和土国流のおもてなし?.2
「ふむ…(ギィイイイッ)…檻も柔いのぅ、これでは普通の扉なのじゃ」
「流石黒姫、ふんっ(ギィイイイッ)チカラ強いの!」
「ミルンお姉ちゃんもなの……」
「俺はそんなん無理だわ、空間収納無きゃ無力のおっさんだぞ」
はい、牢屋から普通に出れましたー拍手!
何かアトゥナと見張りのおっさん達が、同じ様な顔をして見て来るけど、こんなんで大人しく捕まるかよ。
「ほい鉄格子さようならっと、アトゥナもこれで出て来れるな。黒姫、手枷壊してあげてくれ」
「お安い御用じゃ。ほれ、手を出さぬかアトゥナ」
「えっ、黒…姫…さん?」
「何を呆けておるのじゃ、この様な美女は我しかおるまいて」
そういや、アトゥナは見るの初めてか。びっくりするよなー黒姫の大人バージョン、御胸様がバインバイン言ってるもん。
「お父さん……黒姫の御胸見てる?」
「絶対見てたのミユン見てたの!」
「ふむ……流は巨乳好きであったわ、悩殺してすまぬのじゃ」
「いや、中身知ってるから悩殺は無いぞ」
事実を言ってるだけで他意は無い!
本当に他意は無いからね!
本当だぞ!
「なぁ領主様……見張りの二人逃げたんだけど、大丈夫なのか?」
「……遊び過ぎたな。まぁこの戦力だし、大丈夫だろ」
大人バージョン黒姫は御使のリシュエルと同レベルだし、ミルンとミユンなら殺戮人形コト、シャルネを抑えれる程に強いし、俺は攻めて来る奴をセーフアースへ御招待出来るからな。ぶっちゃけ過剰戦力だ、魔王とか来ないと一瞬でこのお城落としちゃうぞ。
「来たら来たで困るけど……」
それはさておき、牢屋の外が騒がしくなってきたな、どれだけ人集めてるんだ。
「ミルン見てみるの! (そ〜っと)沢山居るの……変な姿してる!」
牢屋からそっと外を見るミルンが可愛い! ……変な姿って何だ、普通の胸当てとか槍じゃ無いのか?
「どれどれ……マジもんの甲冑だよ……欲しい!」
「ミユンも見る! (しゅばっと)土の栄養にならなさそうなの!」
「ミユンさんや、そんなに出たらたら危ないぞ」
「一人出て来たぞ! 捕まえよ!」
「「「応っ!!」」」
ほら……いっぱい突っ込んで来たじゃん、面倒臭い。
牢屋の外は広場……と言うか、処刑場が広がっていて、絞首台が幾つか置かれ、地面は赤黒く染まっている。そんな場所に兵達は突っ立って居る訳だが、相性最悪だよね。
「童よっ! 大人しく捕まれぇいっ!」
大の大人が子供相手に槍を突き刺して来たぞ、倫理観欠如してんじゃん。まぁ……あながち間違いでも無いけどさ。
「土に埋めるの──(ボゴッ)」
「ぬっあああぁぁぁぁぁぁ────(ベチャッ)」
一名様奈落の底へご案内♩
おいおい、今の見て兵達が尻込みしてるぞ。そのまま動かなかったら────『埋めるの!』
「(ボゴッ)あああぁぁぁぁぁ────」
「(ボゴッ)嫌だあぁぁぁぁぁ────」
「(ボゴッ)おっかさあぁぁぁぁぁんげっ」
ミユンの良い餌食になるよね。
面白いぐらいに穴に落ちて行くなぁ。
「ミルンも運動するの! 股間潰すのぉおおお!(メギョッ)」
「〰〰〰〰あひゅっ」
飛び出して行ったミルンが一人潰したな、白目剥いて前屈みに死んだぞ……怖ぇ。
「流は手伝わんのかや?」
「ミルンとミユンがヤル気出してるから、俺が出る幕無いって。黒姫は戦わないのか?」
「……我は面倒臭いのじゃ、どうせ直ぐ終わるじゃろうて」
だよな、この感じだと……あと一分程か。
二十人居た甲冑達が子供二人に殲滅されるって……一生トラウマ抱えるよなぁ。
因みに死者は一人も居ません!
ちゃんと穴の中から『痛いぃぃぃっ』って聞こえて来るし、ミルンに殺られた奴等は、乙女に成るだけだからな。
「きっ貴様等っ、こんな事をしてっ、ただで済むとおもっおもっ思っているのか!?」
おっ、門前に居た捲し立て野郎じゃん。残りあいつだけかよ……ご愁傷様です。
「股間潰すの! 残るはお前だけ!」
「そしたら埋めるの! お前は永遠になの!」
「ひっっっひぃいいいやぁあああ────!?」
うわぁミルンさん、念入りに潰してるよ……そんでミユンが地面に埋めて、小さな穴だけ残したぞ……空気穴か。
「お父さん終わりました!」
「スッキリしたの!」
「そりゃ良かったな、ちゃんと生きてるし偉いぞ二人共」
死亡者ゼロ名の快挙達成!
ここは他国だし、下手に死人出したらルシィに小言言われるからな。
「凄い手際じゃのぅ、ほっ! これで我は楽が出来るのぢゃ!」
「ははっ……何だよこの状況……」
アトゥナさんや、慣れれば結構すんなりと受け入れられるぞ……慣れればな。
「よっしゃ、じゃあお城の中を探検しますかね」
「火事場泥棒なの!」
「沢山掻っ攫うの!」
「この家族嫌だっ、何か怖い!」
「諦めよアトゥナ、これが普通なのぢゃ……」