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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界
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その頃黒姫は.2



 ご飯を食べた後、影達の切実な要望で仕方無く小さい姿となって話を聞いておると、どうやら違う陸地を見つけたの事、我の背に乗って調査したいらしいのぢゃ。


 我が封印される五百年程前ぢゃと確か、十数体の魔王が別々に大陸や国を治め、この近くの大陸にも一体居た筈なのぢゃがな。


 あまり関わった事の無い魔王ぢゃったけど力を感じぬし、死んだとしたら不思議なのぢゃ。


 魔王はその突出した力を振るい、恐れられてこその魔王であり、だからこそ早々死なぬし踏んでも潰れぬ生命力の塊なのぢゃ。エイドノア大陸の弱い魔王ならいざ知らず、あの大陸の魔王が死ぬなぞ……有り得るのかや。


「御使なら……有り得るのぢゃ」


 下っ端御使では無くリシュエルの様な神の側近であれば、魔王を滅する事も可能……一体の魔王を除けば、なのぢゃ。まさか彼奴が生きていて、流の父親ぢゃったとはな……いつかまた、酒でも呑み交わしたいものぢゃ。


「黒姫様、あちらが私の発見した陸地になります。この様に海面が渦を巻いており船では近付けません、何かご存知であれば教えて頂きたく存じます」


 因みに我は今、影に肩車されて逃げられぬ様に脚を持たれておるのぢゃが、ここまで来るのに龍に成れば一瞬のところを影が嫌がり、こうして影に運ばれておる。


 本当に意味不明な影なのぢゃ。

 あと、五百年前には渦なぞ無かったので、我にも分からぬのぢゃ。


「渦の事は知らぬのぢゃ。向こうに見える陸地は知っておるのぢゃけど、飛んで行って見つかると……撃ち落とされるのぢゃ」


 あの魔王がもし生きているのなら、遠距離でも間違い無く攻撃が当たるし、今の我ぢゃと消えはせぬが落ちる事は確実なのぢゃ。

 

「ぢゃからあの陸地の端まで低空飛行して、お主らを下ろすのが限界ぢゃの。そこからは徒歩で調べよ、我も五百年眠っておったから今どうなっておるかまで分からぬのぢゃ」

「左様で御座いますか……では、先行して調べますので、まず私をお願い致します。他の影達にもその事をお伝え下さい」


 此奴、手柄欲しさに死ぬ気かや……まぁそれなりに鍛えておる様ぢゃし、陸を歩くのならば見つかるまいて。


「分かったのぢゃ、何かあれば即逃げるのぢゃぞ」

「心得ております黒姫様、我等にも確実に逃げる手段はありますので御安心を」


 ほぅ、確実になのかや。

 影達は本当に変な者達の集まりぢゃの、突出した才有る者達ばかりなのぢゃ。

 あとは性格がマトモになれば良いのぢゃが、それはドゥシャ次第なのぢゃ。


 龍の姿に成り、海面スレスレで移動して、影を陸地へ投下──『あっ、優しく降ろしては下さらないのですね』して、無事に歩き出した事を確認後、低空飛行のままセーフアースの世界樹が有る地点まで戻った。


「やっぱり飛んだ方が早いのぢゃ……のぢゃ?」

「お帰りなさいませ黒姫様、影が居ない様ですがどうされたのですか」


 いや、普通に話しかけて来ておるが、この状況は何なのぢゃ?


「いやだぁあああ──! もう悪い事しないから助けてぇえええ!」

「痛てぇえええよぉおおお! 足がっ足がぁあああ!」

「来るな来るな来るなぁあああ──ぐげぇっ!?」


 柄の悪いおっさん共が、ハーピィや蛇女に捕まって運ばれて行くのぢゃ……一人その場で喰われてしもうたが。


「どうやら、流様から魔物達への贈り物の様ですね。魔物達が雌だけの様なので、活きの良い盗賊か犯罪者を送って来たのでしょう」

「あぁ……流の逆鱗に触れたのぢゃな、馬鹿な者共なのぢゃ」


 攻撃性を持たぬ筈の緑化魔法を、こうも恐ろしい魔法として使うとは……本当に彼奴の息子か疑いたくなるのぢゃ。

 緑化魔法とは、枯れた大地に活力を与えて実りを増やし、自然豊かな大地へと変える素晴らしい魔法だったのぢゃがなぁ……今をもって、犯罪者を処刑台に送る恐ろしい魔法へと変わったのぢゃ。


「ピピピッ、キュアッ『生肉いっぱい、臭いっ』」

「ピュアッピュアッ『御飯っ御飯っ』」

「痛いっやめろぉおおお──!?」

「ピィピュアッキュキュッ『子作りしてから分ける』」

「キュアッ、キュキュッ『嫌だっ、今分けるっ』」


 こうして見ておると、我も随分食通になったものぢゃな。前の我なら此奴らと同じく生肉わっしょい! と喰ろうていたが、今や生肉は臭くて無理なのぢゃ。しかもおっさんの肉なぞ、臭くて喰えたモノでは無いのぢゃ。


「そうぢゃ、忘れる前に話しておかねば」


 影に影の事を話すのぢゃ……此奴ら、固有の名前は無いのかの、影影影と面倒臭いのぢゃ。



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