくろう.1
二の丸に突入しました。
約二百の兵達を再起不能にしました。
乙女量産完了! 以上!
「お父さんが暇そうにしてるの……」
「きっと詰まらないの、掘りを眺めてぼーってしてる……パパがお爺ちゃんに見えるの」
はいはいお爺ちゃんですよー、だって暇なんだもん。
兵達はやたら来るけど、ミルンとミユンが全部潰すからさ……俺は掘りに流れる水を見ながら、ぼーってしてるんだ。
「本丸までまだ距離あるし、ちょくちょくメンタルリセットせにゃ、傘音技に遭ったら何するか分からないぞ」
「我は暇でも構わぬのぢゃ。随分前には、軽く五十年はぼーっとしてた時もあるしの」
人なら寝て終わる人生だな……そのまま永眠しそうで嫌だぞ。
「だから黒姫はボケてるのか……残念だな」
「我はボケて居らぬのぢゃ! ちょっとだけ昔の事を思い出せぬだけなのぢゃ!」
それはどれ程昔の記憶なんだ? まさかこの星が産まれた時だなんて言うなよ。
「なぁ流のおっさん、また来たぞ」
「愚かなり……和土国兵なの!」
「ミルンお姉ちゃん楽しそう…」
相当ファンガーデンでストレス溜まったんだろうな……動きは凄く良いけど、礼儀作法何処行ったんだろ。
「叩いて埋めるのっ────」
「埋めるのはミユンの楽…お仕事っ────」
行ったなぁ……尻凹ませて地面に埋めてる。
「やり方が怖ぇ…御嬢様じゃなくて戦闘民族じゃん…」
間違って無いぞアトゥナ、ミルンは可愛いケモ娘だからな。出逢った時なんて……豚野郎の睾丸を生食してたし。
「流れが遠い目をしておるのぢゃ……」
「仕方無いだろ黒姫。豚野郎の睾丸を生食してた時と比べたら、随分とお淑やかになったんだからさ……アレでもな」
「アレっていってるじゃん、何だよ睾丸生食って……それもう野生のナニかだ」
まだ本丸からうじゃうじゃ来るなぁ、ミルンとミユンも、流石に手一杯になって来たか。
「うしっ、俺らも参戦しようか。俺は適当に全力ダッシュして、アイツらを馬鹿にするから、黒姫はアトゥナを護りつつ焼き加減半生でよろ」
「分かったのぢゃ、彼奴らの頭を半生焼きにして、禿げを量産してやるのぢゃ」
「なんだよ焼き加減半生って……黒姫さん魔法使えるのか?」
魔法なのかアレ……違うな、あれはブレスか下呂かどっちかだろ。口から出してるし。
「それじゃぁ……久々の全力ダッシュだっ!」
右足で踏み込んで──前にっ!
ドンッて音出たけど──やっぱ早いなぁあああっ、『何か来るぞっ!』、『此奴らの親玉かっ』何て言ってるけどっ「ふっ!!」遅いっ!!
勢いそのままに、かつて黒姫に喰らわせた膝蹴りだよっ『ぶぎっ!?』と、一人撃破っ!
「お父さん!? 邪魔しちゃ駄目なの!」
「楽しみを奪わないで下さいっ!」
ムキになってるなぁ、怪我もしてないし、余計な事だったか? いや……汗が尋常じゃ無いな。
「二人共、お顔汗だくだし、お着物もびちゃびちゃだろ。黒姫も来るから、少しだけ休みなさいな」
「むぅぅぅっ、お水飲んだら直ぐやるの!」
「水分補給は大切なの!」
『休ませるかぁあああっ』──あぁ、隙を見せた二人からってかっ、馬鹿だなぁ。
────『威圧』────
「なっなんだっ!? 身体がっひぃっ!?」
「がぁあぁあぁあぁっ! 止めろっ、まとわりつくなぁあああっ!?」
はっはっはっ、休憩中の二人に手を出した奴には、漏れ無く精神破壊をプレゼントだ!
「何がっ、角!? 此奴っっっ、さっき迄とは別人だぞ! 陣を組めっ!」
「「「応っ!!」」」
「久々の魔神化流さんです! この二人は休憩中だから、手を出したらヤッちゃうぞ(ニタァ)」
「「「…………っ」」」
無言になっちゃったな、威圧そこそこ放ってるのに、気絶はしないのか……メンタルだけは強い兵なんだな。
「ほれ流、そこを退くのぢゃ──ふっ──っ」
「黒姫遅い────危っ!?」
何か小さな火が向かって来たから避けたけどさ、黒姫さんや、それはレアじゃ無くてミディアムに成る威力では?
「くっ、その様な小さな火など──」
「馬鹿な兵なのぢゃ、頭を燃やされよ(円炎)」
────ヒュボッ────
うわぁ……兵達を火が呑み込んだぞ。
中から『ぎぃやぁあああっ』だの、『我らの誇りがぁあああっ』だのと、正に阿鼻叫喚だな。
「黒姫さんや、あの中の奴等死んで無いよな?」
「当たり前なのぢゃ、しっかり全身の毛だけを焼く様調整したのぢゃ。お肌つるつる頭もつるつるに成るのぢゃ!」
結構毛深い男衆だったけど……大丈夫か?
全身脱毛って、結構痛いって聞いた事あるけど、あの中……考えちゃ駄目だな、どうせ直ぐ分かる。
そう思ってたら火が消えた。
ほら、絵面がヤバすぎるだろ。
「つるつるなの……禿げ一杯!」
「眩しいのっ、埋めて光を抑えるの!」
二人共、中々どストレートな意見だ。
「我ら……我らの誇りがっ」
「殺せっ! いっそ殺せぇえええっ!」
「おっかざぁあああんっ」
そういやマゲゆってたなコイツら……確かマゲって、武士や力士の誇りだったか。でも、襲って来るお前らが悪いんだぞ?
「此奴らをどうするのぢゃ流、他の奴等と同じく埋めるのかや?」
「うん、埋めとくぞ。だって追いかけて来られても面倒だし、邪魔だからな」
「埋める! 埋めて放置するの!」
それでいつかは土の肥やしですよねミユンさん、戦いが終わったら助けるからね。
「お父さん、玉は潰す?」
「……どうしようか……どうするよ使いの人?」
地面で泣き崩れている男達の中に紛れ、ずっとこっちを観察している奴が居るけどさ、知覚で丸見えなんだよねぇ。
「──っ、気づいて居られましたか、流石は西の魔王と云われるお方……」
「嘘っ、ミルンにも分からなかったの……ガーンッ!?」
「ミルンお姉ちゃん! お口でガーンは言わないの! 言うなら──いっ、いつの間にって言うの!」
「我は気付いておったのぢゃぁ、ふんふん、ミルンはまだまだぢゃの」
緊張感無いなぁ……黒子っぽい頭巾で顔が見えないし、和土国って変に古風だけど、黒子って何で?
「どうぞ此方へ、姫様がお待ちに御座います」
「ようやくか……だが断るっ!!」
「……何故で御座いますか」
「まだコイツら埋めてないからな」
「直ぐ埋めます! 『ぎゃぁあああ!?』」
「まだ玉潰してないの!?」