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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界
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古き良き和土国.5



 ふむ、影さんからの報告書通り、人とケモ耳達は仲良く暮らしている様だ。

 ふと右を見れば、ケモ耳男子と面の厳つい男が何やら酒を呑み交わし、左を見れば、着物姿のケモ耳おばちゃんと顎の割れたおばちゃんが噂話で盛り上がっている……濃いな。

 それに町を歩いていると、コマ回しだったりメンコだったりと、何か昭和っぽい玩具で遊ぶ子供達が多い。

 

「お父さん!あれ何してるの! ミルンもあれで遊びたいの!」

「子供が何かをぶん回してるの……知らない道具です!」

「二人共知らないのは珍しいな。あれはコマ回しって言ってな、紐をコマに巻いて、あの台に向けて投げると──ああやって回るから、それをお互いに投げてぶつけ合う遊びだな……? あのコマ、何で火が出てるんだ……魔法か?」


 ぶっそうなコマ回しだよ……少し楽しそうだけど。そういや、ジアストールにはコマやメンコって無かったな……遊ぶ道具自体見た事無いし、店探して買っておくか。


「何か食べたら、あのコマ売ってるお店探すか」

「ミルンは賛成します!」

「ミユンも賛成します!」

「のぢゃっ!? ミルンにミユン、何故我を見るのぢゃ……はっ!? 我も賛成なのぢゃ!」

「余り動くなよ黒姫さんっ、地味に重たいんだからなっ」


 流石ミルン、ミユン、目力で黒姫を巻き込んだぞ。にしても、ミルンのお鼻を頼りに甘味探してるけど……人混み凄くてちょっと疲れるな。

 それにこの視線……余程アトゥナが気になるのか、怖いのか、あからさま過ぎだろう。


「差別はどこの国でも有るってか……嫌だねぇ」


 まぁ、差別自体無くす事は不可能だと思うんだけど、手を出して来たらセーフアースへ御招待だからな。


「お父さん、甘味処発見しました! あそこのお店から匂うの!」

「流石ミルンお姉ちゃんのお鼻! パパ、早く甘味を食すの!」

「へいへい……『処味甘』って看板逆っ!?」


 そういや、昔は右から左に読むんだったか? 違和感が物凄いぞ。


「良い匂いが漂って来るのぢゃ……これは、お団子かや?」

「何だお団子って……」


 えっ、お団子あるのこの異世界……うわっ、マジで良い匂いがして来るじゃん。ちょっと早く行って────確かめねばっ!


「お父さんが急に速くなった!?」

「パパが欲望全開なの!」


 


 ほい到着──っ!?

 マジ団子屋だよ……懐かしい匂いだ。

 と言う事は──この和土国の主食は『米』って事で、団子を提供出来るぐらいには稲が実ってるって事だよな。

 

「最高かよ和土国……うぅっ…米食べ放題っっっ」

「お父さんが泣いた!?」

「パパがまたおかしくなったの!?」


 ミルン、ミユン、だって──前にジアストール城内で呑んだ日本酒も、原材料はお米なんだよ。あれ以降日本酒は呑めてないし、白米も手に入れるの難しいけど……ここで稲の苗を買い込んでおけば、持って帰って栽培チャレンジしまくれるじゃん。しかもだ、アルカディアスで買った魚介類もまだまだ有るし、白米と焼魚を最低でも一日一食、食べれる様にしたい。

 まてよ……この匂い……まさか…『味噌』も有るのかこの和土国っ!?

 暖簾の先から、香ばしく焼けた味噌の匂いがふわふわと俺の鼻口をくすぐって、やばい腹の虫が鳴り止まないっ!


「お父さん入らないの?」

「パパ戻って来るの! 早く甘味!」

「はっ!? そうだなっ、すまない二人共」


 暖簾を潜り、中へ入ると──靴を脱いで御入り下さいと言わんばかりの畳! 何の材料を使ってるのか分からないけど、見た目は完璧な畳部屋!


「いらっしゃい、店内で食べられる場合は履物はそこに置いて御入り下さい。外の椅子で食べられるなら大丈夫ですよ」


 迷う選択来たな。確かに外に長椅子が有ったけど、畳の上で食べたい気もするし、外で食べるのも乙な感じで良い……どっちにするか。


「流よ、中で食した方が良いのぢゃ……この娘が目立っておるしの」

「黒姫……分かった、中で食べるか。ミルン、ミユン、お靴を脱いで入ろう」

「裸足のお店! 初めてなの!」

「ミルンお姉ちゃん、この床弾力あるし、良い香りがする!」


 畳だからな、独特の匂いがあるし、好みがあるけど……寝転がりたいっ!


「黒姫さん、有難うな気を使ってもらって」

「別に構わんわアトゥナとやら、我はのんびり食べたい派ぢゃからの。早よ中へ入るのぢゃ」


 靴を脱いで足を開放──はぁ……そうそうこの感じこの感じ、足が超楽だよ。

 胡座をかいて畳の上に座り、ミルンがそこへスッポリ収まっ『お父さん足臭いっ!?』たと思ったら直ぐ退いて……皆んなが少し離れた位置に座ったぞ? 泣いて良いかい?


「……そりゃ歳も歳だし、裸足革靴だから蒸れ蒸れほっかほか臭するけどさ……酷く無いかいミルンさんや……」


 少し前までスニーカー履いてたんだけど、異世界に来て色々ある中で……流石に穴が開いたから履き替えたんだ……革靴にね。

 和土国で草履でも買って帰ろうか……このままだと足臭お父さんって定着しそうだし。


ピンポンパンポーン(上がり調)


レベルが1上がりました(足臭お父さん♩)


ピンポンパンポーン(下がり調)


 おいリシュエルっ! 久々なアナウンスに悪意を込めて嫌なフレーズを流すんじゃねぇ! お前今何処に居やがる! お前の所為で大変だったんだぞゴラァアッ!


「……反応無しか」

「どうしたのぢゃ流……まさかリシュエルかや」

「ああ、久々に頭の中で喧嘩売って来やがった。何が足臭お父さんだ……泣くぞ!」


 絶対称号に何か付いただろ……心の平穏を保つ為に見ないけど!


「いらっしゃい。ご注文、何にしますかー」


「この右から全部を下さいな!」

「それを二つずつ下さいな!」


「えーっと……食べれますか?」


 ミルンさん、ミユンさん、店員さんが若干引いてるから食い気味に行かないの。


「店員さん……それで頼む。あと俺は、この草団子と味噌団子で。黒姫とアトゥナは何にする?」

「我はこの彩色団子を三本なのぢゃ。後はお茶を人数分かや」

「じゃあ俺も……黒姫さんと同じやつで」

「……畏まりました、凄い食べる娘様ですね」


 そうなんです。

 家で食べると有限胃袋なのに、外で食べると亜空間胃袋に成る二人だからなぁ……お金足りるよね?

 


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