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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界
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古き良き和土国.2



「何で我……根っこに首を絞められとるのぢゃ? 止めよ世界樹! あとここ何処なのぢゃ!?」


「久しぶりなの黒姫、最近見なかったから心配──は全くして無かったけど何処にいたの?」

「黒姫お姉ちゃん、影達に攫われてから何してたの? 改造されてた?」


 ホントにね、ずっと見てなかったから……若干お腹がぽよって無いか? えっ、龍って太れるの?


「ミルンにミユン、流では無いかや……と言う事は、ここはファンガーデンなのぢゃ? 随分見窄らしくなっておるのぢゃが……」


 見窄らしいって言わないの、この長屋の良さが分からないとは、残念のぢゃ子だな。


「黒姫、ここは和土国だぞ。魔法の実験したらちょっとした手違いで──黒姫も対象にしちゃったんだ」

「まさか転移かや!? 転移魔法を使える者なぞ、最早この世に居ないと思っていたのぢゃが……成程、世界樹の力を借りたのぢゃな」


 黒姫さんや、まだ根っこが首を絞めてますけど……大丈夫そうだな。


「黒姫黒姫、紹介するの、リティナのそっくりさんのアトゥナなの」

「お尻に座薬を突っ込んだアトゥナなの」

「その話するのやめろよ! 俺だってあんなの嫌だったんだ!」

「のぢゃ!? お尻に座薬なのかや……可哀想な女子(おなご)なのぢゃ。我は黒姫なのぢゃ! 宜しくのぅアトゥナとやら!」


 良々、これで戦力は揃ったぞ。

 無限の胃袋を持つミルンに、なんでも溶かして食べるミユン、呼んじゃった黒姫に、東の魔王のそっくりアトゥナ……これなら、何があっても大丈夫だな。


「よっしゃ! じゃあ先ずは、影さん探しながら質屋に向かうか! この国の通貨必要だし、ついでに観光しながら歩いてたら、傘音技から何かアプローチあるだろ」

「美味しいモノ! ずっとお勉強頑張ってたから遊びまくるの!」

「畑も見に行くの! 土の状態をチェックするの!」

「久々にミルン達と行動なのぢゃ、落ち着くのぢゃぁ」

「……何だよコイツら、纏まり無さすぎだろ」


 アトゥナが何か言ってるけど、纏まりなんて無くて結構! そんなモノはとうの昔に忘れたさ! はっはっはっ!



 ────そして今現在、質屋さんは何処だろな? と探しながら歩いています。勿論久々に、ミルンを肩車して、ミユンを抱っこした状態でだな。

 黒姫の奴、何か羨ましそうにミユンを見ていたけど、何も言わずにアトゥナの肩によじ登り、楽しそうに町並みを見ているぞ。


「なあ、流のおっさん」

「なんだアトゥナ」


 アトゥナが凄い顔をしている。


「この黒姫って幼女、何で俺の肩に乗ってるんだ」

「そりゃ、俺の肩が埋まってるからだろ」


 アトゥナが渋い顔をしている。


「この黒姫って幼女、何か凄い重いんだけど」

「そりゃぷにってるからな、間違い無く重いだろう」


 アトゥナは更に渋い顔をしている。


「それに、周囲の視線が痛いんだけど」

「そりゃ、こんな可愛らしいミルンとミユンが居るからな、注目の的だぞ」


 一体どうしたんだアトゥナの奴、あれか? 黒姫の体重がそんなに重たいのか?


「黒姫、お前少し……いや、結構太ったか?」

「我は太っておらぬのぢゃ。ちとセーフアースで食っちゃ寝してたから、少しばかりふっくらしただけなのぢゃっ」


 黒姫そんなに二重顎だったかなぁ……少しと言う割には、前よりぷにぷにしてそうだけど。


「黒姫はおデブになったの、見た時に直ぐに分かったの」

「我は太っておらぬのぢゃっ」


「黒姫お姉ちゃんは豚さんになったの、前よりお腹が丸くなってる」

「我は太っておらぬのぢゃっ」


 何かあからさまに現実から目を逸らしてるぞ、そんなに認めたく無いのか。


「黒姫……体重計って知ってるか?」

「何ぞ? 知らぬのぢゃ、我は太っておらぬのぢゃっ」


 まだ言うか太っちょ黒姫。


「今度ドゥシャさんに伝えて作ってみるから、黒姫の重さを見てみような」

「のぢゃっ!? その時は龍になって計るのぢゃっ、我は太っておらぬのぢゃっ!」


 こいつ……変に知恵が回るよな、さすがに長生きしてるだけある。


「お父さん、お父さんが探してるのってあのお店?」

「質って暖簾に書いてるの、質ってなあに?」


 おっ、あれだあれ。やっぱりこの国、漢字が使われてるな……代表の名前が和風だったから、まさかなとは思ってたけど。


「ミユン、質屋ってのはな、物を預けてお金を貸してくれる商いで、お金を返さなかったら預けた物が売られちゃうんだ。あと、色んな物が売ってるお店でもあるな」

「不思議なお店なの、要らない物を預ければこっちが得するだけなの」


 そうだけどね、要らない物でも価値が無ければ、二束三文ってのが普通だぞ。


「お父さん、換金所は無いの? ドゥシャから習ったけど、連邦には有るって言ってたの」

「凄いなミルン、ちゃんと勉強してて偉いぞ。冒険者ギルドなら換金してくれそうだけど、何処で手に入れたとか聞かれると面倒だし、質屋ならそこら辺が緩いから便利なんだよ」


 それに雑貨とかもついでに見たいし、この町並み見てたら、質屋の方が面白そうだからな。


「なぁ、早く行こうぜ流のおっさん……俺は早くコイツを下ろして座りたいっ」

「我は太っておらぬのぢゃっ、足腰が弱い女子(おなご)なのぢゃ」


 まだ太って無いって言ってるよ……痩せるまでお菓子禁止令でもだそうかな。



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