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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界
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タダ飯食べに和土国へ.3



 冒険者のマッスルチェイサーを雇い、アトゥナが待つ馬車へと向かって『……遅い』軽く怒られ、そのまま馬車を走らせて道中でマッスルチェイサーを拾い出発した。


「流さん、僕らまだ準備出来てませんよ」


 常識ケモ子のノーインが何か言ってきたけど準備? なにそれ? 食料も簡易小屋も俺の空間収納内に有るから要らんでしょ。

 馬車もキャンピングカーより大きいから、モンゴリ君が寝転がっても余裕有りまくりだし、御者はアトゥナが出来るらしいからぶっちゃけ超楽。


「唯一の欠点は……モフれるのが野郎しか居ない事だな……撫で心地最高だけど」

「撫でながら文句と世辞を言うなよな、なんで俺だけ撫でるんだよ……」


 現在俺が撫でているのは猫耳男子のラカスです。だって猫だよ? 耳と尻尾の触り心地が最高なんですふわふわなんです。

 あとコイツ押さえておかないと、色々と悪戯しそうだからと言う理由も有る。天敵のニアノールさん居ないからね。


「周囲に敵影無しだ、あの山まで行ったら交代しろよモンゴリリーダー」

「分かった、到着次第交代しよう」


 馬車の屋根には鬼っ子モスクが立っており、移動中も周囲の監視を怠っていない。それに、驚くべきはモンゴリ君だ。普通に会話してるんだよマジで……覚醒してる筈なのに。


「ちゃんと冒険者してるんだよなぁ、凄いわ」


 初めて孤児院で会った時は、モンゴリ君以外弱々しい感じだったのに、物凄く頑張ったんだろう。

 あっ、俺もラカスを撫でながらちゃんと索敵してますよ? 知覚って便利だよね、魔神に成りさえしなけりゃ精神汚染無いみたいだし、半径十キロ圏内を網羅出来るんだから。そしてそのまま緑化魔法で、脚を折ってセーフアースに行ってらっしゃい豚野郎。


「魔物が全然居ないぞ、おかしく無いか?」


 屋根の上でモスクが不安がってるけど、御免それ俺が送ってます。安全第一だもん、許してくれよな。



 そのまま旅は順調に進み、一ヶ月ほど経ったある日……とうとうバレてしまった。


 夜に目が覚めてトイレに入っている時、ふと近くに魔物の気配を察知したので、そのまま緑化魔法で行ってらっしゃいと発動させたら……それを夜間警戒をしていた猫耳男子のラカスに見られ、『敵襲! 全員起きて周囲を警戒!』と声をあげられ、俺はトイレ内で頭を抱えた。


「どうしたラカス! 敵は! 数は! 何処に居る!」

「ようやく出やがったか! 腕が鳴るぜ!」

「モンゴリリーダーは馬車の護衛! モスクは前衛! 後衛は僕がします! ラカスは異常が有った場所を偵察! 危ないと判断したら直ぐ退いて下さい! 光源よ!」


 ノーイン優秀過ぎだろ、灯りの魔法を打ち上げて周囲を照らし、それと同時にラカスが走りだして魔物が居た場所を確認、そのまま索敵をしつつ戻って来てるよ。

 モンゴリ君よりリーダーっぽいな……見た目は確実にモンゴリ君の方がインパクトあるけどね。


「魔物が居た場所に穴が有った。あの時は闇の中だったから良く見えなかったけど、何か地面に吸い込まれて行ったぞ、アレは不味いっ」

「有難うラカス、モンゴリリーダーどうする? このままここに留まるか、移動すべきか」

「……うむぅ! 少し考えるから待ってくれ!」

「魔物居ねえじゃん! 戦いてぇんだよ俺わ!」


 ラカス君や、それは世界樹の根っこさんで、魔物じゃ無いんだよ……そんなん知らんわな。


 トイレの小窓からその光景を見つつ、どうしたものかと考えたけど、このまま警戒させるのもアレだし伝える事にした。このままだと、簡易小屋建てた意味が無くなるもん。

 トイレから出て手を洗い、外へと出て、警戒中のノーインの肩を叩き、『流さん! まだ中に居て下さい! 魔物が居るかも知れないんです!』めっさキレられたよ……ノーイン君、心にゆとりを持とうな。


「すまん、アレ……俺の魔法なんだ。取り敢えず危険は無いから、中に入って話そうか」

「何だようるさいなぁ、夜中なんだから静かにしろよぉ……」


 アトゥナが別の小屋から眠気眼で出てきたんだけど、お前はもう少し……危機意識を持って欲しいぞ。

 


 ノーイン達と一緒に小屋へ戻り、俺の魔法を軽く説明すると、三人が何故か項垂れた。


「何ですか流さん、僕達の仕事無いじゃないですか……」

「流さぁあああん! 僕わぁあああ! 働きたいんですぅううううううううっ! 次からは任せて下さい」

「どうりでずっと魔物が居ない筈だぜ! 戦わないと仕事になんねぇよ流の兄ちゃん!」

「俺は楽が出来たから文句は無いよー、これでお金貰えるって最高!」


 そりゃ延々と馬車乗ってたらストレス溜まるか……なんかすまん。


「次から魔物来たらお願いするよ、危ない時だけの援護なら良いか?」

「それならお願いします、僕等も東の魔物とは戦った事が無いですから」


 ノーインが了承したらモンゴリ君とモスクも頷いた。ラカスは渋々顔してるけど。


 そういやさっきの魔物、知覚的には豚野郎っぽい感じだったけど、妙にデカかったんだよなぁ……違う魔物かな? でも脚折れた感じだし、次現れたらノーイン達に任せてみるか。



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