タダ飯食べに和土国へ.1
アトゥナに用意する様伝えて直ぐ、治療院でえっちらおっちら忙しく働いているリティナの下へ来ましたよ。
「と言う事だから今から旅行に行くぞリティナ、ニアノールさんも来て良いですからね」
「流にーちゃん何言うてんの!?」
「流さぁん、いまの状況分かってますかぁ」
見たら分かるよ、冒険者達の治療中ですね。
装備を見た感じ新人冒険者だろうけど、コレ、裏山登ってオークにでもやられたのかね。鉄製の胸当てが良い感じに凹んでます。
リティナが力使わずに薬だけで対応してるって事は、重傷者は居ないけど数が多過ぎて忙しいんだな。
「こりゃリティナは行けんわ……せっかくアトゥナとの距離を縮めようとしたのに」
「なんの事やねん!? あっニア! そいつの腕固定しといて!」
「分かりましたぁ」
俺が居たら邪魔だな……十五人の新人冒険者が負けるって、オークじゃ無くてオーガさん(雌)にでもエンカウントしたのかね、誰も死んでない様だし。
そそくさと治療院を離れて考える。
このままだとアトゥナと二人旅になるから、それは何とも味気ない。それにニアノールさんが来れないと、道中の魔物退治で近接戦闘出来ないから逃げるしかなくなるし、誰にしよう。
「冒険者達の怪我が無かったらリティナ連れて行けたのになぁ……冒険者?」
普通に冒険者雇えば良くね?
さっきの新人っぽい奴等じゃ無くて、そこそこ強い中堅どころなら大丈夫だろ。
「依頼してみますかね、良い冒険者が居ればだけど」
◇ ◇ ◇
はい来ました冒険者ギルド! の入り口!
いつもなら、ミルンやミユンや黒姫とコントして入る所だけど、今日は俺一人だし、普通に入ってみますかねー。
「良々、扉を開けてーぇ、お邪魔するで御座るぅデュフッ、何卒拙僧の依頼を受けて頂きたくぅ、馳せ参じまして御座りますぅデュフッ」
おっ……冒険者ギルド内に居る大半がこっち見たな、流石古き良きヲタ原語、効果抜群です。
嫌悪感丸出しの女性冒険者達に、何事かとこっちを見て来る受付さんに、訝しげな顔の男性冒険者達っと、ネリアニスさんは居ないのか? 受付のお姉さんに聞いてみるか。
「すみませぬがネリアニス氏はおりませぬか、モフモフ同志の流が来たのですますむっふー」
「ひっ──ギルド長なら只今外出しております! 御依頼なら彼方で受付下さい!」
ここの受付じゃないのか……あっ確かに依頼完了報告の受付って書いてるわ、メンゴ。
それじゃあ依頼の受付を──めっちゃ目を逸らされてるな、おふざけはここ迄にしておくか。
「護衛の依頼頼みたいんですけど」
「すぅ……我々では対応出来かねますのでギルド長がお帰りになられるまで席にてお待ち下さい直ぐ帰って来られますのでお願い致します!」
めっさ早口じゃん……アレだよ、不審者対応をギルド長に押し付ける魂胆ですよね受付さん。まだ目を逸らしやがるな、ネリアニスさんにいって減給にしちゃうぞ。
「何か遠巻きにヒソヒソ話してる奴等も居るし、教育出来てないんじゃないの」
「それは領主である流さんが、変な言葉使いで迫るから怖いのですよ」
後ろから声が──ネリアニスさんじゃん。
「お帰りやすネリアニスはん。どこ行ってたんどすか、待ってましたぇ」
「そう言うのですよ流さん、何処でそんな言葉使い覚えたのですか」
そりゃ地球という星の日本と言う国だよ。
これは何ちゃって京都弁です。因みに何ちゃって関西弁と、何ちゃって広島弁、何ちゃって標準語も装備しております、ネリアニスさんには分からんだろうけど。
「詮索は無しで頼むよネリアニスギルド長、それよりも依頼したいんだけど」
「本当に変な人ですよ流さんは。こちらにどうぞ、お話をお聞き致します」
へいへい、個室でまったりお話しタイムですね。