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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界
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和土国流のおもてなし?.1



 はいこんにちは、小々波流です。

 毎度毎度、どこに行っても、必ずと言って良いほどに決まった場所に入る、小々波流です。


「お父さんが、現実から目を逸らしてるの」


 右を向くと石壁で、左を向いても石壁で、後ろを向いても石壁と言う不思議なお部屋だね。


「大丈夫なのミルンお姉ちゃん、直ぐ元に戻るの」


 前を向くと立派な鉄格子があって、向かいの部屋にはミルンとミユンが居て、二人してこっちを見て来るんだ。


「床が冷たいのぢゃ……暇なのぢゃっ」


 ぷにっと黒姫はどうやら右のお部屋にいる様で、冷たい床に腹を立てているな。


「御免……俺の所為で……」

 

 アトゥナは左のお部屋か。ミルン、ミユンを除いたら、一人一部屋で中々の好待遇だ。

 トイレ付き(穴)、シャワー無しだが、朝昼晩と三食付きの簡易ホテル! 勿論出入りは不可の手枷付き!


「せっかくの着物が汚れたの……あの門番、次会ったら股間を潰すの」

「ミルンお姉ちゃん、潰した後に土に埋めるの」


 しかも今回は俺だけじゃ無い!

 全員漏れなく牢屋でまったりタイムだ!


「いつも一人だったからなぁ。ラクレル村や、王都の牢屋が懐かしく感じるぞ……」

「流、お主何回牢屋に入ってるのぢゃ!? びっくりするのぢゃ!」

「何で領主様が牢屋に入ってんだよ……今もだけど」


 それはな、色々あったんだよ…色々な。

 にしてもまさか、他国に来た日に牢屋にインされるとは……今回は普通に挨拶しただけなのに、そんなにアトゥナが怖いかね……。



 あの時、アトゥナのカツラがズレて無かったらなぁ────



「立派な門構えだな、正に〇〇城だ!」

「お父さん、どうやって攻める?」

「ミルンお姉ちゃんが攻める気満々なの……」


 さてさて、どう攻めるか……じゃ無くて、どうやって傘音技に会うかだな。取り敢えずあそこの門番に聞いてみるか


「すみませーん、傘音技さん居ますか?」

「そこで止まれ! 何奴だお主っ、姫は貴様等の様な者とはお会いせぬ! 早々に立ち去られぃ!」


 何か捲し立ててくるなこの門番。

 何者だと聞いておきながら、何で確認せずに立ち去れって言うんだよ……馬鹿なのか?


「西のジアストールから来た小々波と言う者なんだが、傘音技珠代の招待でここまで来た。これが招待状だ」

「何だと……確認させる! おい! 誰かこの文を代官に届けよ!」

「ははっ、直ぐに!」


 姫様にじゃ無いのかよ。あと、俺今ちゃんとブローチ付けてるよな……意味無いじゃん。


「なあ門番さん、この妖精のブローチ意味無いのか?」

「何だそれは! 確かに我が国の模様だが、それだけでは中に入れられん!」


 マジで意味無かった……帰ろうかな。

 帰るだけなら直ぐ出来るし、町で米でも買い占めてからでも良いか?


「来た意味無いの……ご飯楽しみだったのに」

「こんなお国居る意味無いの、帰って畑を弄りたい」


 ほら、二人が残念そうにしちゃったじゃん。

 傘音技の奴、何がいつ来ても良いだよ、どう見てもアウトだろこれ。


「まだ中に入れぬのかや、一休みしたいのぢゃ」

「俺の肩の上で休んでるじゃ無いですか……」


 俺も畳の上で一休みしたいぞ。

 あっ、アトゥナの奴、さっきの駕籠揺れでカツラズレてるじゃん。


「なぁアトゥナ、カツ────」

「そこの女っ! その髪の色、その眼、貴様悪魔族かっ! 悪魔族が何様だ! まさか──っこの城に攻め入る気か!? 出会え出会えぇえええ──っ! 此奴らをひっ捕えよ!」

「「「ははっ!!」」」


 やっぱり捲し立てて喋る奴だな。しかも、何かわらわらと出て来たぞ……これはアレだ、いつものパターンだ。


「お父さん、こいつら潰す?」

「この程度なら一瞬なの、殺る?」

「まぁまぁ、ここは大人しく捕まろう。間違い無くいつもの場所だろうし、楽しもうぜ」

「流が冷静なのぢゃ!?」

「何だよっ、俺何もしてないだろ!」

 


────こんな感じで来ました牢屋っと。


 何だろう……このままだと、各国の牢屋コンシェルジュに成れそうな感じだよな、不名誉な資格だけど。


「それで流や、この状況どうするのぢゃ」

「そうだよなぁ……ぶっちゃけ会う気も失せたし、このまま帰るのも有りかな」

「潰して帰らないの? いつものお父さんなら、ヤられたら地獄に落とし返してるの」


 そうなんだけど、流石にこの城は壊したく無いし、他国だから穏便に帰りたい。なんだったら、米だけ掻っ攫って帰りたい。


「パパのお顔が盗賊のソレなの」

「悪いお顔してる……」

「違うぞ二人共、これは楽しんでる顔だ」


 だってわざわざ遠くから来たのに、早々に牢屋に御招待って何だよ……せめて待合室とかにしろよ。


「貴様等……我等が見張っている前でその態度っ、馬鹿なのか!? 貴様等は馬鹿なのか!?」


 そういや見張りが二人居たな。

 だって見張り何て意味無いんだぞ?


「ほっ(バキッ)柔い手枷じゃのぅ」

「もちゅもちゅ……取れたの!」

「ふぬっ(バキャッ)粉々にした!」

「ほい『空間収納』で取って出してポイだ」

「「「えっ……」」」


 何でアトゥナまで驚いてるんだよ、こんなん拘束の内にも入らないぞ。手枷をするなら前じゃ無くて後ろ手にして、出来るなら指錠もした方が良いな。


「さて皆んな、傘音技探しと行こうか……」

「落とし前つけさせるの!」

「埋めて行くの!」

「物騒なのじゃ……早よ休みたいわ」



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